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kobakoまとめ *2023.3月号
・ほぼ魔族長と部下夢主(+たまにリザル)の会話文です。
・時系列等々バラバラ
・series設定の話も含まれています。


▼極甘飴と殺人鞭
〜剣技演習中

「ふっ……!」
「遅い」
「あ」
「振り抜きが甘いといつも言っているだろう? 次に同じ失態をしたなら、腕を一本支払わせるよ」
「ッ……やり、ます!」

 *

〜剣技演習後

「リシャナ」
「……ん」
「(ちゅ」
「…………、」
「……せっかく主人が唇を与えてあげているというのに、随分な間抜け面だね」
「いや、その……剣技の練習中はあんなに厳しくて怒られてばっかりなのに、終わった後はこんなに優しくちゅーしてもらえてて、寒暖差というか落差が空と大地の差というか……」
「なら、キスをしながら腕一本支払わせてあげようか? それならお前が言う寒暖差とやらも溝が埋まるだろう?」
「わけがわからないですよ……! 何も埋まらないです……!!」

▼風が強い日

「っわ……! か、風、強すぎ……!」
「チッ……うぜぇ……!!」
「ま、マスター、素が出てます……!」
「うるせぇよ、なんでこの俺がこんな風ごときに乱されないといけねぇんだ……!」
「髪なら私が後で整えますから、今は耐えてくだ……ひゃあ!」
「──ッリシャナ!! この風をどうにかしろ!!」
「無理です!!」

▼偵察機ってやつ

「私、リンク君の持つ物の中で一番欲しい物がわかったかもしれないです」
「…………」
「……無視は傷つきます、マスター」
「お前の中身のない話に付き合う幼気なワタシの身にもなってほしいものだね。どうでもいいという言葉を発する労力すら惜しいというのに」
「言ってますしそれ以上に喋ってますし……。……で、何かというとですね」
「……はぁ。……何」
「ビートル、ってやつです。自分で飛んでいってくれる機械なんですけど」
「……それが何」
「閃いてしまったんです。あれにウツシエをくっつけたら──頭上からウツシエが取り放題。つまり、」
「このワタシの肉体を四方八方からウツシエに収めたくなる気持ちだけは理解を示してあげようか。……与えるのは重い罰だけれどね」
「なんでわかったんですか!!?」
「わかるだろう」

▼教えてくれた人の癖

「──せい!」
「おォ……」
「どうだった?リザル。今の立ち回り」
「おう。素直にすげェモンだなと思ったよ」
「えへへー、リザルに褒められた」
「魔族長サマに直々に教わってるだけあンな。最初はヘナチョコだったのによ」
「苦労した甲斐があって良かった。……マスターの剣舞見て、決めポーズも必要なのかと思ってた頃が懐かしい……」
「ありャあの人の趣味だかンな」

▼生ける麻薬

「マスター」
「…………」
「十秒……いや、三秒でいいんです。その三秒があれば、私は明日の作戦を頑張れるんです」
「…………」
「……だめ、ですか?」
「……仕方ない」
「!! ありがとうございますっ!(ガバッ」
「…………、」
「すーーーーはーー」
「……長い」
「……堪能できました。マスターの匂い。これで私は無敵です。頑張れます」
「その鼻を削ぎ落としてやりたくなる顔だね」

▼ぱしゃり

「リザルリザル」
「ンあ?」
「えい、ぱしゃり」
「……ンだよそれ」
「ウツシエです。リザルのウザそうな顔、収めました」
「あー、お嬢がよくあの人に向けてるやつな」
「うん、そう。……最近ね、あんまりにもマスターのウツシエしか撮ってないってことに気づいちゃって」
「……おー」
「せっかくだから、いろんな人や景色を撮るべきだなと反省しました」
「……ちなみに、あの人のウツシエはどンだけあンだよ」
「…………、……アルバム三冊分」
「…………(ドン引き」

▼ついてくるかんじが楽しいなと思った

「ま、マスター……」
「何」
「ある、くの、速い、です……」
「フン、何故このワタシがお前の鈍足に合わせなければならない。お前自身がなんとかしろ」
「わた、私も速く歩いてるはずなのに、私が追いつこうとするとマスターの足が速くなってるんです……!」
「当然だろう。速くしているのだから」
「なんでですか!?」
「……さあ」

