意味なしルディ話


 ミルクを入れた小皿を置くと、仔猫は小さく鳴いた。雪のように白い猫だ。
 地面に腰を下ろし、壁に凭れかかる。煙草に火を点け、煙を肺いっぱいに吸い込んだ。
「俺は、何をしていたんだろうな」
 空に紫煙が溶けていく。
 ミルクを舐めていた仔猫が、また鳴いた。
「おまえも、そう思うか」
 遠くで囚人たちの騒ぎ声が聞こえる。自由時間を楽しんでいるのだろう。鐘はまだ鳴らないが、そろそろ交代の時間だ。
 諦めに似た気持ちで立ち上がり、煙草を靴先で揉み消す。
「またな」
 飼い猫ではないから、またいるかどうかはわからないが、そう呟いた。
 仔猫はやはり、小さく鳴いた。







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