Log


kobakoまとめ *2023.9月号
・ほぼ魔族長と部下夢主(+たまにリザル)の会話文です。
・時系列等々バラバラ
・series設定の話も含まれています。


▼キューちゃんと私と大トカゲ

「へんな姉ちゃん、また来た……キュ……」
「あ、キューちゃん」
「キューちゃんッて……森の亜人にも変なあだ名つけてンのかよ、お嬢」
「ギュギュ!! ま、ま、魔物キュウッ!!?」
「あ、そっか。リザル連れてくるの初めてだった。ごめん、驚かせちゃった?」
「驚かせたッつか、たぶン命の危険感じてるっぽいぞ。草に擬態してやがッし。……意味ねェケド」
「私も一応魔物なんだけど、キューちゃんには刺激が強すぎたか……。キューちゃん、大丈夫だよー、このリザルフォスは優しくて懐のふかーい先輩だよー」
「……キューちゃんじゃないキュ、マチャーだキュ……」
「何か言ってやがッケド、その気になりャ俺も食うかンな」
「えー……。……美味しいのかな?」
「シラネ」
「ギュギュウ!!」

▼いじわる長

「子どもの成長は早い」
「…………」
「という言葉が、お前たち人間の間ではあるそうだね?」
「……そですね」
「……何故、お前はそうなんだろうね?」
「…………マスターきらいです」
「へえ?」
「……大好きですけど、きらいですっ」
「ふーーん?」

▼まぞくちょスリープ

「健康的な剣技は健康的な睡眠から、です。マスター」
「は?」
「というわけで、オネムの時間、早めにしましょう週間です」
「……随分と勝手なことを言い出したものだね? そもそも、お前に入眠時間を決める権利があるとでも?」
「その権利すらもなかったんですか、私……」
「当・然だとも。お前の全てはワタシの支配下にある。つまり、お前ごときが入眠時間を早めると宣うこと自体、極刑にかけられてしかるべき行いだということだ。無限奈落に落とされる覚悟は出来ているのだろうね?」
「ちょっと早く寝ようとしただけでそこまでされるんですか……!?」

▼気づかないとか無理

『嫉妬に気づかないフリをして、小悪魔女子を演じちゃおう!!(今月のスカイロフトガールズトピックスより抜粋)』
「────」

「マスター」
「……何」
「リンク君って、かっこいいですよね」
「…………」
「…………」
「……あ"ぁ?」
「すいませんでしたッ!!!」

▼こっちも気づかないとか無理

「……さっきの一族の女の子たち、ずーっとマスターに熱い視線を注いでましたね」
「ッフゥン、当然だろう? 種族の垣根を越えて、ワタシの美貌は価値観を揺るがす衝撃を与えてしまうからねぇ?」
「そですね。…………」
「…………」
「………………………………」
「……リシャナ」
「あい」
「視線がこの上なく鬱陶しい」
「……あい」

▼かっこいいから仕方ないです

「次の戦闘、いつですかね」
「ほう? まさかお前からそんな発言が出るとはね。争いに身を投じすぎて、とうとう命を奪う瞬間に血が滾るようになってしまったか」
「違いますよー……痛いのは嫌ですし、争い自体は出来れば避けたいです。避けたいんですけど……」
「けど、何」
「……戦闘中のマスターのかっこいい動き、何回でも見たくて」
「……ワタシの美に魅入られるのは当然の摂理ではあるけれど、お前も大概狂っているよね」

▼甘えたら行けるかなと思った

「(ぎゅ」
「っわ、マスター……!? どうしたんですか、いきなり抱きついて、」
「……リシャナ」
「は、はい?」
「…………お前の頭を踏みたい」
「……。……嫌です」
「……チッ」
「チじゃないです」

▼いろいろ重なりすぎて爆発した部下

「……何をしているのかと思えば」
「…………」
「そんなところで縮こまって、自身のやるべき職務を放棄するなんてね。リシャナ」
「……ごめんなさい。お仕置き、受けます」
「ふむ。反論もないとはつまらないものだね」
「……ごめんなさい」
「……。……リシャナ」
「はい」
「おいで」
「……!」
「……何を考えているのか知らないけれど。その小さな脳で抱えられることなんてこれっぽっちもないのだから、考えるだけ無駄だろう」
「……、……はい」
「お前はワタシという最愛の主人のことだけを考えていればいい。……わかったね」
「はい。……マスター」
「何」
「……大好きです」
「……知っている」