▼布にくるまる姿が微笑ましいなと思った

「見てください、マスター。空でふかふかな布が売ってたので買ってきちゃいました」
「……お前はまた健気に帰りを待つ主人を放って、勝手を働いてきたようだね」
「健気にお仕事果たして帰ってきた部下をほったらかして熟睡してたのはマスターじゃないですか……。でも、きっとマスターも気に入りますよ、この布! ほら、ふかふか!」
「このワタシが人間が作った安っぽい布ごとき、気にいるわけがないだろう」
「ふかふかー」
「…………」
「ふかふかふー」
「…………(ぎゅ」
「ふか……へ? マスター、なんでぎゅー……?」
「……別に」

▼読書中

「…………」
「……(じっ」
「……マスター」
「何」
「……そろそろ、寝ます?」
「寝ない」
「……もしかして、私がこれ読み終わるの、待っててくださってます?」
「……そんなはずがないだろう」
「えと……、……後十分くらいで読み終わりますね」
「フン」

「(そういえば、前にマスターが言ってたな)」
「(……愚かで知恵の無い人間だけれど、本という情報の保管手段を作り出したことは褒めてあげてもいいかもね、って)」
「(……大切にしよう、この時間)」

▼全部知った上で

「……お前は」
「はい?」
「ワタシが欲しいと、思ったことはあるのかな?」
「へ……どうしたんですか、いきなり」
「思慮深いこのワタシの、無垢なる興味というものだよ」
「欲しいって……言葉の通り、ですか?」
「そうだとも」
「……マスターは魔王様のものだからないです。……なんて即答出来たら満点でしたか?」
「点数などあげるわけがないだろう。見え透いた嘘をついているのだから」
「手厳しいです……。……そりゃあないことはない、ですよ。マスター大好きですから」
「ふぅん? 理由はそれだけなのかな?」
「……それ以上は、ご褒美くれなきゃ教えません」
「馬鹿部下のくせに生意気なものだね。お前にそんな権利があるとでと?」
「ないとしても、行使します。マスターでもだめです。……私の泣きどころってやつです」
「ッフ、本当なら再起不能になるまで虐めてあげたいところだけれど。泣き出しそうな顔をしている哀れな部下に免じて、許してあげようか」
「……いじわるすぎます。…………それでも大好きです、とだけ言っときます」
「知ってる」

▼びっくりしちゃった

「おはようございます。マスター」
「ん」
「…………え」
「……何」
「……寝起きでも美人すぎてびっくりしちゃいました」
「……そう」

▼ほわいとでぃ2023

「さあッ喜びたまえ、リシャナッ!!」
「!!?」
「お前のだぁい好きなこのワタシが!! 欲深いお前のために!! 一肌……いや、二肌脱いであげたよ!!」
「脱いでって……なんで全裸でハイテンションなんですかマスター……!!? 言葉通りに脱がないでください!!」
「ッフゥン、そう慌てなくてもいい。たしかにこのワタシの柔肌は何かの対価を支払わなければ見ることは許されない。しかし、今日という日は特別だ。このワタシの美肌に見て触れ、かつ彩ることを許してあげようッ!」
「彩るって……え、まさかその手に持ってるの……!?」
「見ればわかるだろう? ちょこれえとだよ」
「何もかもわからないですマスター!! いきなり何させようとしてるんですかッ……!!?」

▼ろまんちっくにはほど遠い

「明日からオルディンで魔物の子たちの勧誘、でしたよね?」
「そうだよ」
「二週間くらい、マスターがいないってことですよね」
「そうだとも。……留守にする間、せいぜいワタシの偉大さを噛み締めて眠れなくなればいいよ」
「……本当にそうなっちゃいます。寂しくて」
「なら、連れて行ってあげようか?」
「…………、……それはちょっと」
「……お前」
「だって、過酷すぎるんですもんオルディン火山……! マグマの熱が私のマスターへの愛を乗り越えてくるんです……!!」
「へぇ? お前の愛はその程度の熱量だったんだね? ならば無理矢理温めてあげるためにお前を溶岩の中に叩き落としてあげようか……!」
「お、お互いに言ってること支離滅裂すぎますマスター!!」

▼みたいの

「愚かで醜い人間だけれど、一つだけ美しいと言ってあげて良いものがある。……何だと思う?」
「……何でしょうか」
「それは骨、だよ。赤い血肉の中に突き立つ白は、このワタシの琴線に触れるものがあったね」
「そですか……」
「……リシャナ」
「私の名前呼ばれても見せられないですからね……!?」

▼ばれちゃった

「────」
「ああ、ようやく目を覚ましたようだね。おはよう、リシャナ」
「……おはようございます」
「主人のベッドでこぉんなに服を乱して熟睡してしまうなんて、お前は本当に悪い子だね? これは躾をしてあげなければならないよね?」
「……マスター」
「何」
「私が眠ってる間に私の部屋から私を連れてきて、服、脱がせましたよね」
「……、…………チッ」
「チじゃないです」

