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kobakoまとめ *2022.12月号
・ほぼ魔族長と部下夢主(+たまにリザル)の会話文です。
・時系列等々バラバラ
・series設定の話も含まれています。


▼ドヤァしてる夢

「…………すぅ」
「(マスター、寝ちゃった)」
「…………」
「(ちょっと苦しいけど、ぎゅーされたまま眠るの、幸せだなぁ)」
「…………フン」
「……ん?」
「…………フンフン」
「……マスター?」
「……すぅ」
「(あ……夢の中でフンフン言ってるみたい……)」

▼夢見長

「……フンッ」
「(あ、今日も夢見てる)」
「…………フ」
「(何の夢なんだろ、毎回)」
「…………」
「(ん、終わった?)」
「──お前の右目は柔らかいね?」
「へ……」
「……すぅ」
「(なんか、とてつもなく我が身が危険な夢を見てる……!!?)」

▼いろんな奇声が出てくるなと思った

「……(ふっ」
「ひょわぃッ!!?」
「…………」
「な、な、いきなり何ですか……!? 何で耳フーされたんですか私……!?」
「…………(ふーー」
「ひひんッ!?」
「……フ」
「何でそんなに楽しそうなんですか……!?」

▼すべすべ主人ともちもち部下

「マスターのお肌、本当にすべすべですね。何か秘訣とかあるんですか?」
「ッフン、ワタシを誰だと思っている。この身が生を受けた瞬間から美の化身であること──理由などそれだけ、だよ」
「ちょっと何言ってるのかわからないですけど……ちなみに、マスターがずっと触ってる私のほっぺはどんな感触ですか?」
「………………」
「マスター?」
「…………もち」
「へ?」
「……何も言っていない」
「??」

▼びっくりした

「ま、マスター……!?」
「……何」
「か、かお……お顔……!」
「は?」
「お顔──整いすぎじゃ、ないですか……!!?」
「フゥン!! 当ッ然だともッ!!」

▼こっちもびっくりした

「…………お前、」
「え、何ですか?」
「……何でこんなに貧しい体をしているのに、食べたくなる唇をしているのだろうね」
「は、はい……?」

▼かさかさ

「んむー……」
「間抜けな唸り声だね。どうしてもと言うなら、このワタシがその理由を聞いてあげようか?」
「(あ、今日ご機嫌みたい……)……そですね、ぜひお願いします」
「ッフン! で、何」
「寒い時期だからかすごく乾燥してるなと思いまして。空に比べて、大地はお肌のケアが大変で」
「ハッ、人間の体は脆弱な物だね? このワタシの肌は常に潤いを保っているというのに」
「うー……羨ましいです。全身カサカサですもん。特に唇が」
「ふぅん? ……なら、良い方法を教えてあげようか?」
「え、本当ですか!?」
「ああ、本当だとも。……教えて欲しいのなら、両目を閉じろ」
「はい! …………」
「…………(ちゅ」
「ん!!?」
「…………(ちぅーー」
「ん、む…………っぷは!! な、なななんで、キス……!?」
「言っただろう。良い方法を教えてあげると。……ほら、ワタシのこの潤う唇で、可愛がってあげる」
「は、はひ……!?」

▼きゅっきゅしたい

「マスター、剣、磨き終わりました」
「ふむ」
「…………」
「…………」
「……あれ?」
「何」
「いや……『次はワタシを磨け』って仰るかと思ったんですけど……」
「邪な気配を感じたからね」
「バレてる……」

▼起きるの断念主従

「マスター、朝ですよー」
「……るせぇ」
「今日はとっても寒いので、お布団から出たら危険ですよー」
「…………」
「だから、えっと……一緒にぬくぬくしたい、ですよー……」
「……………、……ん」
「い、入れてくれるんですか!?」
「るせぇとっとと入れ」
「はい……!」

