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鷹島の腰を間に入れられ、閉じることも出来ない。
まるでセックスするときの女性側のような体制に、葵はようやく気づいた。
まさか、と思い始めたそのとき。


「気持ちいいだけじゃ罰にならねぇからな…まぁ切れたら薬くれぇ買ってやるよ」


ずるり、と鷹島はジャージをある程度まで下ろし、昂ぶった自身を取り出した。
自分のとは違う、男の象徴代表かと言わんばかりの立派なそれに、葵は目を見開く。
出張とテスト採点で、長らくヌいていなかったからか、まさかお前で勃つとはなと嫌味を言いながら理由を軽く語った。

だが、それを葵が理解する前に、その熱く昂ぶった凶器が、葵の後孔に当てられ。


「…ひっ…!?う、うそ…!?」


ぐぐ、とそれは容赦無く葵の中に割り行って来た。
身体が引き裂かれるような痛みに、葵は身を強張らせ、ガタガタを全身を振るわせる。

葵も性に関しては様々な人から体験談を聞き、知っている。(知識だけ)
そこを使うセックスもあるのだと人から聞いてはいたが、まさか自分が実用するとはなんて思ってもみなかった。


だけど、今はそんなこと考えられない。
ただ質量の重みと、熱さと痛さと。
耐え切れない焼けきるような痛みに、涙をぼろぼろと流した。


「あ、あ、あ…」


うわごとのように声を出し、ガタガタと顎を揺らす。
全て埋まったときには、もう理性どころか意識も半壊寸前になっていた。

ぎちぎちと熱い粘膜が鷹島の自身に絡みつき締め付ける。その気持ちよさに快楽の吐息を漏らしながら、目下の葵を確認した。

案の定、痛みと信じられなさに驚愕を通り越して呆然。
がくがくと身体を揺らしながら、泣いていた。


さすがの鷹島も心が痛む。
このまま動かしては、痛みで気を失ってしまうだろう。鷹島はゆっくりとなるべく刺激を与えないようにずるずると陰茎を一旦抜いた。
抜くときの感覚が、えもいわれぬ異物感で葵はぎゅうっと目を瞑る。



「切れてはいねぇな…奇跡だなこれ」


全て抜き終え、鷹島は葵の後孔をまじまじと見る。
恥ずかしさを忘れた訳では無いが、まだ続く痛みにそんなことを考えている余裕も無かった。
そうしている間にも、鷹島は棚の近くに転がっていた軟膏を掴み、いやらしくひくつくそこに塗りたくる。

冷たさにびくりと身体を跳ねさせた。

しかし、次の瞬間進入してきた指に、身体は硬直。
先ほど指より断然太いものを入れられたのであっさりと2本飲み込む。
いやらしい水音を立てながら、鷹島はそこを慣らした。今更だが。


先ほどの痛みとは違い、異物感に戸惑う葵。
身体の中をひたすら掻き回され、一体何がしたいんだと疑問に思う余裕が出来た。
その余裕を使って、ふと目線を下げる。
自分の股の間を見れば、ありえないところが指で広げられぐしゃぐしゃに濡れていた。
あまりのいやらしさに、やっぱり目を背けてしまう。


(せ、セックスってこんなにえろいのかよ…!)

えろい事をしているのだから当たり前である。
紅潮する頬を押さえながら、葵は先ほどの光景を必死に消そうと別のことを考え始めた。
が、それを打ち破るかのようにいきなり電流が身体を駆け抜ける。


「っ、あ!?」


びくん、と身体がまるでAEDを受けた人かのように跳ね上がる。
鷹島は何か変なところにでも触れたか、と思いながらも弱くそこを擦りあげてみた。

「ひぅっ!?、なに、これっ…!?」

びくびくと身体を跳ねさせる葵。
ふと、すっかり萎えていた葵の自身が、いつの間にか頭をもたげ始めていた。
もしかして、これが噂に聞く前立腺というところなのかと鷹島は気づく。

一瞬閉まったサディスティックな心が、また蘇り始める。
今度は、痛めつけて泣かせたいのではなく、快楽に溺れさせて泣かせたい。


何度もしつこく擦り上げたり、ぐりぐりと押したりそこを責めた。
する度に葵の陰茎はますます硬く勃ちあがり、先ほどとは比べ物にならないほどだらだらとカウパーを垂れ流す。
あまりの刺激に顔も涙と汗でくしゃくしゃになり、頬は紅潮して卑猥さを増していた。
そして止まぬ甘い嬌声。
普段の葵からは想像もつかない、いやらしくて可愛い痴態に、鷹島は思わず唾を飲んだ。


もう我慢の限界である。
鷹島は指を引き抜き、もう一度葵の足を広げいやらしく濡れそぼったそこに自身を突き立てた。


「ん、っあう!」

先ほどよりも誇張した鷹島の自身に思わず声を出す。
葵の痴態にあてられたのだろう、先ほどよりも硬くて熱い。
先ほどよりも慣れたかな、なんて思いながら葵は息を整え始めた。


「…齋藤、動くぞ」

「え…、?」


すると、ほんの少し呼吸を荒げさせた鷹島が、葵の耳元でぼそりと呟く。
動くこともまだ理解できない葵を知っていながら、鷹島はもう限界で。
前立腺を擦り上げるように、自身を突き上げ始めた。

