小説 | ナノ
2. ハリーと出会った
11歳の誕生日からしばらくして、ジョンについにホグワーツ入学許可証が届いた。そのことは両親から聞いて知っていたが、家に向かって飛んできた本物の梟に、彼は目を見開いた。 翌日、彼は両親とともにダイアゴン横丁に必要なものを求めに行った。教材は家に揃っているし、杖は5歳の時に買っているので、残るは制服とペットだけだ。 新入生でにぎわう通りをすり抜けてアンダーソン親子は一角にある洋服店へ入った。
「まあアンダーソン夫妻!いらっしゃい。よくきたわね」
「こんにちはマダム。さっそくだけど今日は息子の制服を買いに来たのよ」
「ええ、ええ。わかっていますとも!さあジョン、さっそくはかりましょうか」
マダム・マルキンの勢いに驚くこともなく、ジョンは周りを飛び回るメジャーに身を任せていた。
「背が随分伸びたわね。その上お父様に似てきたわ。ホグワーツでは女の子を泣かせないように注意しなさい」
「はい、マダム」
素直に答えるジョンの後ろで両親は苦笑して顔を見合わせていた。 仕上がった制服は家に届けるように頼んで一行は店を出た。
「おや、あれはハグリットじゃないか」
「あらまあ本当だわ。懐かしいわね」
両親が驚いたように視線を向ける先には他の人々より2回りほども大きな男が少年と一緒に歩いていた。新入生なのか、少年は白いふくろうが入ったかごを抱えていた。
「おーいハグリット!」
両親がジョンを連れて近づくと、ハグリットと呼ばれた大男は先程の両親のように驚いた顔をして振り向いた。
「おお、レベッカにアランでねえか!」
「ジョン、こちらはルビウス・ハグリット。私達のホグワーツでの同級生だ」
父親の言葉にジョンは目の前の大男を見上げた。首を痛くなるほど傾けないと顔が見えない程ハグリットは高かった。
「ジョン・アンダーソンです。よろしくお願いします。Mr.ハグリット」
「よせ、よせ!ハグリットでいい。敬語なんて使わんで気楽に話してくれ」
慌てたように手を振るハグリットにジョンは目を瞬かせた。貴族の紳士淑女に囲まれたジョンにはハグリットの粗暴な言動は新鮮だった。
「ハグリット、そっちの子は?」
ジョンはハグリットの言葉にしたがって戸惑いながらも友達口調で話した。ハグリットは満足したようににこりと笑うと、その巨体に覆い隠されていた少年を引っ張り出した。
「この子はハリー・ポッター。今年からホグワーツだ」
大きな丸眼鏡をかけた少年はジョンをじっと見返してきた。
「ポッターですって?懐かしいわね」
「あいつらの悪戯ときたら……」
突然話し込む両親の横で名前2とハリーはしばらく唖然としていたが、しばらくすると大人たちに倣って話し始めた。
「はじめまして。僕のことはジョンでいいよ。君のことはハリーと呼んでもいいかい?」
「もちろん。よろしくジョン」
二人はそう言ってはにかみあった。
「ハリー、僕君のことを知っているよ。例のあの人を退けた勇者だってね」
ジョンはハリーの名前を聞いて、今まで読んだ本のいくつかにのっていた話を思い出していた。本の中の人であったハリー・ポッターにジョンは好奇心を刺激されたが、眉をひそめたポッターをみてすぐに自制した。
「ところでハリー、あのショーケースの箒見たかい?」
「見た!ニンバス2000。かっこいいよね」
「憧れるよな。あれに乗って空を飛べたら…」
大人たちが話にきりをつけるまでの間、二人の会話が止むことはなかった。
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