▼喜ばざるを得ない

「お手」
「…………(ぽす」
「おかわり」
「…………(ぽす」
「ふむ。……イイ子(ちゅ」
「う……。……マスター」
「ん?」
「ご褒美でちゅーは……その……嬉しいと思っちゃうので、」
「だから与えるのだろう。調教、なのだから」
「うー……」

▼ヴァルガさんのことをリザル先輩に報告してみた

「そういえばこの間、竜に変身する武人さんに会ったんだよね」
「ンあ? なンだそりャ」
「衝撃的な出会いすぎてなんて説明すればいいのかわからないんだけど……、『誇り高きリザルフォス』って言ってたから、知り合いかと思った」
「おー……誰だか知らねェケド結構な評価じゃねェの。ぜひお会いしてェモンだな」
「たしかに、リザル同伴ならあの人と会っても襲われないかな……。……マスターとおんなじくらいの存在感の人たちがわんさかいる戦場なんだけど、リザルも一緒に行、」
「絶対に行かねェ」
「……ですよねぇ」

▼にがにが

「…………う」
「……何かな、それは」
「空で流行ってる、“こーひー”って飲み物なんですけど……しかめっ面になる苦さです」
「たしかに、情けない顔をしているね?」
「でも、大人の飲み物らしいんです、これ。だから何とか涼しい顔して飲めるようになりたいんですけど……、……うぇ」
「極貧体型のくせに大人とは。叶わぬ夢を見るのは愚かな証拠だよ」
「むー……じゃあマスターもトライしてみてください」
「ッフン! こぉんな飲み物程度、すぐに飲み干せるとも。…………(ごく」
「…………どうですか?」
「……、…………、……ぐ」
「え」
「……ッは、やはり、人間が口にするものは、瑣末なもの、ばかりだね……けふ」
「(うっっすら涙目になってる……苦かったんだな……)」

▼雪だるまみたいだなって思った

「…………チッ」
「すごい雪……! 頭に積もっちゃいます……!」
「くだらないことを言っている暇があるならとっとと足を動かせ。ワタシの身に何かあれば、お前をこの雪の下に沈めるよ」
「ううう、ろくに前、見えないのに……! ……あ、そっか、フード被ればもう少しマシになる……?」
「…………」
「あ、マシになった! マスター、これでばっちりです! しゃきしゃき歩けて、」
「…………(なでなで」
「……? マスター? 何で頭撫でて下さるんですか……??」

▼愛らしく思えちゃった

「…………」
「むぎゃ」
「…………」
「まふた、はな、つままないれ……」
「…………」
「……まふたー?」
「…………可愛い」
「ふへ!?」

▼ほんとはしたいけど

「(二徹、終わった……けど、マスターのオネムの時間に被っちゃった……。寝かせてもらえないかな……今日も)」

「失礼します、マスター」
「遅い」
「はい、お待たせしました。……ってあれ、マスター、今日はもうオネムモードですか?」
「……このワタシが待っていてあげたというのに、喧嘩を売っているのかな」
「い、いえ……。……えっと、とりあえずお隣、失礼します」
「……ん」
「…………」
「…………」
「……マスター」
「何」
「……今日は、しないんですか?」
「……したいの?」
「え、えと……、……このままが幸せです」
「フン。……なら、ワタシの美貌を存分に噛み締めながら、とっとと寝ろ」
「はい……」

 ──数日後。私はふと思い出したのです。
 あの日の朝。私が主人に、空で耳にする『過労死』という言葉の意味を教えたということを。

▼髪が乱れてたので

「…………、」
「…………」
「……(なでなで」
「……何」
「えと……急にマスターの頭を撫でたくなりまして……」
「……フン」
「(あ、大丈夫そう……)」

▼やっぱり一緒に寝たい気分の日

「それじゃマスター、おやすみなさい」
「ん」
「(今日は一緒に寝ない気分の日かぁ、ちょっと残念……)」

〜部下部屋
「……すぅ」
「──(バァンッ!!」
「!!?」
「…………」
「(ま、マスター……が、部屋に突撃してきた……!?)」
「…………(ごそごそ」
「(ち、近づいてきた……)」
「…………(ぎゅぅ」
「(あ……やっぱり一緒に寝たかったんだ……)」

