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kobakoまとめ *2023.5月号
・ほぼ魔族長と部下夢主(+たまにリザル)の会話文です。
・時系列等々バラバラ
・series設定の話も含まれています。


▼腰巻きの内側を覗いてみる

「…………」
「…………」
「…………(クイッ」
「…………、」
「……夢と希望が詰まってますね」
「死ね」

▼しっぽ

「ねえリザル」
「ンあ?」
「ふと思ったんだけど」
「ンだよ」
「……尻尾って可愛いなって」
「……またしょうもねェ話か」
「しょうもなくないです! 人間の私から見て、羨ましいくらい可愛いです!」
「なンも嬉しくねェよ。武器になるならまだしも、あってもなくても変わンねェし」
「そういうものなんだ……。可愛いと思うんだけどなぁ。例えばマスターに尻尾がついてたらすごく可愛く見……」
「ンだよその顔」
「……可愛い通り越して、なんだかすごくえっちだなと思えてしまいました」
「……そーかい」

▼出不精主人

「ま、す、たー」
「…………何」
「心の底から鬱陶しそうな目……」
「鬱陶しいからね。……さっさと用件を言ったらどうだい?」
「せっかくの何にもない日なので、一緒におでかけしたいなと思い……」
「ふぅん? 日頃お前に尽くしてあげているというのに、主人を労わることすらしないんだね、お前は。主人不孝な部下を持ったものだよ。実に嘆かわしい」
「うう……だって、もう三日はお部屋から出てないじゃないですか、マスター……」
「ああそうだね、出ていないとも。それはお前も同じだろう?」
「マスターが離してくれないからです……!」
「ほう、そうまでに主人と離れたいと言うんだ、お前は。あれだけ甘い時間を与えてあげたというのに、己の欲に従うんだね。ガラス細工のようなワタシの心は粉々に踏み砕かれてしまったよ。責任を取れ。死ぬまでワタシに償え」
「ううう、絶好調な屁理屈……!!」

▼金縛り

「マスター、“金縛り”って、何だか知ってますか?」
「……、……知っているに決まってるだろう」
「(あ、知らないパターンのやつだこれ)……えっと、最近なんですけど、夜寝ていたら急に身動きが取れなくなって、その金縛りってやつにかかってると思いまして」
「……ふぅん」
「マスターは何ともないですか? 私と一緒に寝てる時」
「無いね。魔族長たるもの、そんな訳のわからない術に貶められるはずがない」
「やっぱりそうなんですね……。私だけ狙われてるのかな……」
「寝ずに見張っておけば良いだろう。……お前がどうしてもと言うなら、優しい主人であるこのワタシが、付き合ってあげても構わないよ?」
「……え、どういう風の吹きま……じゃなくて、本当ですか?」
「本当だとも。……ちょうど、縛られて苦しんでいるお前を、この目で見てみたいと思っていたところでね?」
「さいですか……」

 *

「…………すぅ」
「(マスター、寝ちゃった……。結局、まだ金縛りの正体も掴めてないけど……私も寝ようかな)」
「ん。……、……ん」
「(……何の夢見てるんだろう)」
「……ん(ぎゅう」
「むぎゅ、う、くるじ……」
「……んー」
「ま、まさか、金縛りの正体ってこれ…….うぐ、」
「……ん」

▼お休み明け主従

「……なんだかここ数日間のんびりしすぎちゃいましたね」
「フン、ワタシとしたことが、部下の怠惰に付き合い過ぎてしまったね。明日からは躾のし直しをしなくてはなるまい」
「それは……眠るのがとっても憂鬱になっちゃいます……」
「フ、そんなことを言っている場合かな? ほら、苦しみの明日を迎えるお前を優しく抱いて頭を撫でてあげるよ。そのまま眠ってしまえ。……そしてとっとと起きて、主人が心行くまで躾けられるといい」
「わ、私の感情を積極的に滅茶苦茶にしないでください……!!」

▼お化けなんてたくさんいて然るべきさ

「く、暗すぎませんか、この場所……何か出そう……」
「出るだろうね。事実、この辺りは過去の戦争で大量の人間が屍の山を築いていたのだから」
「な、なんでその情報今言うんですかッ……!? 余計に進みたくなくなるじゃないですか……!!」
「過去にどれだけの人間が死んでいようが怨念を持っていようがお前には関係がないだろう。……とは言え、そうして顔を青ざめさせるお前を眺めているのは一興だけれどね?」
「鬼畜! 悪魔! そう言うなら、マスターのマント、掴ませてください!!」
「却下。ほら、あの茂みの向こう、何かが立っているようだよ?」
「し、知りません!! 知りたくもありません!! 聞こえもしませんからッ!!」

