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kobakoまとめ *2022.5月号
・ほぼ魔族長と部下夢主(+たまにリザル)の会話文です。
・時系列等々バラバラ
・series設定の話も含まれています。


▼マスターシッター

「…………」
「(ぱたぱたぱた」
「…………」
「(ぱたぱたぱたぱた」
「…………リシャナ」
「はい?」
「…………枕」
「……このお仕事終わってからじゃだめです?」
「………………、」
「……わかりました、行きます」

「マスター、オネムですか?」
「見ればわかるだろう。……お前こそ、こんな夜更けに騒々しい」
「お仕事終わらなさすぎて体内時計がおかしくなってるんです。……マスターが眠った後、お仕事戻りますね」
「…………チッ」
「(……騎士学校の幼児科の子たち、思い出しちゃった)」

▼動物的本能

「リシャナ」
「……マスター、」
「────」
「──っ、ふが!!?」
「……間抜けな顔」
「な、なんれ、ちゅーしてくれるんじゃなかったんへすか!?」
「してあげようと思ったけれど、お前の間抜け面を見ていたら気が失せた」
「なんでですか! 女の子のちゅー顔ですよ!?」
「だから何。……して欲しいなら、雌の顔でもして見せないとね?」
「……じゃあ、マスターも雄の顔してください」
「……へえ?」
「あ……」
「言ってしまったね? リシャナ。……つまり、今日は動物のように本能的に、お前を扱っていいということだね?」
「や、えと、あの!」
「お前が悪いのだよ? せっかく女として扱ってキスまで与えてあげようとしていたのに。……雌として扱われたいだなんて、ねぇ?」
「(舌舐めずりされた……!! 本気だ……!!)」

▼感傷を呼び覚ますきっかけというだけ

「あ、マスター。今日は月の影が見えますよ」
「……ふぅん」
「空の雲が薄くなってから増えましたよね、こういう日。しかも今日は満月みたいです」
「明るくて鬱陶しいだけだろう」
「……魔物って、月の光、好きなんですか? 嫌いなんですか?」
「好きも嫌いもない。煩わしいだけだよ。…………(ぎゅう」
「(全力で私の胸に顔押し付けてくる……あんまり好きじゃないんだろうな……。……頭、撫でとこう)」


「……覚えていないんだよ」
「え?」
「最後に、ちゃんと月を見た日」
「最後……」
「覚えているのは、あの日が新月だったということだけだ」
「…………、」
「……それだけだよ。月に抱く感情なんて」
「マスター……」
「……リシャナ」
「はい?」
「……もう一度、抱かせろ」
「……、……喜んで」

▼嫉妬の矛先がよくわからない

「おいお嬢」
「んー?」
「そろそろ降りろや。とっくに拠点着いてンぞ」
「んー……、リザルの背中、ひんやりしてて気持ちいいんだよねぇ」
「マジで勘弁してくれ。外でならともかく拠点内では俺の命に関わる」
「……それもそうかも。……マスター、まだ帰って来てないよね」
「いねェはずだ。飼い犬の躾の巻き添えならともかく、痴話喧嘩の巻き添えは心底面倒くせェからなァ……」
「いつも苦労をかけるねぇ……」
「そこでボケても乗ってやらねェぞ」

 *

「リシャナ。……おいで」
「はい」
「……ん(くるっ」
「……はい?」
「何か、することは?」
「…………今日も美しい肩甲骨ですね?」
「それは周知の事実だよ。……それで?」
「…………、……まさか、」
「…………」
「…………(ぴと」
「感想は?」
「……ツヤスベいい匂いでいつまでもしがみついてたくなるお背中です」
「ハッ!! ようやくわかったようだね!? お前が頬擦りすべきはこのワタシの背中だけだということに!!」
「どこで見てたんですかマスター……」

▼めいくあっぷ部下

「いだ!」
「騒がしい。品のない奇声を上げるな」
「い、今、なんかチクッてしたんですけど、絶対お化粧する時に感じる痛さじゃなかった気がするんですけど……!」
「まさかこんな状況でも文句が出るとはね? 美の概念そのものであるこのワタシが美から一番遠い場所に存在している部下の貧相な顔を飾り立ててあげているというのに」
「マスターがやりたいって言ったのにそこまで言います……!?」
「いいから、黙って瞼を閉じていろ。縫い付けるよ」
「わかりまし、ッいだ!」
「騒がしい」

