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kobakoまとめ *2022.10月号
・ほぼ魔族長と部下夢主(+たまにリザル)の会話文です。
・時系列等々バラバラ
・series設定の話も含まれています。




▼ムキムキ勇者

「リザル……私、リンク君に勝つの、無理な気がしてきた」
「ンだよいきなり」
「……この間、フィローネの森でたまたまリンク君を見かけたんだけど」
「おう」
「谷のところ、地面と地面を繋いでるロープあるでしょ?」
「ああ、ボコブリンが使ってるヤツな」
「……あそこからバランス崩して落ちた時、そのロープに両手でぶら下がって、ぶんぶん暴れてボコブリンの子たちを落としたと思えば、懸垂の要領でまたロープの上に乗って」
「…………」
「……あの筋肉で殴られたりしたら死んじゃうなって」
「……ソダナ」

▼目指せむきむき

「そんなわけで、鍛えます。筋トレします」
「ふぅん」
「興味無さすぎますよ、マスター。部下が一世一代の決意をしてるんですよ? 一念発起ってやつです」
「うるさいね。お前が何を発起しようとワタシには関係がない話だ」
「関係大有りですよ! 私もむきむきになって、リンク君に勝てるようになればマスターも大助かりじゃないですか!」
「方向性を間違っていると、わざわざ言ってあげないとわからないのかな?」
「まずはマスターのことを抱っこできるくらいにはなりたいですね、やっぱり」
「…………」

▼釣れない部下

「マスター、一つお願いがあります」
「却下」
「…………聞くだけ聞いてくれてもいいじゃないですか」
「どうせまたくだらないオネダリだろう?」
「あの池のお魚、一匹でいいので短刀で仕留めて欲しくて」
「……やはりくだらないオネダリじゃないか」
「くだらなくないです! 部下の貴重な食糧源ですよ!!」
「なら自分で獲れ」
「だって……、……何回やってもエサだけ持ってかれちゃうんですもん」
「……リシャナ」
「……なんですか?」
「ぶ・き・よ・う」
「わかってますよもうッ!!」

▼釣れない部下 続き

「やっぱり釣れない……餌が悪いのかな……」
「腕が悪いのだろう」
「それとも場所が悪いのかな……」
「腕が悪いのだろう」
「…………あ、もしかしてお天気が悪いとか」
「腕が、悪い、のだろう」
「ぐぎゅ、ま、ますた、聞こえてますから踏まないで……!!」
「部下の分際で主人を無視するとはね。……まあいい、寛大なこのワタシが良い方法を教えてあげようか」
「え!! 良いんですか!?」
「ッフン、良いだろう。平伏して聞くといい」
「はい……!」
「この世のあらゆる生き物は美しいものに惹かれるように出来ている。つまり、あの魚たちに美しいものを見せてあげれば良い」
「はい! ……へ?」
「そこでだ。──このワタシがッ! この艶めかしい肌を見せつけて! あげればいいんだよッ!! これこそ! まさに! 最適解!!」
「ま、マスター! そこで騒いだら魚がみんな逃げちゃいます! 私の貴重な食糧が……!!」

▼過保護長 魔力の場合

「マスター、あそこにある木の実、美味しそうだと思いませんか?」
「思わない」
「…………たかーいところにあって、手が届かないなぁと思いまして」
「へぇ」
「……わかりました。魔銃で落とします」
「ふぅん? 誰の許可を得てそんな愚かなことをすると言うのかな? そうまでして干からびてしまいたいのかな? ねえ、リシャナ?」
「ううう……何で私が魔力使おうとすると怒るんですか……!!」

▼省エネ部下

「そんなわけで、弓の練習をしようと思ってます」
「お前には無理だよ」
「……そんなに即行で切り捨てなくても」
「わかりきったことだからね? むしろ感謝してほしいものだよ。可愛い部下が無駄な努力をする前に主人自ら止めてあげているのだからね」
「む……。けど、マスターだって私が弓矢使えるようになったら便利じゃないですか? 魔力も使わないですし、“しょうえね”ってやつです」
「“しょーえね”とやらが何だか知らないけれど、お前には相応しくない言葉だというのは理解が出来るよ」
「いじわる……」

