小説 | ナノ
6. 友達ができた
組み分けから1週間がたった。その間ジョンがハーマイオニー達に会うことは少なかったが、彼は思ったより不満を感じていなかった。
「ジョン、次は魔法薬学だ。はやく行こうぜ」
「そうだなアラン。確か地下牢だったね」
というのも、レイブンクローで新たな友人ができたからだ。 新しい環境に多少戸惑いはあったが、もともとジョンの人好きする性格もあって、彼はすぐになじんでいた。1を聞いて10を知るレイブンクロー生との会話は、今では家族と話すことより面白かった。
「問題。生ける屍の水薬の材料を答えよ!」
とりわけアランと話すジョンは楽しげだ。アランはジョンと同じくらい知識があるレイブンクローの1年生だ。その上ジョンをライバルのように見ていて、よくジョンを試す。
「生ける屍の水薬っていえば……たしか6年生の範囲じゃないか!?」
わざとらしく驚いたジョンにアランが満足げに笑う。それを見ていた周りのレイブンクロー生が上品にクスクスと笑い声をあげる。この光景はもはや当たり前になっていた。
「どうだ!さすがのお前でもこれはわからないだろう」
「そうだね…さすがの僕でも、生きる屍の水薬が、アスフォデル、ニガヨモギ、カノコソウそれに催眠豆から作られるなんて、とても分からないね」
皮肉気に口角をあげてジョンは言い切った。アランの輝かんばかりだった笑顔が途端に曇る。
「残念だったな」
「くそっ。せっかく兄貴に教科書まで借りて考えたのに…」
「僕のためにそこまでしてくれるのは君しかいないよ、アラン」
「なっ!……僕はお前のためにやったわけじゃない!勘違いすんな!」
真っ赤になったアランを見て思わず吹き出しそうになったジョンは口に手を当てて何とか耐えた。
「笑うな!」
頭がいい割に妙に単純な所が気に入ったのかもしれない。今にも飛び掛かってきそうなアランを愉快に思いながら、ジョンはそう思った。
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