 *

「………………わあ」
「感、想、は?」
「何回も謎の痛みを感じて不安でしたけど……とっても、びっくり、です……」
「ッフン! 今後一生、お前自身すらも拝むことのない完成度だろうね?」
「そう、ですね……、…………」
「何だい、その沈黙は」
「……こんなふうに綺麗にしてもらうと、好きな人に甘えたくなるのって、何でなんですかね」
「へえ? 主人にここまでさせておいて、さらに要求をすると」
「……だめですか?」
「……お前の甘え方次第」
「! が、頑張ります……!!」

▼準備万端いつでもこい

「!」
「マスター、ただいま帰りました」
「…………遅い」
「ごめんなさい、思ってたよりも敵の数、多くて……」
「言い訳は聞かないよ。……とっととこっちに来い」
「はい」
「…………、待て」
「はい?」
「……(ごそごそ」
「…………」
「……(ぬぎぬぎ」
「…………、」
「さあ、おいで?」
「なんでわざわざ全裸になったんですかっ……!!?」

▼本人たちは大真面目 2

「マスター! あそこ登ったところ、見晴らし良さそうですよ!」
「へぇ」
「乗り気じゃないなら、私先に登っちゃいますね」
「…………」
「んしょ……、ん、もう少し」
「(パチンッ」
「よし、たどり着い……た……?」
「ざぁんねん。……先を越してしまったね?」
「お、大人げないドヤ顔……! ていうか、瞬間移動は反則ですよマスター!」
「ごめんね? お前の頭の中にある惨め……もとい健気な夢を壊してしまって。ほぉら、慰めにその残念な頭をヨシヨシしてあげようね?」
「わざわざ子供向けの喋り方してまで全力で馬鹿にして来ないで下さいよッ……!」

▼べったり主従シリーズ_等価交換

「この地の調査の総括と、攻略に適した編成と作戦の報告。あとは旅程組みと各部隊長への命令。……で、それらを即行で終わらせて、ワタシが眠るまでに部屋へ来るんだよ」
「…………今お昼ですけど、絶対マスターがオネムの時間までに終わりませんけど」
「せっかくお前のような駄目部下に役目を与えてあげているというのに反抗するなんてね。主人として、つくづく嘆かわしいばかりだよ」
「……頑張りはしますけど、ご褒美とか、くれないんですか」
「傲慢なことだね。……“いちすん”で我慢しておけ」
「……“いちちゅー”、前払いも追加で」
「それは今からのお前の働き次第だよ」
「ちぇー……」

 *

「……一応聞くが、最近お嬢たちが話してる“いちすん”とか何とかッてどういう意味なンだよ」
「んーと、あれはご褒美の単位。“いちすん”は一回すんすんの略でマスターの匂い嗅げる権利。で、“いちちゅー”は……、」
「ンあー、もういいわ。理解した。お前らがいかに普段いちゃついてるかよーく理解した。から、続きはイラネ」
「うー……」

▼べったり主従シリーズ_等価交換2

「おわ、り、ました……」
「ご苦労様。さ、とっととこっちに来るんだよ」
「ふぇい……」
「フ。……イイ子」
「むぎゅ」
「ああ……可愛い。虐めた時に見られる泣き顔もいいけれど、こうして弱っているお前を見るのも堪らないね……。ほら、口開けて」
「ふむ……んー」
「っふ……本当に愛おしいね。潰してしまいたくなる頭、撫でてあげよう」
「うい……。……(結局、こうしてちゅーもぎゅーも全部くれるな……言ってることすんごく物騒だけど)」

▼嗅がれ続けてる

「…………」
「(すんすんすんすん」
「……マスター」
「何」
「前も聞いたと思いますけど……私、どんな匂いするんですか」
「前も言っただろう。無臭だよ」
「……の割にはいつもすごく嗅がれてますけど。……強いて言うなら、何ですか」
「しつこいね、お前も。……例えるなら、」
「はい」
「……、…………昼間の外」
「え」
「二度目は言わない」
「……はい」