「っあ!?、あ、あっ!」

がくがくと身体を揺さぶられ、何度も突き上げられる。
指よりも質量も熱さもあるそれが、何度も自分の中を往復するだけで、ぞわぞわと甘い快楽が背筋を駆け上がった。

気持ち悪くて、痛くて死にそうだったのに、今はただ気持ちよくてたまらない。
徐々に増してゆくスピード。
中で更に鷹島のカウパーで濡れそぼってゆくのか、水音は増し、葵の聴覚をも犯した。


「…齋藤、」

「んっ、んぅ…!あ、あぅあっ…!」

声を抑えることも忘れ、快楽が伝わるまま口をだらしなくあけて喘ぐ葵。
いやらしい表情に、思わず鷹島は身を屈め、その唇を貪った。
事故を除いて、初めてのまともなキス。
とは言えども唇が触れる程度ではなく、舌同士が濃厚に絡み合うものだった。

赤い舌をぐちゅぐちゅと音をたてて貪り、上顎を擦る。口からも、後孔からも与えられる刺激に、葵はひたすらぼろぼろと涙を流した。


「あふ、ん…むっ!」

もうだめ、だめだ、と心の中で意味の無い叫びを上げながら、その舌に答えるかのようにおずおずと絡ませた。
これじゃあまるで、普通に恋人同士のセックスだ。


きゅう、と葵の胸が切なく痛む。
なぜだか、本人も分からない。


触れる肌が音を立てる。
スピードはますます増し、突き上げは深くなり葵も鷹島も限界が近づいてきた。
キスを止め、鷹島はしっかと葵の細い腰を掴み、腰をグラインドさせながら突き上げる。


「あ、ふぁっ!?や、それ、あっ…!あ、あ!」

びりびりと全身に強すぎる快感が走った。
先ほどとは比べ物にならないオーガズムの前兆に葵は怯えながらも、喘ぐ。
しかし、先ほどから自身は勃起しつつも擦られていない。ゆるゆると2人の腹の間で若干擦られているがそれだけでは足りないのだ。

すると、余裕の無い鷹島がそれに気づく。
突き上げるたびに揺れるそれを掴み、突き上げに合わせて擦り上げた。


「ひ、やっ!わ、あ、あぁ…!い、いく、いく…っ」

ひぃひぃと泣き喘ぎながら葵は絶頂の直前まで駆け上がる。
それは鷹島も同じで、余裕もゼロ。
あまりにも葵の身体は気持ちよすぎる。身体の相性でもいいのかとぼんやり思いながら、


「わりぃ…、中に、出す、っ」


外出しする余裕もないことを伝え、一気にラストスパートをかけた。
何度か突き上げ、前立腺を擦った瞬間、葵は全身をびくびくと跳ねさせながら、


「ふ、あぁあっ…!あ、あ、…っ」

しばらくオーガズムを続けさせながら、白濁を自分の腹と鷹島の腹に吐き出した。
その瞬間に、きゅうと締め付ける中に鷹島も白濁を吐き出す。
経験したことの無い、熱い何かで中を濡らされる感覚に、葵は身を奮わせた。


「ひ…ぅ…あつ、熱い…」


うわごとを呟きながら、無意識で最後の1滴まで出し切ろうと腰を何度か緩く動かす鷹島の動きに、びくびくと震える。
全て出し切り、ずるりと萎えた陰茎を抜くと、未だいやらしくひくつく後孔からどろりと白濁が流れ出た。


汗と白濁で大変なことになっている葵を見下ろし、どうやってシャワー室まで連れて行こうか、と鷹島はぼんやりと考えながらその熱い身体に圧し掛かった。
久々のセックスは疲れる。
それ以上に、葵は初めてなので疲れたどころではないのだが。

2人とも荒げた呼吸をやっと整え、鷹島も身体を起こし、葵の手首を拘束していたベルトを外した。
ふと、気づく。
葵が先ほどとは違う涙を流していることを。
眉尻を下げ、それこそ悲しそうにはらはらと雫を静かに流して。




「ひでぇよ…ひどい…、先生、俺の初めて、ぜんぶ、先生が獲ってった…」



涙声で必死に訴えた。
葵は今更ショックを覚えたのだ。
可愛いもの好きを知られたことも、誰かのために料理をすることも、一緒に居る心地よさも、キスも、セックスも。
全部、鷹島に持ってかれたことに。
そして、それを全部受け入れてしまった自分に。


「…齋藤、お前…」

鷹島は心底驚いた表情をして、わなわなと唇を奮わせた。
なぜならば、



「童貞だったのか…!?」



ヤリ●ンだと思っていたのに、その発言とセックスのときの初心さからすればどう考えても童貞。
その意外性に驚きと、ほんの少し嬉しさが混じり、鷹島は言葉も出ない。

しかし、その直後。
彼に今更ながら「やってしまった」という後悔と罪の重さが圧し掛かった。


いくら男だろうと、挑発するような冗談を言ったろうと、葵は生徒。
守るべきはずの生徒しかも童貞でセックスも知らない男を、痛みと快楽に溺れさせ、肉体のつながりを持ってしまった。

そして、泣かせた。
深すぎる傷をつけてしまった。



もう後戻りできない、自分の愚か過ぎる行動に鷹島はがくりと肩を落とす。
後悔と、葵に対する申し訳なさで強張った顔を、葵は不思議な目で見上げた。



夕焼けのオレンジが、情事の卑猥さと汚さをくっきりと照らしていた。

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