ネットカフェにて


半年くらいネットカフェでバイトをしてました。
ネットカフェは、漫画が沢山あって楽しそう…。本の整理とか好きな私には向いてるかも。と思って始めたのですが、ほとんどが調理と清掃で心折れそうになりました。

で、そのネカフェでの話。

1階がフロントと個室、2階がスポーツ用スペースとファミリールーム、という店。
24時間営業なので、人が絶える事は殆どない…のですが、流石に深夜ともなれば人は少ない。たまたまファミリールームが一斉に出られて、スポーツスペースにも人がいない状態。
このフロアに、私ひとり。
誰か一緒に来てよね…と思いながらも、まだあがりまでは時間があったので、ゆっくりコップを割らないように作業しよう、まずは奥から―――ファミリールーム。
一番奥の部屋2部屋と、一番手前の部屋を清掃しなければいけない。
まあ元の通りに戻して、消毒した布巾で色々拭いて、食器を下げる。ただそれだけの事。
まずは邪魔な食器を回収。テレビはつけっぱなしならつけてても良い。ちょっとは気が紛れる。一番奥の6号室はテレビがついていたので、つけっぱなしで作業。食器を回収、外のワゴンに置いて、色々消毒、テレビを消す。
私はミスが多いので、最終確認を怠らない。
PC点いてた。あぶねぇ。シャットダウン…違う、ディスプレイだけだ。消灯。
向かいの部屋の5号室に向かい、先ほどと同じように清掃作業。
そして一番手前の部屋に向かおうと…何か聞こえる。インカム? 違う、…テレビだ。
使っていない部屋は開け放しているので、テレビの音などは消し忘れたら普通に聞こえる。さっきは気付かなかったけど、どこか点いているのか。
4号室、3号室。ついてない。2号室、1号室。ついてない。
…えっ。
確認、したよね?
消したよね?
消した、よ? 絶対消した。

いやいや有り得ないから!

と思いながらも、めちゃめちゃ怖い。

6号室の方から聞こえる。
嘘だろ…。
いやマジで、そういうのやめてくれよ。

6号室のドアが、キィ…と動いて、自然に閉まった。

もう無理だ。

「あーあー聞こえますかー誰か来てくださいマジ怖いですNさん助けてくださいどうぞー」
私はインカムで、同じシフトのNさんに躊躇い無く助けを求めた。外聞など気にしていられない。

「あーあー江南さーん、6号室のテレビはほっといていいです、どうぞー」

知 っ て る の か よ !!

「ドア…閉まっちゃったんですけど」
「あ、それは開けてください」
「無理っす!」
「あーSさん、ちょっとファミリー行ってきます」
笑う声が後ろで聞こえた。笑ってる場合じゃねぇ。

程なくして、Nさんが来た。
至って普通に、6号室のドアを開け放ち、テレビを消す。

「テレビ…消したんですよ私」
「知ってます。勝手に点くんですよ」
「不具合…?」
「…じゃないですね。だってこの部屋、清掃直後に座布団ばらまかれてたりするんですよ?」
怖すぎる。
「…もう私ファミリー無理です」
「大丈夫、見えないから」
「そこじゃないですよ…マジ怖ぇっす」

その部屋で何があったのか、バイトの回転率が良くて誰も知らなかった。
でも、多分、何か良くない事があったんだろうなぁ、と思いました。


いやほんと怖かったです。





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