 *

「もう、とにかく怖いので早く済ませて早く出ましょう」
「フン、情けのない」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………(ふー」
「わっひゃぁあぉあああい!!!?」
「…………フッ」
「な、なななんで耳に息吹きかけたんですか今!!?」
「フ……ククッ」
「ツボに入らないで下さいもう!!」

▼変わり身の術

「マスター」
「何」
「昨日、空でお店を見て回ってたら、抱き心地の良さそうな抱き枕が売られてたんですよ」
「…………」
「それでその、私がお仕事で忙しい日はそれを抱いていただいて、」
「あ?」
「…………すみませんでした」

▼久々パイセン

「リザルー!!」
「おわッ! ンだよお嬢……いきなり飛びついてくンなや」
「ごめん……。一ヶ月ぶりのリザルだから、嬉しくて」
「そーゆーことしてッとお前の飼い主が黙っちゃいねェから勘弁してくれや。……ま、一ヶ月ぶりなのは間違いねェケド」
「そうなんです。リザルが遠征してたから、マスターがご機嫌斜めになった時の逃げ場が無くて困ってました……」
「……お嬢、俺のことを駆け込み寺か何かかと思ってンだろ」
「うん、思ってる」
「即答かよ」

▼潤いリップ

「リシャナ……」
「!! す、ストップです!!」
「────、は?」
「あ、あの、ちゅーは、したいんですけど……今、唇がガサガサになってしまってて、ですね……!」
「……馬鹿部下のくせに、主人を言い包めようとしているのかな」
「してないです! ほら、見てみて下さい、唇!」
「…………」
「(す、すごい凝視されてる……)」
「……却下。潤いが欲しいなら、ワタシが舐め回してあげればいい話だよ」
「か、解決法が無理矢理すぎます……!」

▼すかいだいびんぐ

「この間知ったんですけど……リンク君、空でロフトバードから飛び降りた後は大の字で空から落ちてきてるみたいなんですよね」
「……ふぅん」
「全身に風を浴びて、いわゆる“すかいだいびんぐ”ってやつです」
「…………で?」
「……ちょっとだけ羨ましいなって思っただけです」
「ほう? なら、お前の望みを叶えてあげようか?」
「やです。絶対私のことまた放り投げる気じゃないですか」
「そうだけど? そうされたくて、そんな中身のない話を振ったのだろう?」
「部下の他愛もない雑談です! マスターが何か話せって言ったんじゃないですか!」
「フン、だからと言ってよりにもよって勇者の話をするなんてね? お前が語るべきはいつだって主人の美しさと気高さだと言うのに」
「ますたーかっこいいです。……満足ですか」
「ふむ。……やはりお前は天高く打ち上げてやる必要がありそうだね」
「なんでですか!!」

 *

「でも、着地失敗したら死んじゃうのに、リンク君はよく毎回あんなに高い場所から飛び降りてますよね」
「……この期に及んでなお勇者の話をするとはね。そもそも、あの空から落ちたのはお前が先だろう」
「落ちたじゃなくて落とされた、です。どこかのマスターに。私は雲海を抜けた直後に気絶しちゃいましたし、リンク君みたいに大の字で飛ぶ度胸は今でもないです」
「だから空に放り投げてその度胸とやらを鍛えてあげようと言ったのにね? 主人不孝な馬鹿部下だよ。お前は」
「活用範囲狭すぎるじゃないですか、その度胸……」

▼調子に乗りすぎた

「マスター、朝ですよー。起きてください」
「…………るせぇ」
「早く起きないと、雨が降る前に探索終わらないですよー。ま、す、たー」
「………………」
「起きない……。……なら」
「…………、(むに」
「ほっぺたむにむにの刑です。このモチスベなほっぺたをむにむにされたくなければ起き、」
「…………あ゛?」
「……すみませんでした」

▼部屋の隅で小さくなってる姿が可愛いなと思った

「リシャナ」
「はい」
「そこに立て」
「はい」
「座れ」
「……はい?」
「お、す、わ、り」
「……はい」
「…………」
「…………」
「もういい」
「は、はい……?」

▼もうそんな季節

「暑くなってきたねぇ、リザル」
「ンだな。ま、砂漠に比べりゃマシだケドよ」
「そだね。……そろそろ覚悟しておかないとなぁ」
「何のだよ」
「……暑すぎて全裸で外に出ようとするマスターを止めるための覚悟」
「……風物詩みてェダナ」

