蝶 の 舌
A lingua das bolboretas
胡 蝶 ノ 箱 庭 ― 序




日常が壊れていく

小さな小さな世界で廻る

その日常が

壊れていく

それはさながら

醒めゆく夢のように





胡  
蝶 
ノ  
箱  
庭 








いつも通りの朝だった。

時が過ぎていく中で
いくつかある型(パターン)のひとつだった。


そうだと、疑いもしなかった。




「――木津宮隊長」


隊史の声で微睡みの中から引き吊り出される。
またしても夜勤、徹夜、そして通常勤務の悪い流れに乗ってしまったせいでうとうとしていたところだった。
その曖昧な感覚に後ろ髪を引かれながら答えを返す。


「おはよう。もう時間か?」


伸びと欠伸をしつつもうそんな時間かと声の主の顔を見て、止まった。


「……どうした?」


何とも言えない、言うならば悲愴とも言える気色を顔に浮かべるの隊史が目に入る。

朝からどうしたんだ。
唇が震えている。



「隊長、── 副長が、」






その言葉だけが響いた。







「殺され、ました」







【続】



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