▼栄養補給

「じーー」
「…………」
「じーーーー」
「…………」
「……おっけーです。補充完了です。心のウツシエにマスターの筋肉ばっちり収めました」
「……やはり、蹴り飛ばしてあげたくなるね。その顔」

▼見張り台にて

「人間どもの言葉にこんなものがあるらしいね。──馬鹿と煙は高いところが好き、だと」
「むー……いいじゃないですか、見張り台からのこの景色、好きなんですから」
「非難などしていないだろう? ワタシはお前たち人間どもの言葉を謳ってみただけだとも。ねぇ? 馬鹿部下」
「いじわる……。……でも、この時間すごく好きなんですよ、私。マスターと一緒なら、なおさら」
「ふぅん。今の大地から夜空を見たところで、何にも見えないというのにね」
「それでもです。夜の森の匂いも、風の涼しさも、動物の鳴き声も……マスターとくっついてる部分のあったかさも、全部好きです」
「……物好きなものだね」

▼キノコ食べる姿

「キュ、変な姉ちゃんと変な兄ちゃんキュ」
「あ、キューちゃん。こんにちは」
「キュー、キューちゃんじゃないキュ、マチャーだキュ」
「ッフン、どちらでも良いよ、そんなもの」
「変な兄ちゃん、辛辣キュ……」
「ところで、こんな森の奥地でどうしたの? 君たちの住処からここって、結構距離あるよね?」
「キュ、このあたりに生えてるキノコを取りに来たんだキュ」
「キノコ?」
「オイラたちキュイ族も食べられる安全なキノコキュ。姉ちゃんたちも見つけたら食べてみるといいキュ」
「食べられるキノコ……たしかに食材としては良いかも……。……まてよ?」
「キュ?」
「…………」
「……マスター」
「ワタシが食べるはずがない」
「何でですか!!」
「いかがわしい邪念が溢れ出ているからだよ」

▼脳内に直接

「……やっぱり寂しいです。明日から一ヶ月もマスターに会えないなんて」
「フン、せいぜいワタシの美と偉大さを噛み締めたまま眠れぬ夜を過ごすがいいよ」
「冷たい……。なんかこう、遠くの人同士でお喋りできる魔術があったらいいのにって思います。思念波、みたいな」
「なくはない魔術だけれどね」
「え、そうなんですか!?」
「お前に使ってあげるかどうかは別の話だよ」
「ええー……それがあれば毎晩マスターの声を聞いておやすみ出来るかと思った、の、に……」
「……何」
「いやその……、……眠る前にマスターの声が頭の中に響いてきたら、大興奮して眠れなさそうだなって」
「フム。今度試してあげようか」
「こういう時だけ乗り気……!」

▼ゲリラ豪雨に出会して

「ふぅ……、なんとかこの洞窟の中なら雨宿り出来そうですね」
「チッ……鬱陶しいことこの上ない……」
「向こうの方、晴れてますし通り雨のはずですけどね……」
「……もしそう言いながら晴れなかったらお前を燃やして暖を取ってやる」
「わ、私のせいじゃないですよそれは!!」
「チッ……」
「…………」
「…………」
「…………、(マスターの服、濡れたら透けるかなと思ったけど、案外透けてないなぁ……)」
「……やはりお前は燃やすべきだね」
「!!? 何も言ってないじゃないですか!!」

▼大トカゲとでぇと

「あ、見て見てリザル! ここの花畑、満開になってる!」
「ソダナ」
「最近あったかくなってきたから一気に咲いたのかな。絶景……」
「そーゆー景色にいちいち感動出来て、人間は単純でいいな。別に食えるわけじゃねェのに」
「ふふん、感受性豊かってやつです。……そういえば、小さい頃こういう花畑で花冠作って遊んだことがあったかも」
「……マジかよ。お嬢がか?」
「うん。みんながロフトバードに出会って、誰も遊んでくれなくなった頃」
「あー……、なるほどナ」
「さすがに作り方忘れちゃったけど……こうして髪につけてみて……どうでしょう?」
「おー、カワイイカワイイ」
「えへへーすがすがしい棒読みー」

 *

「……………………」
「ま、マスター、あの、」
「あ?」
「あうう……だから、いつも通りリザルと森の偵察行ってたら花畑見つけただけで……」
「…………へぇ?」
「うう……ごめんなさいぃ……!」

