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kobakoまとめ *2023.10月号
・ほぼ魔族長と部下夢主(+たまにリザル)の会話文です。
・時系列等々バラバラ
・series設定の話も含まれています。


▼お部下様抱っこ

「マスター」
「何」
「今日は、その……お姫様抱っこの日、なんですか?」
「だから何」
「いやえと……何だか心がくすぐったいというか、すごく幸せというか……」
「……最近、気づいたんだよ」
「え、何にですか?」
「この抱き方ならば、必要な場合にお前の貧相な体を見てあげられる。間抜けな顔を覗き込んであげられる。……そして」
「そ、そして……?」
「手を離せば、簡単にお前に躾を与えてあげられる。……これ以上にない抱き方だろう?」
「……今から逃げちゃだめで、」
「だぁめ。……さあ、いつお前は、地に落とされてしまうんだろうねぇ?」
「抱っこも安心出来なくなっちゃった…………」

▼日頃の成果ってやつです

「剣士の一族……。あれが、今回勧誘しようとしてる一族ですか?」
「そうだ。所詮は過去の騎士の亡霊にすぎないけれどね。だからこそ面倒なことに、あれらは剣を扱いこなす実力を持った者にのみ付き従う」
「剣の扱いなら、私に任せてください」
「ふぅん……? 随分な自信じゃないか」
「ふふん、そうですとも。なんたって、」
「…………」
「私はギラヒム様の、部下なので(ドヤーッ」
「……。……馬鹿にしているのかな?」
「してないです! 本心です!」
「なおさら馬鹿にしているだろう」

▼天才的な族長サマ

「空で、“あいどる”っていうのが流行ってるみたいなんですよ」
「……あい」
「“あいどる”です。女の子や男の子が歌ったり踊ったりして、みんなを笑顔にする存在です」
「ッフン、そんなことで機嫌を良くするなんて、人間は実に浅はかだね。そもそも、この世に生まれ落ちたなら、魅入られるべきはこのワタシと決まっているというのに」
「……たしかにそうですね。鼻歌ですけど歌いますし、踊ってますし。マスターって、アイドルだったんですか……!?」
「ッフゥン!! 存分に、崇め奉るんだね!!」


「いやそうはならねェだろ」
「リザルの兄貴、突っ込んだら負けっす……」

▼無敵の指

「はむ」
「──……いきなり主人の指を咥えるなんて、不敬にも程があるよね?」
「…………」
「……何」
「柔らかすぎて、しなやかすぎて、私、マスターに指で殺されるなと思いました」
「なら、すぐにでもそうしてあげようか?」

▼大海原の世界

「……もしこの世界が水に満たされたら」
「…………」
「私、絶対生きていけないですね」
「……今度は何のくだらない話をしているのやら」
「この本のお話です。世界が水に沈んじゃって、人はみんなわずかに残った陸地で生活してるっていう」
「ふぅん。お前たち人間は、想像力だけは無駄に豊かなものだね」
「そうかもですね。前にも変な世界のお話、読みましたし。……世界が水に満たされたら、私も泳げるようになるのかな」
「無理だね」
「むー、なんでそう言い切れるんですか」
「お前がどれだけ泳ごうとしようと、このワタシが沈めてあげるから、だよ」
「何なんですかその執念……」

▼ずっと言いたかった言葉

「……リシャナ」
「わ! どうしたんですかマスター、いきなりぎゅーしてくださるなんて……」
「……大変な過ちに気づいてしまったんだ」
「え……」
「許してくれ、リシャナ。ワタシとしたことが、お前にひどい仕打ちをしてしまった」
「ひどい仕打ち……、あ、頭痛かった時にデコピンしたことですか?」
「違う」
「違うんだ……」
「ここ最近、お前に言ってあげられなかったことがあったと気づいたんだ。魔族長としての責務に追われ、大切なことを失念してしまっていたよ……」
「そ、そんな、気にしないでください……。ちなみにその言葉って、なんですか?」
「ああ、そうだね。気付いたなら、今からでも言うべきだ。……リシャナ」
「は、はい……」
「──極・貧」
「…………」
「…………」
「それだけですか!!?」
「そうだとも。やはりこれだけは定期的に言ってあげなければね。お前にしっかりと自覚を植え付けるために」
「いらない配慮すぎます!!」