▼はぶ あ どりーむ

「わ、枯れ井戸ですよ、マスター」
「それが何」
「この間読んだ本に載ってたんです。枯れ井戸の中には空間があって、物資があったり生き物が住んでたり、あとは他の道に繋がってたりするらしいです」
「……で?」
「……それだけですけど、なんだか夢ありませんか。“ろまん”ってやつです」
「ハッ、こぉんなものに夢を抱くなんて浅ましいことこの上ないね? お望みならば、お前をこの中に放り込んであげてもいいけれど?」
「いじわる……。……夢見るならマスターと一緒にがいいです」
「……。……。……そんな言葉でこのワタシが騙されるとでも?」
「(意味深な間があったな……)」

▼ねないこだれだ

「マスター」
「……チッ」
「チじゃないですよ。まだ寝てなかったんですか?」
「何故お前ごときにワタシの神聖なる眠りを管理されなければならない」
「最近昼間に眠そうじゃないですか。それに、夜更かしは美容の天敵ですよ」
「フン、鬱陶しい。このワタシに天敵など存在するはずがないだろう」
「わかりましたから、寝、ま、しょう。ほら、べっどいんです」
「チッ、腕を引っ張るんじゃねぇ、煩わしい……ッ!」

 *

「……マスター」
「…………」
「……寝ました?」
「…………、」
「……、……この世で一番美しい剣は?」
「……俺に決まってんだろ」
「寝てないじゃないですか」
「うるせぇ」
「もう……」

▼ねむいこだれだ

「リシャナ」
「……はい」
「眠い」
「だから言ったじゃないですか……早く寝ましょうって……」
「うるさい。とっとと敵どもを蹴散らして帰る。五分以内に終わらせろ」
「わかりましたー……」

 *

「ふぅ……なんとか敵、倒し終えた……」
「…………」
「……? マスター?」
「…………(こてん」
「うわ! え、ますた、重、潰れちゃうッ!!」
「……眠い」
「そんなに限界だったんですか!? ていうかさすがにマスターを抱えて帰るのは無理です!! せめて拠点まで起きててください!!」
「嫌」
「やじゃないです!! つぶ、潰れちゃうーッ!!」

▼ねないしねむいこだれだ

「リシャナ」
「…………」
「リシャナ」
「……だからなんで、夜になると元気なんですか」
「ハッ、そんなこともわからないのかな? 今この瞬間が、ワタシという尊い存在が神聖なる眠りから目覚めた唯一無二の時間だからだよ」
「昼寝ちゃったから夜元気なんだって素直に言ってください」

▼すいっちおん

「(朝……)」
「…………」
「(視界一杯、マスターの胸筋……)」
「…………すぅ」
「…………(つん」
「ッハァン」
「!!?」
「…………すぅ」
「(び、び、びっくりした……!!)」

▼せんちめんたるマスター

「…………」
「マスター……? どうしたんですか?」
「……何も」
「何もって……(こんなに項垂れてるマスター、初めて見た……)」
「……リシャナ」
「はい」
「一つだけ、答えてくれ」
「は、はい」
「……ワタシのこの美しさは、どうすれば制御出来るのだろうか」
「はい?」
「考えていたんだよ。万物を超えるワタシの美しさが世界に与える影響について」
「……はい」
「この世界は魔王様のものだ。ワタシの美しさが世界に及ぼす影響を制御しなければ、いずれ魔王様のものとなる世界の姿を変えてしまうことになる。……だが、今のワタシにそんな力はない。なんとも歯痒いことにね。どうすればワタシはワタシの美しさを制することが出来るのか、何も答えが出ないんだ」
「…………」
「ワタシはどうすればいいと思う? ……リシャナ」
「……。……私はそのままのマスターが一番大好きですよ」
「……そうか。なら、それでいいのだろう。……たまには馬鹿部下の発言にも耳を傾けてみるものだね」
「(今ので良かったんだ……)」