▼省エネ部下 続き

「そんなわけで、」
「俺は使い方知らねェかンな」
「………………」
「ンな顔しても知らねェモンはシラネッての。リザルフォスの手はそンな物が使えるように出来てねェンだよ」
「我らがリザル先輩ならと思ったのに……」
「悪かったな期待外れで。つーか、ボコブリン共の動きとか見てりゃわかンだろ、大体」
「そこまではやったんだけど……、私が不器用すぎて、あらぬ方向に矢が飛んでいきまして……」
「……あァ、魔物部屋でちょっとした騒ぎになってたな」
「魔銃と同じ感覚で行けるかなって思いまして……“しょうえね”って難しい……」
「その言葉の意味は知らねェケド、俺ァやめておいた方が周りのためだと思うぞ」

▼癒しグッズ的な

「…………」
「マスター、お疲れですか?」
「…………見ればわかるだろう」
「何かお手伝い出来ること、あります?」
「……(指クイッ」
「え、お膝乗っていいんですか?」
「お前が言ったんだろう。早くしろ」
「は、はい」
「…………」
「…………」
「…………(もみもみ」
「……何で私のお尻揉んでるんです?」
「お前が言ったんだろう」
「言ってないです」

▼お背中お流ししてください

「リシャナ」
「はい。……シャワーですか?」
「他に何がある」
「……やっぱり二人でシャワールーム入るの無理があ、」
「ワタシの美肌を、見たくないと、言うのかな?」
「見たいです。……あ」
「フッ……なら、やるべきことはわかるよねぇ?」
「くっ……扱い方握られてる……!!」

▼反省会

「振り抜きが甘いね」
「……今日の剣技のお話ですか?」
「当然だろう。人間故の非力さを考慮しても、容易く受け止めてしまえる甘さだよ」
「……散々言われたから頑張ったつもりでした。また素振りしないとですね」
「ッフン、せいぜい愚直に励む事だ。……あとはやはり、重心の移動が文字通り致命的だね。ワタシが相手をしたならば、すぐに間合いをとって胸を貫けてしまうよ?」
「むー……剣技しか取り柄がないのに散々な言われよう……。……あと、マスター」
「何」
「……せっかくのお膝の上ですし、もっと甘えたいです、私」
「へえ? このワタシがお前のような馬鹿部下の剣技を見てあげているというのに、文句があると?」
「……ごめんなさいでした」

▼いじいじたのしい

「ま、マスター」
「何」
「さっきも言いましたけど……私この後、剣技の練習しようと思ってまして」
「それが?」
「……こんなに可愛く髪の毛いじってもらっちゃったら、剣技の練習が出来なくなるなと思い」
「じゃあ、しなければ良い」
「ええ…………」

▼需要と供給が一致する日

「リシャナ」
「わ、なんですかマスター、いきなり抱きついてきて……!」
「フッ、わかっているくせにわざわざ聞くとは無粋なものだね? お前も望んでいたのだろう?」
「そうですけど、何でわかったんですか……」
「わかるとも。お前の主人だからね?」
「……じゃあ、ちゅーしてください」
「強欲だね、本当に。……ほら、こっちを向け」
「……はい」


「──そんな日が一日くらいあったら私も嬉しいなって、」
「あるわけがないだろう」
「そですか……」

▼ぽかぽか部下

「魔物ってこどもも体温冷たいんですね。人間と違って」
「そうかもね」
「……相変わらず興味なさそうですね」
「興味がないからね」
「……ともかく、抱きしめてぽかぽかしないのはちょっと寂しいですね。魔物のこどももそれはそれで可愛いですけど」
「…………(ぎゅ」
「……え、マスター、何で私のこと抱きしめたんですか」
「……幼・児・体・温」
「わざわざ抱きしめてまで貶さないで下さいよ。あと私のときめき返してくださいッ……!」

▼ぽかぽか主従 そのに

「ていうか、私の体がぽかぽかなのは代謝が良いからです! 健康的な肉体をしてるんです!」
「健康的な肉体、ねえ? この極貧体型が果たして健康的と言えるのか、甚だ疑問だけれどね?」
「極貧は関係ないですし、私は標準体型です、胸も含めてッ……!!」
「健康的で、標準、ねえ?」
「ええ、そうで、」
「お前の背後にある肉体を見ても、同じことが言えるのかな?」
「…………」
「…………」
「……ごめんなさいでした、マスターの体と比べられたら私は超絶幼児体型です。極貧です」
「ッフゥン!! ようやくわかったようだね? 極・貧」
「うう……」