 *

「…………どーりで最近あの人の殺気を感じるワケだ」
「……ご迷惑をおかけいたします」
「つーか、今ッさら嫉妬の対象にされるかねェ。お嬢との任務なンぞ数え切れねェほど行ってンだろ」
「普段はマスターがリザルに嫉妬することって滅多にないんだけど。ある特定の人にはものすごーく敵意剥き出しにするんだよね。リンク君とか」
「ま、めンどくせェことには変わりねェな。しばらくお嬢との任務はナシだな」
「…………えー」
「えじゃねェよ。やっぱり話ややこしくさせてンのお前だろ」

▼ロボケロちゃんと一緒

「……ガタガタケロ」
「……マスター、この子すごく怯えてますよ」
「ッフン! このワタシの圧倒的な美しさに気圧されているのだろう。機械すら惑わせる魅力……自分で自分が怖くなってしまうね?」
「何言ってるかわからないケロ……怖いケロ……」
「ごめんね、私もわからないや……」
「とにかく、だ。リシャナ。とっととその機械に封印の在処を吐かせろ」
「ケロロロ……!」
「あ、ダメですよマスター。余計に怖がって話さなくなっちゃいますって。……ほら、ロボケロちゃん。この人は怖いけどとっても良い匂いがして綺麗な人なんですよー」
「もっと意味がわからないケロ……!! 怖いケロ……!!」

 *

「オイラ、封印なんて知らないケロ……食べないで欲しいダ……!」
「あらら……私のマスターは私のことくらいしか齧らないから大丈夫だよー」
「……おい」
「でもマスター、この子本当に何も知らなさそうですよ」
「ッフン、見ればわかるとも。だが、せっかく壊さずにいてあげているんだ。せめて道案内くらいは役に立ってもらおうか?」
「け、ケロ、ケロ……、……道案内も何も、ここらの遺跡はそんなに複雑な道してないダ、」
「何か、言ったかな?」
「ケロッ!!」
「(ううん……否定出来ない……)」

 *

「け、ケロ……この先が、人間たちが昔使ってた泉ケロ」
「本当に一本道だった……」
「余計なことを考えるならその頭を捻じ切るよ、リシャナ」
「何も考えておりません、ごめんなさい」
「ケロ、じゃ、オイラは、ここで……」
「あ、うん、ここまでありがとねケロ」
「……その間抜けな語尾で話し続けたら、口を引き裂くよ」
「ケロォ!!?」
「話しません、ごめんなさいッ!!」

 *

「ケロ……何で泉に着いたのにまだ解放してくれないケロ……!?」
「お前にはまだ利用価値があるからだよ、機械人形。人形は人形らしく大人しくしていろ」
「理不尽ダ……」
「ごめんね、私のマスター理不尽なんです……」
「……お前はいつまでその人形の肩を持つ気かな? リシャナ」
「なんだか可哀想になっちゃって……ずっとマスターに食べられると思って怖がってますし。その気持ちもわかるというか……」
「……お前は、ワタシの、モノ、のはずだよね、リシャナ? お前が同情をしていいのはこのワタシだけのはず、だろう?」
「同情なんてしたらむしろ怒るのマスターじゃないですか……」
「……夫婦漫才してるうちに逃げるケ、」
「「夫婦!!?」」
「ヒィッ!!? 」

 *

「もう諦めたケロ……煮るなり焼くなり齧るなり好きにしてケロ……」
「あら……自棄になっちゃった……」
「フン、機械のくせに面倒だね。そこまで言うのなら仕方がない。リシャナ、処分をしろ」
「ケロ……」
「ええ、無理ですよ……なんだかすごく可哀想になっちゃいましたし……。私たちのこと、他言無用ってことで覚えておいてもらって見逃してあげません……?」
「どこまでも甘い馬鹿部下だね。……まあいい。どうせこんな機械にワタシの目的は邪魔できないさ」
「そんなわけでロボケロちゃん、逃がしてあげるのでいろいろ内緒にしててね」
「ケロ、するケロロ……!!」
「私たちの目的と……あと、マスターが美人でワガママででもすごく良い匂いがするところも、内緒でね。えーと……そう、“おふれこ”ってやつ」
「ケロロケ……そこはたぶん、もう思い出さないケロ……」

 *

「可愛かったですね、あのロボット。いつも砂漠で襲ってくる子たちより意思疎通出来ますし」
「フン、まあ、邪魔をせずに多少なりとも役に立ったという点は評価をしてあげようか」
「あ、せっかくですし、一体くらい拠点に持って帰ってみませんか? 日々の癒しになりますよ」
「却下。間に合ってる」
「間に合ってって……マスターの癒しって、何なんですか?」
「フ、このワタシ自身の肉体を余すところなく愛でること、だよ」
「さいですか……」


次回もお楽しみに!