▼破壊力のある擬音

 〜ある日のこと

「ほぉら馬鹿犬。このワタシの唇をもらえて嬉しいんだよねぇ? せっかくキスまでしてあげたのだから、ご主人様にご奉仕しないと、だよねぇ……?」
「うううう、やけにあっさりちゅーしてくれたと思ったら……!」

「(やっぱり、私はマスターのちゅーに弱すぎる)」
「(マスターの横暴から逃れるためにも、ちゅーに耐性をつけなきゃならない……!)」

 〜数日後

「リシャナ」
「なんでしょう」
「ん」
「……しません」
「は?」
「今日、は、キスしない日、です」
「…………」
「しない日、です」
「…………」
「…………」
「……リシャナ」
「はい」
「──“ちゅー”、は?」
「!!!!」
「…………」
「……ちゅー、しましゅ…………」
「ッフン」

▼癒しり

「……(なでなで」
「…………」
「……(もみもみ」
「……マスター」
「何」
「……最近、日常的にさりげなくお尻触ってきますけど、そんなに好きですか。私のお尻」
「そんなはずがないだろう」
「……じゃ、なんでずっと触ってるんですか」
「主人として、お前の貧相な体つきを憂いてあげているのだよ。ワタシの愛がお前にはわからないのかな?」
「マスターからいただける愛ならいくらだって欲しいですけど……反面で、お尻触られても動じなくなってきた自分がいて、すごく複雑です」
「へぇ? なら、ここを撫でられただけで絶頂してしまう体に開発してあげようか? お前が望むなら、すぐにでも、取り掛かってあげる」
「う……お尻撫でてるだけなのにそんな色気出せるって、どういうことなんですか、マスター……」

▼ん

「……マスター」
「ん」
「ずっと私の腰にお顔埋めてますけど……苦しくないんですか?」
「……むん」
「えーと……、……とりあえず頭、撫でますね」
「ん」
「(音程上がった……嬉しいのかな……)」

▼フンフンフン

「ふん」
「…………」
「ふんふんふ」
「…………」
「ふ……ふぎゅ!!」
「……さっきから何」
「は、鼻痛……! マスターのフンフンが何を言ってるかわかるようになってきたので、私からも伝わるかなと思い……」
「……ッフン」
「『馬鹿だね』のフンですね…………」

▼ひんやりした手とあたたかい首
ちょっとだけ首絞め

「……ぐ、」
「ああ、やはり思った通りここは温かいね」
「ますた、こわい、です……」
「力は入れていないのだから、呼吸は出来ているだろう? 本気で絞めた時の顔も気になると言えば気になるけれど」
「っ……」
「熱をもっているだけでなく、手に伝わる鼓動も心地が良い。……これからは、こうしてお前の首で暖を取ろうか?」
「それは、やです……」

▼打倒赤の一族

「──これは異国のお話らしいんですけど」
「……ふむ」
「ある国では、この時期になると赤い装束を纏った一族が獣を操って自分を運ばせて、人間たちの元へやって来るらしいんです。彼らが現れるのは人間たちが寝静まった頃。そして小さな子どもがいる場所」
「…………」
「誰にも姿を見せずその一族は子どもに近づき、一つの箱を置いて立ち去るそうです。何故子どもに直接危害を加えないのか、何のための行動なのかは現在も不明」
「…………」
「やがて目を覚ました子どもは枕元にある箱を開けて──そして、その一族に感謝を捧げます。姿を見ていない、同じ人間なのかすらわからない、得体の知れない一族に」
「…………、」
「本の執筆者はこう締め括っています。『奴らは暗闇に紛れて子どもたちをじっと見つめている。そしてその日──つまり、奴らが新たな仲間を迎える瞬間を、ひたすらに待っているのだ。世界を支配するのは、魔族ではなく赤の一族なのかもしれない』」
「────」
「……だそうです。そんなわけで、この本読んだら何だかすごく怖くなっちゃったので一緒に寝たいなって、」
「……リシャナ」
「はい?」
「その赤の一族とやらが滅びたという記載はないんだね?」
「え、は、はい。ないみたいです」
「わからせてあげなければならないよね……? 誰がこの大地での格上なのか」
「……え? マスター、まさか……」
「──赤の一族を、潰しに行くよ」
「へ!? い、いや、本当にいるかわからないですよ!? そもそもこれも作り話だと思いますし……!」
「ならそれを書いた人間を潰しに行く。この大地を支配するのは、魔王様、だけだよ」
「へ、変なスイッチ入っちゃった……!!」