▼体感温度は一緒

「……チッ」
「マスター、お怪我はないですか……!? マント裂けちゃってますけど……!」
「雑魚風情が……絶対に潰す……」
「(怪我、はなさそう……ご機嫌最悪だけど……)」
「あれを叩き潰しに行く」
「あ、は、はい。どうぞです」
「……その前に、」
「はい?」
「(パチンッ」
「は……へ!? マスター!? 何で服全部消したんですか!!?」
「何故? そんなこともわからないとはね、この馬鹿部下が。こうしてマントが切り裂かれてしまっては、服を着ていなくても同じことだろう?」
「いや、同じじゃないです!! 服は着ててください!! 敵さんもブチギレた全裸の魔族長様に襲われるのはさすがに可哀想ですよ!!」

▼べったり主従シリーズ_作戦説明中

「……で、ここはこの隊に任せて私とマスターは奥に進みます」
「ふむ」
「ただ、地図上ではここが二手に分かれてまして、どちらの道が封印の場所に繋がってるのかわからないんですよね」
「ふむ」
「だからここで私とマスターが二手にわ、」
「は?」
「…………別れると見せかけて二人でこっち側を回ります」
「ふむ」
「(一緒がいいみたい……)」

▼虫さんもびっくり

「息を潜めて、気配を殺して、ゆっくり、ゆっくり……」
「──リシャナッ!!」
「ひぃ!!?」
「無礼なものだね、お前の愛しの主人が来てあげたというのにそんな奇声をあげるなんて。……それで? その間抜け極まりない網は何なのかな?」
「……虫取り網ですよ。大地にいる虫は空で高く売れたりするので、捕まえようとしたんです。……飛んで行っちゃいましたけど」
「フッ、やはりお前は馬鹿部下だね? あんな虫にすらおちょくられるなんて、ねぇ?」
「言っときますけど、マスターが私の名前呼びながらポーズ決めるから飛んでいったんですからね……!? ていうか絶対わざとやりましたよね……!?」

▼よしよししないと

「……はぁ」
「ンだよお嬢、鬱陶しい溜め息つきやがッて」
「……マスターが拗ねちゃったから、帰ったら頑張ってご機嫌戻さないといけなくて」
「ンあー……そりゃご苦労なこッて」
「たくさん褒める作戦はこの間使ったから、今日は甘えさせる作戦かな。徹夜の覚悟をしとかないと……」
「……お嬢、あの人のことたまにご主人サマだと思ってない時あるだろ」
「そんなことはないけど……、………強いて言うならでっかいレムリーだなって思う時はある」
「いいのかねェ、それで……」

▼大根役者

「へ、っくし」
「…………」
「さむ……」
「……リシャナ」
「はい?」
「寒いと言ったね?」
「は、はい……?」
「寒いと、言ったよね?」
「い、いいました、よ……?」
「………………」
「……、さ、寒いから、マスターにぎゅーして、欲しいなぁー?」
「ッフゥン!! 全く、仕方がないねぇ!? ほぉら、ワタシの美しいこの胸に飛び込んでくるがいいとも!!」
「ぐむ、まふたー、ぐるじ……!」

▼あいうえお作文 未遂

「マスターマスター」
「……何」
「ギラヒム様の、“ぎ”ー、は?」
「………………うぜぇ」
「……すみませんでした、出直します」

▼あいうえお作文 完遂

「…………ギラヒム様の、“ぎ”、は」
「銀世界を思わせる美しき髪」
「……ギラヒム様の、“ら”は」
「来世でも朽ち果てることのない、まさに永久と呼ぶべき、美しき肌」
「ギラヒム様の、“ひ”は」
「秘められた部位さえも魅力してしまう、繊細な美しさを纏う、肉体」
「……、……ギラヒム様の、“む”、」
「無限の可能性に満ちた、万能の美しさ……それがワタシッ!!」
「…………さすがでございます」