▼労り部下〜失敗

「……むん」
「(マスター、なんだか疲れてる……? そういえば最近戦い通しだったしなぁ……)」
「…………」
「(そういえば、この間空で読んだ雑誌に載ってたっけ。男の人が疲れた時、彼女からの言葉をもらって元気になりましたって。……私、彼女じゃなくて部下だけど)」
「…………」
「(よし、私も……)。……マスター」
「……何」
「リシャナさんは、いつでもマスターを応援してます。かっこいいマスターが大好きです。頑張りすぎず、今日はゆっくり休んでください」
「…………」
「……あれ?」
「……うぜぇ」
「なんでですかッ!!?」

▼うつらうつら

「…………」
「(あ、マスターがうたた寝してる)」
「…………すぅ」
「(いつ見ても綺麗な寝顔だなぁ……芸術作品を見てる気分……)」
「……ん」
「(あ、起き、)」
「ッンッフゥン」
「…………へ」
「……すぅ」
「(……えっと、夢の中で、ものすごいドヤ顔をした、のかな……?)」

▼いちゃいちゃタイム

「(ぢゅ」
「いっ──」
「……ふむ。これだけつければ、充分か」
「……もう、ケープじゃ隠せないとこばっかにつけるじゃないですか。……キスマーク」
「見えるところにつけなければ意味がないだろう? そもそも、噛み跡にしてあげていない時点で感謝すべきだと思うけれど、ね?」
「噛まれるのは痛いのでヤです。でも、キスマークも、」
「何」
「……うー」
「言いたいことがあるならその口を使って言え。……じゃないと、ねじ込んで奉仕させるよ?」
「う。……その、えっと」
「…………」
「……体にばっか、ちゅーされて。……唇にないの、さみしいな……って……」
「……へぇー?」
「うう……」
「この期に及んでおねだりとは。強欲な部下だね」
「……あい。強欲でした。なので諦め、っむ!?」
「──ん。してあげないとは言っていないだろう? 今日のワタシは機嫌が良い。だから……お前が酸素を欲して泣き崩れるまで、してあげる」
「──!!!」

▼お怒りお茶目長

「──ッくそが!!(ごしゃーーん!!」
「(ああ、年に数度の、最大級の不機嫌タイムだ……)」
「殺す……絶対に殺してやるッ……!!(ばきぃッ!」
「(本棚が踏み砕かれる音がしたなぁ……また今年も修理、トカゲ族の子に頼まないとなぁ……)」
「──リシャナッ!」
「はい」
「あの一族を今から根絶やしに行く!! すぐに軍を出ッ(ごっ!!」
「あ」
「──ッッ、軍を、出せ!! もたもたするな!!」
「はーい(今、棚の角に足先クリーンヒットしたな……)」

▼大荒れ後

「…………」
「……落ち着きました?」
「……手を止めるな」
「あ、はい。……気持ちいいですか? 頭撫でられるの」
「うるさい、聞くな」
「はーい」
「…………」
「……マスターのお部屋、お掃除終えるまで少し時間かかりますから、それまではこのまま私の部屋にいてくださいね」
「…………ん」

▼何言ってんのこの子

「じゃーんです、マスター!」
「……その奇怪な飲料は何」
「空で流行ってる飲み物を、大地風にアレンジしてみました!」
「……ふぅん」
「名付けて、大地風ショートあったかカフェノンシュガーミルクまっしろモカです!」
「…………」
「……あれ?」
「……馬鹿にしているのかな?」
「何でですか!!?」

▼妙案みたいな顔されても

「ます、たー……足が、もう、動きません……」
「ッハ、情けないものだね? 軟弱なお前に合わせて歩いていたら、いつまで経っても到着出来ないじゃないか」
「申し訳、ございません……ですけどッ、マスターが瞬間移動で端折ってるとこを私も相乗りさせていただいたら、もう少し体力が持つと、思います!」
「へぇ? 挙句の果てに主人任せにするなんて。馬鹿部下のくせに横暴なものだよ」
「……だって、私を抱っこしてようがしてなかろうが、瞬間移動で使う魔力は同じかなって思って」
「不躾にもほどがあるね。魔力量が変わらないとしても、お前を担ぐ労力というものがかかる。お前という重荷を、担ぐ労力が、ね?」
「むー……重荷って言いながら、いつも戦闘の時は軽々放り投げるくせに……。……あ、それなら、」
「何」
「私がマスターのことを抱っこして、それで瞬間移動を使っていただくのはどうですか? それなら労力もかからないです!」
「……お前の中身のない発言に付き合ったワタシが愚かだったよ」

