過去原稿 | ナノ


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 ある時、彼に打ち明けた。何度も転生を繰り返していること、持ち主を失えば私はその生涯を終え、また別の人生を歩み出すこと。酷い仕打ちばかりを受けてきたが、愛してくれた人は今までに二人いたこと。
 私のそんな告白も、過去の思い出話にも、彼は茶化すわけでもなく、呆れるでもなく、疑うでもなく、ただ微笑んで相槌を打ってくれていた。
 信じてくれるのか、という私の問いに、彼は当たり前だろう、と事も無げに言ってのける。そんな彼の優しさに、私はどんどんと溺れていった。


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