▼だめになったわけではない

「…………」
「ンだよ、まァたしかめっ面してンのか? お嬢」
「……マスターがあんまりにも起きてくれないから頑張ったのに、噛みつかれたの」
「……話だけ聞いてッと、主従ッてかペットだよなァ」
「ふと思ったんだけど、私が部下になる前のマスターって、ちゃんと朝起きてたの?」
「別に、フツーに起きてたと思うケドな。あの人の行動なンざ、気にもしてなかったッてのもあるケドよ」
「……何で私が部下になってからは起きてくれないんだろう」
「……気、抜いてンだろーよ」
「う……。嬉しいけど、ますます起こさないといけなくなる……」

▼ジレンマ主人 そのいち

「さて。……行くよ、リシャナ」
「…………」
「……おい」
「あ、オネムですか?」
「その言い回し、喧嘩を売っているだろう」
「売ってないですよー。……でもマスター、お部屋までついて行きますけど、今日はそこまでにしますね」
「…………は?」
「今度の遠征で率いる軍の手配がまだ出来てなくて。小隊長の子たちとこの後打ち合わせです」
「…………ふぅん」
「……行かないんですか? お部屋」
「……行く」
「??」

▼ジレンマ主人 そのに

「あの、マスター」
「……何」
「まだ眠くならないんですか?」
「……何か文句でも?」
「……いえ」
「…………」
「……マスター」
「…………何」
「……やっぱり私も寝ます」
「フン。……仕方のない馬鹿部下だね」
「はい、駄目部下です。……んふふ」
「気色の悪い笑い方をするな」

▼ジレンマ主人 そのさん

「……ってことがありまして、朝までべったりぐっすりでした。ごめん、リザル」
「ンなことだろーと思った」
「……幸せなんだけど、こういう時、分裂したいなって思うんだよね。そういう魔術かけられる呪術師とかいないかな」
「気持ちはわかッケドいるとしても気色悪ィからやめとけ」
「二日連続で気色悪い言われた……。でも、昨日みたいに私が出来なかった分のお仕事、リザルや他の子たちに回っちゃうのはさすがに申し訳ないんだよね。どうにかしないとな……」
「べッつに、こっちは代わりが立てられッから気にする必要ねェだろ。あの人の世話はお嬢しか出来ねェンだからよ」
「………………」
「ンだよ、その顔」
「……空にいた頃、“かろーし”って疲れた顔した大人が言ってたんだけど、その人たちに紹介したい職場だなと思いまして」
「一日で餌になるだろーケドな」

▼段ボールを見つけた

Q.段ボールの中に入ってくれませんか?
A.「ッフゥン!!このワタシがこぉんな品のない箱に入るわけがないだろう!入るなら、この肉体を存分に見せつけられる全面ガラス張りの箱に決まっている!!」
「箱に入ることは否定しないんですね」

▼砂界にて

「そういえば、本で読んだんですけど昔海があった頃は海に向かって叫ぶなんて習わしがあったらしいですよ」
「フン、下品なことをするものだね、人間は」
「そう言われたら何も言い返せないですけど……たしかにこのひろーい砂海を見てると叫びたくなる気持ちはわかるかもです」
「下品とわかっててなお実行しようとするなんて、お前は本当に浅はかな部下だね」
「マスターもやってみたら意外と気持ちいいかもしれないですよ? ……すぅ」
「このワタシに浅はかな行為を真似ろと? 馬鹿も休み休み、」
「──マスターのふくらはぎが、さわりたーーーーーい!!!」
「……お前の残念な頭の中には砂しか入っていないようだね」

▼じわじわうけてる

「まふはー」
「ん?」
「……はら、つままらいれくらはい(鼻、つままないで下さい)」
「…………ッフ」
「あそはないへくらはい(遊ばないでください)」

▼だめなの

「それじゃ、そろそろ寝ますね、私」
「…………」
「マスター? ……えっと、この手は」
「フン」
「フンって……じゃあ一緒に寝ます?」
「……フン」
「……マスター、最近私への命令、言葉すら使わなくなってきてません?」
「……ッフン」

▼いやなの

「リシャナ」
「…………」
「……動けない」
「…………」
「いつまでお前の怠惰に主人を付き合わせるつもりかな」
「…………(ふす」
「……昨日あれだけ甘えさせてあげたのに、まだ足りないと言うんだね。強欲なことだ」
「…………(ふすん」
「……いいよ。お前がそう言うのならこちらも好き勝手させてもらおう」
「……(なんで鼻息だけで言いたいこと全部伝わってるんだろう)」


次回もお楽しみに!