▼ある意味素直

「マスター、かっこいいです」
「ッフゥン!! 当然!!」

 *

「ねぇリザル」
「ンあ」
「たまに思うんだよね」
「何がだよ」
「マスター。普段は私の扱い、すんごく雑だけど……私が何回かっこいいとか美人とか言っても、ちゃんと喜んでくれるんだよね。それってすごくありがたいことだなって」
「……そこをありがたがるのはお嬢だけだろうなァ」

▼何仰ってるのこの人

「……フ、フフ」
「……? マスター、どうしたんですか?」
「ああ、思わず笑みがこぼれてしまったよ。ワタシという美の化身の、華やぐ微笑がね」
「えと……何かいいことありました?」
「考えていたんだ。美しいという価値観は、ワタシが存在しているからこそ生まれた価値観なのではないか、と。そう思った時、この世界はあまりにかけがえのないものなのだと気づいてしまったんだ」
「……それで、微笑ましくなっちゃったと」
「そうだ。まさにあの方に支配されるに相応しいものだよ、この世界は」
「……そっすね。(ほとんど意味わからなかったけど、綺麗な笑顔が見れたからいっか)」

▼おねむ部下とイタズラ主人

「…………すぅ」
「……(起き抜けからこいつの間抜け面を見ることになるなんて)」
「…………すぅ」
「……(……本当に間抜けな顔)」
「…………」
「…………(むに」
「……うへ」
「……フ(……さらに間抜け面)」

▼遊びすぎちゃった

「……うむ?」
「む」
「……おはようごらいまふ、まふたー。……なんれほっぺた、つまんれるんれすか?」
「……お前が間抜け面で眠っていたのが悪い」
「ええ……、……なんか、ほっぺた両方、ひりひりしまふ……」
「…………お前が間抜け面で眠っていたのが悪い」
「えええ……」

▼こわい生き物

「マスターが戦った中で、一番怖かった生き物って何ですか?」
「……随分と唐突な質問だね。このワタシに怖いという感情などあるはずがないだろう」
「えと……それは承知の上で、です。今後の参考に……」
「……そうだね、フィローネの奥地に生息する生物で、思い当たるものはいるね」
「どんな生き物なんですか?」
「……イカ」
「イカ? って、なんですか?」
「本来は海に生息する生物だ。……フィローネの奥地で、それとよく似た生物に遭遇してね。触手のような足が十本あり、縦に開いた口には牙が生え揃っていて、何よりその大きさは大樹を丸呑み出来るほどあった」
「え……フィローネの奥にそんな怪物がいるんですか……!?」
「そうだとも。あの触手に絡め取られた時はさすがのワタシも肝が冷えたよ。……とはいえ、隙をついて一撃で仕留めたがね」
「……マスターが、触手に、捕まって、」
「…………さて、今からお前をその生物に会わせに行くとしよう」
「余計なこと考えてすみませんでしたッ!!」

▼無限の価値あるお背中

「マスター、命令通り、ちゃんと封印壊してきましたっ」
「ふむ」
「言ってた通りのご褒美、お願いします」
「フゥン……仕方がない。……ほら(くるっ」
「……えへへ、マスターのお背中……ツヤスベですね……芸術品ですね……すんごく元気、出ますねぇ……んへ、んへへへ……」



「……あーゆーの、“コスパがいい”ッて言うらしいケドよ、本当にいーのかねッて思うよナ」
「まぁ、ご本人たちが幸せそうならいいんじゃないすかね……」

▼ロボケロちゃんに頼み事

「……ロボケロちゃんてさ」
「ケロ?」
「空、飛んだり出来るんだよね?」
「ケロ」
「……あと、重いもの、運べるんだよね」
「け、ケロ。何かさせようとしてるケロ……?」
「……。……おっきな空で、クジラ観察したいなーとか思ったりしたことない?」
「な、ないケロ……! 嫌な予感するから絶対にしたくないケロッ……!!」

▼部下のケアも欠かさない長

「へくしっ」
「騒がしい」
「風邪、ひいちゃったかもしれないです……」
「ハッ! 軟弱なものだね! 魔族長たるこのワタシの部下が、なんとも情けない」
「…………」
「……何」
「……浴室で全裸のまま何時間も触られてたら、こうなります」
「人聞きが悪いね? お前の貧相な体を見てあげていたというのに。そう……“ぼでぃけあ”というやつ、だよ!(ドヤーッ」
「(この間教えた言葉……)」