▼ぷんぷん

「リシャナ」
「だ、だめです!」
「は?」
「こんな暑い夜に抱き枕してたら、熱中症で死んじゃいます……! だから今日は、マスターとは別々に寝、」
「へぇ……? 馬鹿部下のくせに、主人の望みを切り捨てると言うんだね? お前は。なんとも傲慢なものじゃないか。日々部下の躾に悩み苦しむ可憐な主人を、主のために奔走する健気な主人を、お前は、見捨てると。ああ、ガラスのように繊細で美しいワタシの心は今まさに、無慈悲な部下の手により粉々に砕かれてしまったよ。これは世界にとっての損失だよね? 責任を取ってもらわなければ、ならないよねぇ? さあ、どう申し開きをするのかな? ねぇ、リシャナ?」
「…………わかりました、一緒に寝ます」
「フ、わかればいい」
「(いいんだ……)」

▼リンク君の腹筋についてお話してみた

「……っていうことが昔あったので、やっぱり勇者は侮っちゃだめですよ、マスター」
「………………」
「……あ、脱がなくてもマスターの腹筋の方が好きですよ、私」
「……何故わかったのかな」
「嫉妬の気配……じゃなくて脱衣の気配を感じたからです」

▼憧れの半獣

「リザルのこと見てるとさ」
「ンあ?」
「半獣型の亜人に、ちょっとだけ憧れちゃうんだよね」
「ンだよいきなり。べッつに、寿命と頑丈さ以外は人間と大して変わンねェだろ」
「リザルから見たらそうかもしれないけど、爪とか牙とかツノとか、道具以外の武器があればもっとマスターの役に立てると思って」
「……本音は?」
「……私もそういうかっこいい特徴が欲しい」
「はァ。そーゆー特徴があっても、お嬢はお嬢のまンまだと思うケドな」
「むー……中身の残念さは同じみたいな言い方」
「そうそう、わかッてンじゃねェの。いーンだよ。お嬢は俺の背中に乗せやすい体のまンまで」
「……なんだか、面と向かってそう言われるとちょっと恥ずかしい気が」
「大好きなご主人サマも同じこと言うぞ、たぶン」
「あう……」

▼しんじゃうとするなら

「お前の死に際を見るとするなら」
「え」
「……服毒死がいいね」
「……いきなり、ものすごーく不吉なお話するじゃないですか」
「フ、ただの喩え話だよ」
「……ちなみに、なんで服毒死がご希望なんですか」
「決まっているだろう。最期の最後までワタシを求めるお前を、長く長く見ていられるから、だよ」
「趣味がよろしくないです……。それに、なんで私が毒を飲んだとして最期の最後までマスターを求めるってわかるんですか」
「わかるとも。お前はワタシのモノだから、ね?」
「……今これ、口説かれてるんですか」
「さあ? どうだろう」
「……あながち間違いでもないし、ちょっと嬉しいって思ってる自分がいて、なんだか悔しいです」
「フッ……やはり単純だね、お前は」

▼キスの日

「マスターは、その……」
「何」
「……キスって、どこで覚えたんですか」
「は?」
「魔物の子たちは当然、キスなんて行為知らないじゃないですか。でもマスターは知ってて、魔王様が教えるなんてことは絶対ないと思ったので……」
「ふむ。そうだね。……どこで知ったのだろうね?」
「……その意地悪な顔、絶対覚えてますよね」
「フ、さあねぇ? そもそもお前が気になっているのは、過去、このワタシがお前以外にキスをしたか、という点だろう?」
「う」
「わざわざ遠回しな聞き方をしたようだけれど、残念だったね? 愚かな馬鹿部下に答えは与えてあげないよ」
「ううう……底なしの意地悪……!」
「せいぜい無い頭を振り絞るんだね。……ほら、敗者は大人しく唇を捧げろ」
「なんでこの文脈でちゅー……、んむ、むー!」

▼定位置

「マスター。今回の作戦についてまとめたのでご意見聞かせてください」
「…………」
「あれ、無視です?」
「……リシャナ」
「はい」
「意見を伺う前に、すべきことが、あるよね?」
「……すべきことって、」
「…………」
「……、……お膝の上、失礼いたします」
「ッフゥン!! 仕方がないね!! 特、別、に、お前の貧相な体をこのワタシの美しき膝に乗せてあげようじゃないか!!」
「(膝上じゃないと報告聞いてくれないのね……)」