▼肉付き部下

「……えへへ」
「やけにご機嫌じゃねェか、お嬢」
「マスターに褒められちゃって」
「へェ、珍しいこともあるモンだな。ちなみに何で褒められたンだよ」
「前までね、『お前の貧相な体は食すとしても何の足しにもならないだろうね』って言われてたんだけど」
「……。おう」
「最近ちょっとだけ筋肉がついたからか、腕揉みながら『噛み応えくらいはあるかもね』って言ってもらえたの」
「……お前がそれでいいンならいいケドよ」

 *

「…………(もにもに」
「(すごい腕、揉まれてる……)」
「……フム」
「……?」
「前は噛む気すらおきなかったけれど、今なら噛み応えくらいはあるかもね」
「それってもしかして……筋肉がついたってことですか?」
「受け取り方はお前の自由にするといい」
「わあ!! ありがとうございます!! マスターのこと抱っこ出来るようになるまで、頑張ります!!」
「それは却下」

▼月が落ちる世界

「ま、すたー……」
「……随分とうなされていたようだね」
「こわいゆめ、見ました」
「ふぅん。……どんな?」
「つき……月が、落ちてくる、夢です」
「へぇ、興味深いね」
「怖かったです。どこにも逃げ場なんてなくて、ただ落ちてくる月を見ていて……それで、マスターだけは守らなきゃって思ってマスターのことを探したんですけど、見つからなくて」
「それは残念」
「……だから、今目の前にいるマスターは離しません。……月が落ちてきたとしても」
「フッ、生意気なことこの上ないね」

▼生臭いのいやなの

「リシャナ」
「はい」
「こちらへ来たら殺す」
「はーい(魚捌いてる時、いつも殺すって言われるなぁ……)」

▼真影編おまけ

「影みたいなリンク君……って、なんて呼べばいいんでしょう」
「フン、そもそも、あんなものを呼ぶ必要性なんてないだろう」
「意外とありますよ。この後本人を探しに行くんですから、“影みたいなリンク君”!!って呼ぶの、長いじゃないですか」
「なら、“ダークリンク”とでも言っておけばいいだろう」
「……あんまり短くなってなくないですか?」
「さあ、どうでもいいことを考えていないでとっとと“ダークリンク”を追う準備をするよ」
「……うい(強行された……)」

▼魔族長のまじかこいつシリーズ〜もう何でも編

「マスター、手、開いてください」
「は?」
「手、開いてください」
「…………(ぱっ」
「…………かっこいいですね……綺麗ですね……本当に……すごく……」
「…………(ドン引き」

▼鬼畜長

「うう……」
「何」
「頭が痛いんです……少し休めば治まると思うですけど……」
「へぇ」
「ううう……」
「リシャナ」
「はい?」
「おいで」
「! は、はい……」
「(ズビシッ」
「んぎゃぁいッ!!?」
「ハッ」
「な、な、な、何でデコピン!!? とどめ刺すつもりですか!!?」
「決まっているだろう。……面白いからだよ」
「鬼畜すぎやしませんかッ!!?」

 *

「リシャナ」
「……なんすか」
「フ、そうむくれなくてもいい。お前の可愛らしい額はちゃあんと割れずにいるよ?」
「割れてたら大問題です」
「ほぉら、頭が痛いのだろう? ワタシが唇を与えてお前を癒してあげよう、ね?」
「ううう、マスター……そろそろ二時間経つので、寝かせ、」
「却下」
「ううううう……」

▼教えて魔族部下ズ!

「なンだこのふざけたタイトル」
「ふざけてないです! 大真面目に、みんなが惹かれるタイトルを考えてみたんです、私が」
「お嬢が考えたのかよ……しかも何するのかもよくわかンねェし」
「普段皆さんが疑問に思っている魔族としての暮らしに二人で答える、質問コーナーってやつです」
「皆サンって誰だよ……」
「それはご想像にお任せします。じゃ、さっそく一つ目の質問ね。『リザルさんはリシャナさんを食べるとしたらどこの部分を最初に食べますか』……って、」
「食うとするなら指の一本に留めておく。こいつの飼い主が黙っちゃいねェから」
「いやあの、いきなり猟奇的な質問すぎませんか……? しかもリザル先輩もしっかり答えてるし……」
「お嬢が乗り気で先に始めたンだろ。それに、魔族に向けた質問なンざこンなモンだろ」
「初っ端から思い描いてたものと違う…….」