▼ふやふや部下

「マスター……」
「何」
「私の指……マスターに舐められすぎて、ふやふやなんですけど」
「ふぅん。……間抜けな見た目」
「マスターが、やったんです!!」
「ハッ、あれだけイイ顔をしておいて文句を宣うとは。しかし人間の体とは不都合なものだね。愛撫してあげただけでこぉんな惨めな見た目になるなんて。……ふむ」
「な、なんですか……?」
「なに、指でこれなら……全身舐めてあげれば、面白い光景が見られる気がしてね?」
「全身ふやふやにさせるってことですか……!? 恐ろしすぎませんかその光景……!!」

▼魔族働き方改革

「働き方改革しましょう」
「は?」
「三徹が常態化しているこの職場環境、早急に改善をせんといかんです」
「言い回しが鬱陶しい。そもそも、三日寝ていないのはお前だけだろう。自身の要領の悪さを棚に上げて主人に文句をのたまうなんて、部下のくせに横暴極まりないね?」
「マスターがッ、私がオネムの時にッ、構ってほしくなっちゃうから、です!!」
「へえ? そうまで嫌がっていたとはね? なら……やめてあげようか?」
「……。…………。………………やです」
「ッハ!!」
「うう……業務環境も手のひらの上……」

▼がぶりちゅう

「痛い……」
「ンだよお嬢。まァた怪我したのか?」
「うん……キースに噛まれちゃって」
「ンあ、珍しいナ。キースたち、お嬢にャ襲いかからねェと思ってたンだケドな」
「獣型の子たち用のお肉、持ったまま餌やり行っちゃったからだと思う。……のと、」
「のと、何だよ」
「血を吸ったキースを見て羨ましくなっちゃったマスターに、ガブガブちゅーちゅーされちゃったから……」
「キースに妬くなヨナ……」

▼きのこと主従

「あ、ベニソラダケモドキですよ、マスター」
「……何」
「ベニソラダケモドキ、です。毒キノコです」
「……。……キノコ」
「……今、“キノコの種類に詳しいなんて奇妙なヤツ”って思いましたよね?」
「ッフン、せっかく言わずにいてあげたのに、不躾なものだね?」
「仕方ないじゃないですか、間違って毒キノコ食べちゃったら、下手したら死んじゃうんですよ。だからちゃんと本とか森の亜人の子に聞いて学んだんです。生きる知恵ってやつです」
「ふぅん。……で、お前がこれを食べたら何が起きるのかな?」
「んと、たしか……涙が止まらなくなって、体中の水分が持っていかれる、だったかな……」
「……! ……リシャナっ」
「やらないですよ!! ちょっとわくわくした声で呼ばないでください!!」

 *

「っひく、うっ……ぐす、」
「……フフ」
「うぇ、ます、たー……涙、止まらない、れす……」
「そのようだね? あの量でもこれだけの効果が出てしまうとは。本当に、そのまま干からびてしまいそうだ」
「干からびちゃったらっ、どうして、くれるんですか……ぐす」
「安心しろ。そうなる前に、回復兵のもとへつれて行ってあげるから……ね?」
「ぐず、えぐ……もう既に、連れて行ってほしいんですけど……!」
「だぁめ。……ああ、それにしてもお前の泣き顔がこぉんなにいいモノだったなんてね。……見慣れないだけに、興奮、してしまうよ?」
「そんなことに、興奮しないで下さいっ……!!」

▼はろうぃん主従2023

「とりっくおあとりーとです! マスター!」
「………………チッ」
「(あ、これ聞き取れなかったやつだ)。……えーと、“お菓子くれなきゃいたずらするぞ”って意味らしいです」
「へぇ……? 馬鹿部下ごときが、このワタシに、そんなものをねだるなんて……随分強欲なものだね?」
「今日はそういう日なんです。……あと、日頃私が備蓄してるお菓子を盗まれて魔物の子たちに振り撒かれてるお返しもあったり」
「ハッ、お前のモノはワタシのものなのだから当然だろう? そんな真理が存在していることを知りながら、お前はワタシに菓子をねだると、そういうことなんだね?」
「う……そ、そう、です」
「フッ、いいだろう。……それじゃあ、調理室へ、行こうか?」
「わ、私を調理するつもりですか!?」
「美しき心を持ったワタシがそんなことをするわけがないだろう。……たしか材料が余っていたよね? “ちょこれえと”の」
「!! だから“ちょこれえと”は性的なおもちゃじゃないですし、今日はそういう日でもないです!!」


次回もお楽しみに!