過去原稿 | ナノ


3.  



 告白したのは、一ヶ月程前だった。私の告白を断ってしまった後ろめたさから啓が私を避けているのか、それとも私が断られてしまった気まずさから啓を避けてしまっているのかは解らない。ただ、はっきりしているのは、私と啓は前までのように二人で笑い合えなくなってしまっているということ。そして、その関係を壊してしまったのは紛れもなく私だということ。この想いを隠したままにしていれば、きっと啓とは今でも笑い合えた。この想いを打ち明けさえしなければ、きっと啓は誰よりも早く私の誕生日を祝ってくれた。だが、今更どうこう言ったところで何かが変わるわけでもない。後悔先に立たず、だ。
 雪と共に校門をくぐる。
何も期待なんかしていない。でも、私は確かに願っている。啓が、私の誕生日を祝ってくれるのを。啓が、私に話し掛けてくれるのを。
 授業中も、休み時間も、私の視線はちらちらと啓にばかり向いていた。それでも啓は、一向に私の方には来なくて。視線すら合わない。きっと啓は、私の存在なんて気にも留めていないのだ。どんどんと悪い方向へと向かっていく思考。もしかしたら、と期待していた気持ちは、空気の抜けていく風船のように少しずつしぼんでいってしまった。

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