 *

「じゃ、質問二個目ね。『部下としてのお仕事で一番楽なものはなんですか』」
「楽、なァ。パッと思い浮かばねェケド……。……魔物どもの餌やりじゃね?」
「餌やりは……私は食べられる危険があるから楽ではないな……」
「俺ァ食われる心配ねェし、餌放り投げるだけで終わるからだいぶ楽だな。……てゆーか、お嬢がしてる仕事で楽なモンって存在すンのか?」
「ふふん、あるんですよ、これが」
「マジか」
「うん。実は……マスターの部屋のお掃除は、ものすごーく、楽」
「ンあー、なるほどな。物が少ねェンだっけか?」
「うん、そう。それにマスター自身も私の部屋に入り浸ることが半分くらいあるから、使われないことが多いのです。……強いて言うなら、機嫌が悪い時に本棚が薙ぎ倒されるくらい」
「……年に二、三回はあッからなァ」

 *

「質問そのさんです!」
「おう」
「『魔族の階級はどう決まるんですか?』。……これ、私も知らないかも」
「知らねェのかよ」
「どの子がどの位の階級なのかはわかるけど、そういえば決まり方は考えたことなかったなって」
「……まァ、明確には決まってねェしな。種族によって違ェし」
「たしかに、それもそっか。……ちなみにトカゲ族は?」
「……。……ノリじゃね?」
「……それでいいんですか、族長様……」
「シラネ」

 *

「この流れで次の質問。『魔族長様に逆らう魔物とかいないんですか?』」
「マジでどっから来てる質問なンだよ、ソレ」
「まあその、天から降って来たというかなんていうか……そんなかんじ」
「……まァいいや。魔族長サマに逆らう魔物、な」
「うん。……そりゃあ、いるかいないかで言ったらいるけど」
「いるケド……いなくなるッて言い方が正しいンだろーな」
「そだねぇ。……物理的に」
「物理的にな」

 *

「そういえば私、調査兵の報告をまとめるお仕事をもらった始めの頃、字を書ける魔物の子がいることにびっくりしてたなぁ」
「ンあー、まあ、確かに言われてみりャ珍しいナ。たまーにいンだよ。そーゆー物好きな魔物が」
「そーゆー物好きな魔物のリザル先輩も、字、書けるよね」
「お嬢があの人の部下になる前、報告まとめる仕事もしてたことあるしな。見て覚えただけだよ」
「前から思ってたけど……リザルって、頭、良いよね。ものすごーく」
「馬鹿じゃ生きてけねェかンな。……あと、どっかの魔族長サマが全力で煽ってくッから、馬鹿にされねェように先手打ってるだけだよ」
「その気持ちは、すごく、わかる」

 *

「『魔族として生きてて一番楽しい時を教えてください』」
「お嬢はご主人サマと生きること。次行くぞ」
「……リザルは?」
「ンなモンねェわ。魔族なンてそンなモンだ」
「えー……リザルは私と一緒にいて楽しくな、」
「楽しくはねェ」
「塩対応だった……」
「……ま、どっかのお嬢の面倒見るッて仕事が無くなれば、随分暇になっちまうだろーなとは思うケドよ」
「……リザルは忙しい方が好きなの?」
「否定はしねェ」
「……えへへー」
「気色悪ィ笑い方すンな」

 *

「マスターは何でいい匂いなんだろう」
「シラネ」
「……話終わっちゃったじゃん」
「その話題を俺に振るなッての。嗅いだこともねーし」
「ちなみにリザルは雨の後の森の匂いがするから、それも好き」
「嗅いでンのかよ。今後一切近寄ンな」
「一緒にいたらわかっちゃうんだから仕方ないんですー。……でも、こういうの、“匂いふぇち”って言うらしいんだよね。私、それなのかな」
「意味はわかンねェケド次嗅いだら噛むかンな」
「はーい……」


次回もお楽しみに!