▼膝上作戦会議

「……今日の報告で、この地点に罠が仕掛けられてるって上がってきました。もともと予定してた編成じゃ厳しいみたいです」
「どうやら、馬鹿ども……もとい敵どもを侮りすぎていたようだね。計画に支障が出る程ではないけれど」
「そうですね。たぶん配置を変えたら問題なく対処できると思います。あとは偵察部隊を増やして、同じような罠を張られていないか確認しないとですね」
「全く面倒なものだね。そんな浅知恵に振り回されなければならないなんて」
「今回は仕方ないですよ。あんまり慣れてない土地ですし。この後すぐに編成を組み直します。……ところでマスター」
「何」
「この会話、マスターの膝上でぎゅーされながら話すには重すぎると思うんですよね」
「…………何か文句でも?」
「いや……、……すみませんでした」

▼春でも寒そう

「今日は夜風が気持ちいいですね、マスター」
「フム。風がこのワタシのように清涼だね」
「そですね。…………」
「……何」
「(ひしっ」
「……何故ワタシの肉体にしがみついたのかな」
「……お腹冷えちゃいそうだなと思って」

▼ある意味呪術師

「リザル……」
「は……おいお嬢、どうしたンだよ。顔真っ青だぞ……!?」
「ごめん、少しだけ、匿って……。もう一度見たら、たぶん、死んじゃう……」
「死ぬって、おい……何を見たンだよ。まさか、近くに呪術師でもいンのか……!?」
「ううん……。そうじゃない、の……もっと、怖いもの……」
「怖い……? まさか……」
「うん……そう。──紐パン一枚で、体を見せつけてくる、マスター」
「…………」
「あれ以上あの綺麗な体見たら、私の全身の細胞が弾けて、死んじゃう……だからリザル、匿っ、」
「出てけや変態」

▼三回に一回はやってるやりとり

〜戦闘中

「フン。存外、手応えのない連中のようだね。数もだいぶ減ったようだし、そろそろ馬鹿部下の様子でも見に行、」
「ま、マスター!!」
「ん……?」
「──さっきの動き、とっっってもかっこよかったです!!」
「ッハン!! 知っているとも!!」


「……今のやりとり必要だったんすかね?」
「あの主従にとっちゃ必要なンだろ。ほっとけ」

▼傘リベンジ

「雨ですね、マスター」
「フム」
「…………てい(バサッ」
「…………」
「あれ、傘開いても驚かない……」
「ッフン、魔族長であるこのワタシが、人間ごときが作った道具なんぞに惑わされるわけがないだろう?」
「そうですよねぇ……(何年か前はすごくびっくりしてたのに……)」
「そしてリシャナ。お前はそんなものでワタシを驚そうと、愚考したわけだね?」
「う、バレてる……」
「ハッ、本当にお前は馬鹿部下だね。……主人と同じ傘に入る機会を自ら失うだなんて」
「へ」
「お前が愚かな行いをしなければ、お前が大好きなワタシがこの傘の元に入れてあげたと言うのに、ねぇ? ああ、与えられるはずの慈愛を蔑ろにするなんて、お前は本当にどうしようもないよねぇ……?」
「うぐ……今回ばかりは何も言い返せない……!!」

▼ふとした恐怖

「……ぁ、」
「フン、無様に油断をしたものだね。リシャナ」
「……私、今、マスターに助けられなかったら死んでました、よね……?」
「間違いなくね。心から感謝をするんだよ」
「ありがとう、ございます……、……」
「……何」
「その……何故か、手、すごく震えてて……。死にかけたこと、何回もあるのに、何でこんな……」
「…………。……仕方ない」
「え、ま、すたー?」
「単純なお前のことだから、こうして頭を撫でていればすぐに落ち着くだろう。……大人しく抱かれていろ」
「……、……ありがとうございます。マスター」

▼めちゃくちゃ致した翌日

「……腰が痛いです」
「あれだけ奥を突いてあげたのだから当然だろう。このワタシにあそこまで愛されて、お前は地獄に落ちても笑っていられるほどの幸せ者だね?」
「(例えの方向性がよくわからない……)。……たしかに幸せですけど、今日向かう場所、そこそこ敵さんが多いって話でしたよね……?」
「ッフン、何が言いたいのかな?」
「……腰が痛くて動けない私の代わりに、今日はマスターが戦、」
「ああ、理解したよ。まだ足りないと言うのだね? 馬鹿部下のくせに欲深いものだよ。しかしそんな強欲なお前であっても、美しく寛大なワタシが奉仕をしてあげようじゃないか。……ほら、とっとと下を脱げ」
「なんで積極的に足腰立たなくしようとするんですか!! って、パンツとらないでくださいッ!!」



次回もお楽しみに!