アイソレーション ムービー
「もーいーいかい?」
「もーいいよ」
日が傾き、夜が来ても、誰も僕の名前を呼ばなかった。
辺りは静かになり、犬だけが遠くで鳴いていた。僕は待った。待って待って待ち続けた。
キリハラくん! キリハラタクトくん!
なんでこんなところにいるんだよ、探したんだぞ、いっしょにかえろう。
そう言ってもらえる時を待った。
しかし、現実は、転校生のことなど皆覚えてなんかいなかった。
転校ばかりしていた僕には、いつしかそれが当たり前になっていた。
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