act4



act4

……最悪の気分で目覚めた。
ギル達は朝方までに帰ったようだ。
ようだというのも、自分の(一応)大切なモノが、やつらの好奇心の餌食にされたからである。あったことを全力で忘れたい。
主人公が自分でなければ萌えるシュチュエーションだが、エロゲってリアルだとマジ胸糞、立香は自暴自棄になりかけていた。


「立香…ちょっといい?」
朝ごはんを食べに廊下を歩いていると、物陰から藤丸くんが手招きしている。なんだか深刻な顔だ。
柱の陰に入ると、周囲に誰もいないことを確認して、彼は切り出した。

「あのさ、昨晩のことなんだけど」
ああ…やっぱりパスを通じて、彼には伝わったようだ。死にたい。
「僕が言うのもなんだけど、さすがに青少年が相手っていうのは…」
うん、分かってる。
でも昨晩のことは私が被害者なの!そう言おうとしようとしたら、

「立香…
YES!ロリータ、NOタッチ!だからね☆」

藤丸くんは、すごく良い笑顔だった。
いや、僕も好きなんだよ?でも、ロリータは手を出しちゃダメだからね!大人のお姉さんとするのは、お仕事だからね!!

「まさか、立香が僕とおなじ趣味を理解してるなんて思ってなかった。」
すごく深い頷きをしている藤丸くん。
待って、
「ふ、藤丸くん、あのね…」
「僕は理解者だから!!でも、せめてギルくんだけにしてね!」

コイツ、こういう趣味だったのか。
そういえば、幼女たちに『トナカイさん』『お母さん』と呼ばれた時、すごーく笑顔だった。あのとき、ほっこりした空気にごまかされてました。 思い返してみたら、コイツにやにやしてました。

「でね、お願いがあるんだけど…」
一番いい笑顔をしていたのは、あのサーヴァントか。
「…わかった。アストルフォには手を出さないから」
「わかってるう!!アストルフォきゅんの貞操は守らないとね!!」

るんるんスキップで帰っていく藤丸くんを見ながら、
私の中で何かが壊れる音がした…。



「おい、雑種」
ギルくん、賢王の二人に会うのは絶対嫌だった。
でもまさかこの人に話しかけられるとは。
「はいなんでしょう英雄王(棒読み)」

触らぬ神にたたりなし、とはこの神(ひと)である。立香は跪いて臣下の礼をとりながら、1秒でも早く終わることを祈った。
「あとで我の部屋へ来い。幼い我と年長の我から聞き捨てならん事を聞いたのでな」
「っ…」
げーっあいつら話が早すぎる。
英雄王への恐れより、怒りがむかむかと湧いてきた。



「…話とはなんでしょうか」
食事後。何事もなく終わるのを祈って英雄王の部屋を訪れた。いや、この英霊が関わってロクなことってないんだけど。
英雄王は権威や壮麗さを追求した無駄にでかいベットでくつろいでいた。

「うむ。貴様、昨夜は幼い我とたわむれたのであろう?」
「…戯れたというよりも、奪われたほうが正しいかと」
 あいつら、こんど会ったら絶対に口をきくもんか。
「ふん、雑種ごときが。自分の純潔を高く扱うか。むしろ高貴な王に貰われた、と感謝の言葉を言うと思ったぞ」
 今日は英雄王の一言一言が心の棘にひっかかってしまう。
「・・・それで、王は何をお望みなのですか?」

「本来なら、幼い我と年長の我が何をしようがかまわぬが」
英雄王の赤い眼が細められる。嫌な予感しかしない。
「…存外、悪くなかったと聞いてな。あやつらが知っていて、我が知らぬものがあるというのは不快だ。よって、我も貴様に施しを与えようと思っておる」

英雄王が手を伸ばし、立香は慌てて身を翻して部屋を出ようとした。
しかし、瞬時に神を縛る鎖が伸び、手足を縫い付けられる。

「やっ…!やめてください!」
「本来なら貴様程度、純潔でなければ価値を感じぬ。ありがたく思え。あまりうるさくすると、マスターといえど首を落とすぞ」

過去に実際にあった話を思い出し、寒気が走った。
いやだ、でも殺されるよりはマシかもしれない。だが、このままギルたちのおもちゃになってたまるもんか!

怒りで恐れが吹き飛ばされ、立香は必死に頭を働かせた。
神性のない相手なら、鎖はただの鎖である。英雄王の体が近づき、無防備な隙を見せた瞬間、令呪を込めておもいっきり顔をグーパンをした。


英雄王が弧を描いて、飛んだ。しっかりダメージが入ったようで、地面に着地した王はしばらく動けない。もう何をやっても酷いことをされるのは変わりはない、と思い、思いっきり言いたい事をぶちかました。

「んなあーーにが、施しよ!素直に『やりたい』っていえば良いじゃない!
 子ギルに負けてるのがヤダって??つべこべ言わず、素直にお願いしてきなさいよ!
  「「 この、エロ変態王が!!! 」」
 
しーーん。
言い切った後、怖くて立香は目をつむった。しかし、何もない。
おそるおそる目を開くと、なんと英雄王が床に這いつくばって土下座していた。

「えっ…なにしてるんですか?」
「貴様が…令呪で『おねがいしろ』と言ったからだ!」
げっ。確かに、手の令呪は赤く光り、反応している。グーパンで殴ったことも強制力につながったのかもしれない。
土下座をした英雄王は、耳の先まで真っ赤だった。

「あ、あの…取り消しますよ。もうやらないっていうんだったら…」
そういったのだが、英雄王は手を地面についたままである。
「…何をいう。わ、我は…」
やばい。英雄王は今にも爆発寸前に見えた。「やりたいのだ!」
「えっ?」
「やりたいのだ!自分が知っていて、知らないことがあるなどと!!『お願い!ヤらせてください!』なのだあーー!!」

土下座で〇〇〇〇をお願い。最高にダサすぎる瞬間だった。



令呪が発動した。立香が断ろうと、絶対にやりたい彼は何度も土下座でお願いをしてくる。英雄王は譲るタイプではないので令呪は解けない。つまり、立香が受け入れるまで土下座は続くのである。

…あれ、これ絶対しなきゃいけない流れなのでは?

不幸にも3角あるうちの2角を別用で使っていた。1日経てば、取り消せる。そう思ってやり過ごそうとしたが、立香はトイレに行くし食事もしたい。仕事もある。なら、英雄王は付いてきて土下座する。
しだいに英雄王の英霊としての尊厳が危ぶまれ…3時間以上この攻防を繰り返したあと、しぶしぶ受け入れざるを得なかった。

拝み倒した後の行為は、なぜだか立香優位で進んだ。そのとき、英雄王の何かが変わったのだという。
その後、英雄王は立香を見るたび… 尊大ななりをしずめ、ぽっと頬が赤くなっているような気さえした。


「ねえ立香。あいつともしたのはわかりましたが、」
 ギルくんが大人自分をおぞましい目で見ている。「あいつ、頭のネジが一個どころじゃなくおかしくなったみたいです。霊器が変わってきてますよ…」
「えっ…」
「どんな凄いのをやったんですか?これは、もう一度確認する必要がありますね!
 立香、いまから時間ありま  「ギルくん、だまろうか?」


二度と、ギルたちに体を許さない事を誓った立香。
3人のギルたちが結束する日は近い!!?


続くと思うなよ!




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