「(……“昼間の外”って……おひさまの匂い、とかかな?)」
「(あんまり自覚、ないけど……)」

▼カレフク

『隙を見せて彼を振り向かせる! 彼シャツ術!! 〜スカイロフト恋愛研究部』
「………………、」

「……っていう記事が載った雑誌をスカイロフトから持ち帰りまして」
「なンでそれを俺に言うンだよ……」
「……この“彼シャツ”ってやつ、どうやったらやれるかなと思いまして」
「全く答えになってねェよ、俺に言われても何も言えねッつの。お嬢、実は俺の姿がリザルフォスに見えてねェンじゃねェの……?」
「大丈夫、ちゃんと見えてる。頼りになるリザルフォスの先輩。頼りになるから、こんなことでも助言くれると全幅の信頼を寄せてる」
「訳わかンねェよもう。大体、あの人にそれする場合、あのマント羽織るくらいしか方法なくね? ……まさか服の方を着てェッてことは、ねェよな?」
「……、……ちょっと、私には、ハードルが高すぎるかな……見る分には良いんだけど……」
「そこはそう思ってて俺も安心したよ。出来れば即答して欲しかったがな」
「うん。……あれはマスターが着るからこそ、意味のある服なんだと思う」
「もっと違う観点があるだろうよ……」

▼毎朝部下の髪をセットしたい長

「……今日は細い三つ編みですか?」
「…………見ればわかるだろう」

▼毎朝部下の髪をセットしたい長 そのに

「今日は“さいどはーふあっぷ”ってやつですね」
「……そんな名前は知らない」
「ふふん、空に行った時にちょっとだけ雑誌読んで覚えてきたんですよ。でも、何も見ずにこんなことまで出来ちゃうマスター、すごいです」
「……知ってる」
「ふふー。……マスター、いつもありがとうございます」
「………………ん」

▼座りお姫様抱っこというやつ

「ま、すたー、これ、とんでもなく恥ずかしい体勢なんですけど……」
「お前が望んだのだろう?」
「た、確かに立ったままお姫様抱っこは高くて怖いのでって言ったのは私ですけど! けど、あの、普通の抱っこより逃げ場がない感が、何とも……!!」
「せっかくお前の望む通りにしてあげたのにまだ文句をのたまうなんてね。……このまま両脚で挟み込んでお前の下半身を圧縮してあげてもいいんだよ?」
「……マスターの太腿に挟まれて小さくなれるならそれもまた良……嘘です冗談です!! 本当に潰そうとしないで!!」

▼ゴソゴソ長

「(ん……あれ、私……マスターと寝てたはずだけど……)」
「(ゴソゴソ」
「(あ、マスター、先に起きてたんだ。……何か漁ってる?)」
「(ゴソゴソゴソ」
「(何してるんだろう。見たいけど、背中側だから寝返り打たないといけない……ていうか見ていい状況なのかな、これ)」
「(ゴソゴソ」
「(音だけじゃ何もわからないや……本棚の方、かな……)」
「(ゴソゴソ…………ズドンッ!!!」
「ッ!!!?」

 *

「…………」
「本、全部落としちゃったんですか?」
「……、……ハッ、これだから頭の足りない馬鹿部下は。誰もが平伏するワタシの美貌から、この本すらも逃げ出してしまった──ただそれだけのことだよ(ドヤーーッ」
「……落としちゃったんですね」

▼やっと相手してもらえた長

「おい」
「ご、ごめんなさいマスター! 今帰ってきた小隊の中に怪我してる子がいるみたいで!!」

「リシャナ」
「ちょっと今獣型の子がボコブリン食べようとしちゃってるみたいなのでまた後ででお願いしますッ!」

「……リシャナ」
「今すぐ寝ないと絶対死ぬのでベッド行かせてくださいッ!!」


「………………」
「ま、マスター、いつもより抱き締める力強くないですか……?」
「……リシャナ」
「はい」
「仕事は」
「今日はもうないので、あとはマスターのお世話だけですよ」
「………………ならいい」
「……よしよし」
「……死ね」
「過激だ……」

▼ぱわーたいぷ長

「さっきの亜人、こんなにおっきな剣片手で振り回してたんですね。どれくらい重たいんだろう……」
「少なくとも、軟弱なお前では持ち上がらないどころか手首の骨が折れてしまうだろうね」
「軟弱というか病気ですよそれは。持てないのはたぶん事実ですけど。……マスターは持てるんですか、これ」
「へえ? まさか疑っているのかな? 軟弱部下の分際で」
「そういうわけじゃないですけど……想像つかないなって」
「不躾だね、本当に。んっ……ッふ、ぅ(ひょい」
「!!!」
「感想は?」
「か、かっこいい、です……!! そのやたら色気のある声は必要だったのか疑問ですけど……!」

