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どうして逃げられたのか....
というかいかにも挙動不審だったから今さら忘れた、なんて言わせるつもりはない。
それでもやはりあいつに逃げられるのがどれだけ辛いか今初めて気付いた。
なかなか会ってなかった分綺麗になってる。
彼氏だっているかもしれない。
まだ相手が自分のものだと思っているのは俺だけなのか...
いつから俺はこんなに女々しくなったんだろう....
“女”なんていうくだらないものに悩むなんてらしくねーぞ、黒崎蘭丸。
* * *
はぁ......はぁ.........
やっと見つけた。
あの後走り回って美桜を探した。
花壇の隅に一人座っていた。
「おい。」
声を掛けたが返事はなし。
「お前聞いてんのか」
やはり返事なし。
「お前、俺のこと忘れたんじゃ ねーだろうな?」
そう聞くと美桜の肩がピクリと震えた。
「ほら、覚えてんじゃねーかよ。」
『ら、蘭丸くんは女には興味ない んでしょ....?』
やっぱりか....。
芸能界で話題になっているほどなのだから有名だろう、そんな噂。
でもそれは美桜以外の連中は興味ない。
つまり美桜しか興味がない、と言ってるのであって。
コイツを泣かせるためなんかに言ったんじゃない。