「ただいま〜…って、ぅお!?
ジェイドがテレビ見てる…」

リビングに入って、まず驚いてしまったのは、どう考えたって娯楽番組なんか見そうにない同居人の、テレビを見る姿だった。

振り返った彼は、お帰りなさい、と苦笑しながら言った。

「失礼ですねぇ。私だってテレビくらい見ますよ」
「しかも、クイズ番組とか……」

ジェイドが言ってるのより、番組内容に対する驚きが勝ってしまった。

「そんなに驚くことですかねぇ?」
「驚くべきことだって!!
明日の天気が心配だ…!」

明日は晴れですよ、と言う声も無視して、ベランダに続く窓から空を見上げた。

「全く、失礼ですね。
さ、シャワーでも浴びてきなさい。食事の用意はしておきますから」
「ん、分かったー」






『では、次の問題!
英語で"あい"とは何でしょう?』


「――あい?LOVEでしょう」

夕食の用意が整ったテーブルに着いて、テレビを眺める背中に抱き付く。

髪を伝った滴が、ジェイドの頬に落ちる。

「――ルーク。
髪はきちんと拭きなさいと、いつも……」
「あ、オレ、この問題の答え知ってる!」

注意する声を聞き流して、テレビを指差した。

ジェイドが腕を引っ張って、自分の前の椅子に後ろ向きに座らせた。
肩にかけたタオルで、優しく髪を拭きながら、問うてくる。

「――答えは何ですか?」
「答えはな、オレ!」
「ルーク?」

や、違う、自分?と首を傾げている間に答えが発表される。

解答者の答えは、大体『LOVE』。
しかし、正解は『私』。

「――つまり、英語で"あい"とは、日本語の"愛"を訳せ、ではなく、英語の"I"を日本語では?という意味だったんですね」
「そーそー!スゲー上手いこと言ってるよな!!」

ニコニコと振り返ると、ジェイドが唇にキスを落とした。









「私にとっての"愛"を形にすると貴方なので、答えは"ルーク"で正解なんですよ」



「こんの…!はっずかしい奴め…っ!!」
























【参考】
ボーカロイド『1925』(とみーP)より
「"アイ"とは何ぞと問われれば、それは"私"と答えようぞ」




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