▼ムイムイちょーだいってやつ

「あ、フィロホッパー」
「……お嬢、いつも虫に反応するよな。好きなのか?」
「そういうわけじゃないんだけど……。どっちかと言うと、素材が落ちてて必要ないのに取りに行こうとしちゃう感覚」
「なンだそりゃ」
「空の世界だと割とみんな反応してたけど、地元の人間特有ってやつなのかな……。でも、持ってたら買ってくれる人がいたり薬になったりするんだよ」
「……俺から言えンのはギラヒム様がその文化知ったら全力で馬鹿にしてくンだろうなッてことだけだな」
「……それはそう。鬼の首取ったくらいの勢いで馬鹿にして来ると思う」

▼戦場でのお話

「……やっぱり、ここを切り抜けるにはあの敵さんたちの包囲網を抜けるしかなさそう、ですよね?」
「そうだね」
「そうだねって……あの数ですよ、マスター。すんごく余裕そうな顔してますけど……」
「余裕だろう。ワタシを誰だと思っている。あんな数、片手で、歩きながら、そしてワタシの美貌を存分に見せつけながらでも片付けられるとも」
「うえー、それ本当にやらないで下さいよ……マスターは無事だとしても、隣歩いてる私が腹いせに狙われる気がします……」
「だろうねぇ? お前のようなわかりやすい小物、短絡的な頭を持つあれらからすれば格好の獲物と言えるだろうし、ねぇ?」
「じゃ、じゃあ! マスター先に行ってください! 私はマスターが敵さんをみんなやっつけた後に走って追いかけます!」
「そんなこと、許すわけがないだろう。……なぁに、安心すれば良い」
「安心って……」
「確かにお前は囮として使われる運命だけれど。……主人として、必ずお前を守ってあげるよ」
「マスター……、って! しれっと私を囮に使う気満々じゃないですか!! マスターがそういう使い方しなければ私の身が危険に晒されることもないんですよ!!」

▼戦場でのお話 そのに

「……ここを抜けたらなんとか脱出出来ますけど、敵さんとの鉢合わせは避けられなさそうですね」
「だろうね。最後まで面倒なことだよ」
「…………、」
「珍しくまともな顔をしているようだけれど、間抜け面には変わりないね」
「ま、真面目に覚悟決めてるんですから茶化さないで下さいよ……あの数だと、私一人で切り抜けられるかかなり怪しいんですから」
「ああ、そういうことか。……なら、(ひょい」
「え……へ? ま、マスター、なんで私の魔剣取っちゃうんですか!?」
「馬鹿部下の些末な覚悟とやらをへし折ってあげようと思ってね。……どうだい? 悔しいだろう?」
「今そんなガキ大将みたいなことしてる場合じゃないですよ! 何をいきなり、」
「お前の無鉄砲な様を見ていてあげるのも悪くはないけれど、こんなところでワタシのモノが壊れてしまうのは気が進まない。お前はここで、華麗に舞うワタシの姿を目に焼き付けていればいいよ」
「……いいんですか?」
「もともとの間抜け面はともかく、相手の力量を目で見て推し量れないほど腑抜けた教育をした覚えはないけれど?」
「……素直にここは任せろって言ってくれたらいいのに」
「何か文句でも?」
「なんにもないです。マスター大好きです」
「知ってる」

▼パイセンに聞いてみよう

Q.リザルさんが主従に本気で苛つく時ってどんな時ですか?

A.「遠征の朝に二人揃って起きてこねェと思って様子見に行ったら、荷台の中で抱き合っておんなじ顔して爆睡してた時。マジで砂漠の真ン中に荷台だけ置き去りにしてやろうかと思ったナ」

▼部下に聞いてみよう

Q.魔族長の意外な一面を教えてください。

A.「……手先が器用なところですかね。本人無意識ですけど、短刀を指で弄んでる時とか、私の髪を整えてくれる時とかは特にそう思います。……私の扱い方は雑ですし、いやらしい手つきの時の方が圧倒的に多いですけひょわッ!!!?」
「こぉんな手つきかな?」
「そ、そうれす!! その手つき……んひぃ!!? ゆ、ゆるしてくらはいーッ!!」

▼べったり主従シリーズ_ふと嬉しい時

「な、なんとか、生き延びました……」
「相変わらずの軟弱具合だね、お前は」
「まさかあそこまでわらわら増援呼ばれると思ってませんでしたもん……無事でいられたのが奇跡です……」
「ワタシが剣を抜いたのだから、その時点で勝利は決まっていたも同然だよ。そもそも、本当はお前一人で片付けさせるつもりだったというのに」
「それは鬼過ぎます……。……でも、あんな状況でも敵さんみんな返り討ちにしちゃうんだからさすがですよね、マスター」
「ッは! 当然だとも! むしろあんな状況、まだまだ序の口だよ! 過去には数倍以上の軍勢の中を我がマスターと共に駆けたのだよ!? このワタシは!!」
「ふふ、やっぱりかっこいいですね、私のマスターは」
「ッフゥン! そうだ、と……も……、……」
「?……マスター?」
「…………リシャナ」
「何で……んむ」
「…………、」
「はふ……な、何で、いきなりちゅーしてくれたんですか?」
「……。…………。…………愛しているから」
「へ……え…………ふぁいッ!!?!?」
「騒がしい」

