0,プロローグ
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運命だと決め付けるのは、そうであることを望むからであって、本当の運命は残酷であるのだと彼は理解した。
そして、気づく。
ずたずたにされて絶望に落とされて、ようやくそれでも掴んだものが、運命なのであることを。
男はパラパラと名簿表を捲りながらコーヒーを啜った。
無音に近い彼のハコで、ぼんやりと名前を覚える気も無く捲り続ける。
今度持つクラスは、なんだか顔面レベルが高いなと思いながらため息を吐いた。
ふと、ページも最後の方になったとき、ひとりの写真に男は釘付けとなった。
慌ててテーブルに乗った写真立てを取りに行き、名簿の写真とそれを見比べる。
確かに、それらは類似していたが、瓜二つという訳でも、無かった。
男は詰めていた息を思い切り吐きだした。
髪をくしゃくしゃにしながら、煙草を1本取り出し、火を点ける。
(…俺も、バカな男だな)
その思いを吐き出したニコチンタールまみれの煙に、乗せた。