 *

「そんなわけで、集めた情報によると、赤の一族が来るのは明日から明後日にかけての夜だそうです」
「ふむ」
「なので、頑張って起きて、赤の一族が来たところに奇襲をかけるのがいいかなって」
「ふむ。いいだろう」
「じゃ、マスター。一緒に夜更かしタイムで、」
「赤の一族が現れたら起こせ。ワタシは寝る」
「何でですか!! マスターもたまには一緒に徹夜しましょうよ!!」
「ハッ、このワタシの美しい肌がどうなってもいいのかな?」
「くっ……自分のお肌を人質にとるなんて卑怯です……!」

 *

「…………」
「…………(かくん」
「リシャナ」
「ふぁい。…………(かくん」
「……おい」
「うぎぅ……、眠い、です……」
「お前が徹夜をすると言ったのだろう。発言には責任が必要、だよねぇ……?」
「マスターはついさっきまで私に見張りと膝枕させておいてぐっすり眠ったじゃないですか……! そもそも、本当に赤の一族が来るかもわかんないですし……」
「フン、そうして油断をした瞬間、無様な弱者は外敵に命を屠られるのだよ。哀れ、馬鹿部下の命もここまでということか」
「マスターの中の赤の一族、凶悪すぎませんか……!? あとなんで私だけ狙われる想定なんですか……!?」

 *

「…………、……はっ!」
「…………」
「あ、朝? やっぱり寝ちゃったんだ、私……」
「……すぅ」
「マスターも寝てる……あれだけ私のこと起こしといて……。……ん? これ……マスターのマント?」
「…………」
「……もしかして、体冷えるからかけてくれたんですか?」
「…………すぅ」
「……ありがとうございます、マスター。……今日も明日も、ずっと大好きです」
「……、…………すぅ」

▼考えてみたら無理だった

「そろそろ今年も、ゆく年くる年いつでも隣にギラヒム様の時期ですね」
「……馬鹿にしているのかな?」
「してないですよー。来年も大好きな人と一緒にいられて幸せだなって思ってるだけです」
「単純なものだね。……それに、そう聞いてしまうといっそのこと一年間離れてやりたくなるね」
「え」
「それだけ離れていればお前もこのワタシの偉大さを魂にまで刻み込んで二度と生意気を言えなく──、」
「…………」
「…………」
「…………」
「……なると思ったけれど、お前の場合、ワタシがいなければ屍同然になってしまうだろうしね? 慈愛に満ちた主人が、仕方なく、側に置いてあげようじゃないか」
「(ほっ……)」

▼日を見送る理由

「日、沈みましたね」
「……ああ。…………」
「(マスターが空を眺めるなんて珍しいけど……やっぱり一年で最後の日没だからなのかな……)」
「……リシャナ」
「はい」
「……おいで」
「! は、はい……!」
「……以前までは、過ぎる年月なんて何の変わり映えもなく、興味も湧かなかったのにね」
「今は、違うんですか?」
「さあ。どうだろうね。……けれど、」
「…………」
「明日お前にしてあげる躾を考える楽しみくらいは、あるのかもしれない。……とても手のかかる馬鹿部下がいるせいで、ね」
「ふふん、マスターが望んで下さる限り、ずっと一緒にいますよ。何年経っても、ずっと」
「フン。……生意気」



次回もお楽しみに!