▼ 顎ぽす

「…………」
「…………」

「(マスターがお気に入りの椅子に座ってる……)」
「(……いきなりお膝の上に乗りに行ったら怒られるよね)」
「(……でも乗りたい)」

「……(ひょこ」
「…………」
「(ぽす」
「……、……許可もなく主人の膝上に顎を乗せるとは、当然それ相応の弁明があるということだよね?」
「……ほんとはマスターのお膝の上に乗りたかったんですけど、さすがにいきなり乗っかるのは良くないかなと思い、顎だけ失礼しました。でも、思いの外間近で見上げるマスターもいいなって思ったので、満足です」
「理由になっていない。……けれど、今日のワタシは気分が良い。あと二時間、そうしていろ」
「あい。……(頭撫でてくれてるってことは、気に入ってもらえたのかな)」

▼掴みやすい飛び道具

「まふたーの手、おっひいへすね」
「そうだね? こうして片手でお前の顔を覆ったまま潰せてしまうくらいには」
「それはヤでふ! ていうか、いつまへそうしてるんへふか!!」
「騒がしいお前の口を塞ぐつもりだったのだけれど、存外、掴み心地が良くてね。……さすがはワタシの可愛い部下だよ」
「マスター……じゃないへすよ!! この状況で騙されないです!!」

▼命が流れ出る時

「大丈夫じゃ、ないですよね……マスター」
「……フン、この程度、かすり傷……だよ」
「かすり傷って……お腹に穴、空いてるんですよ、マスター」
「……どうせ、死にはしないよ。時間は、かかるが……すぐにまた、美しい肉体に、返り咲く……とも」
「……そんな強がり言って、ほんとに死んじゃったらいくらマスターでも怒りますよ、私」
「はっ……馬鹿部下が主人を叱るなんて、千年早いね? ……ッ、」
「! ます──、」
「いいから。……お前は黙って、そのまま主人の体を支えていろ。少しでも下手な抱え方をしたら、お前も同じ体にしてあげる」
「……しませんよ。こうして抱きしめることしか、出来ないですから。……私には」
「フッ……馬鹿部下」

▼しまっちゃったんですか

「あ、マスター、また脱いだマントしまっちゃったんですか?」
「そうだね」
「前に言ったじゃないですか、男の人はよく脱いだ服とかほったらかしにしちゃうらしいですよって」
「そうだね」
「……ほったらかしにしてくれないんですか」
「……お前はそれを片付ける前に匂いを嗅ぎたいだけだろう」
「…………、……、………………そうです」
「迷った挙句に肯定するな」

▼ヘタクソピロートーク

「……つかれました」
「ああして小動物のように鳴いてばかりいたならそうだろうね。お前の身体自体も小動物と何ら変わらないし、ね?」
「……その小動物と同レベルの身体にしっかり興奮して下さってたのは誰ですか」
「ああそうだね、とても興奮したとも。嫌がるお前の鳴き声を聞きながら、同じところを何度も何度も執拗に責めてあげるのは快感そのものだ。中でも最も興奮したのはお前の後ろのあ、」
「あー! うわー! あー!! もっと情緒のある“ぴろーとーく”してくださいよもう!! 穴とか言うの禁止です!!」
「……お前の喚き声の品のなさも同等だけれどねぇ」

▼おぱんつまもり

「……オマモリねェ、人間は本当によくわかンねェ習慣してやがるよな」
「たしかに私もこうしてリザルやマスターに人間の文化のこと伝えた時、よくそう思うかも」
「お嬢は持ってンのかよ、そのオマモリとかいうやつ」
「んー、心当たりな……、あ」
「ンあ?」
「一個あったかも。……言えないけど」
「ンだよ、そこまで言ったなら言えよ、煩わしいな」
「……引かれるかなって思って」
「今ッさらそこ気にするか?」
「その……、……マスターに試しに履いてもらった、ほぼ紐しかない、パンツ……とか」
「(……こいつらに従うの考え直した方が良い気がしてきた)」


次回もお楽しみに!