笑顔屋 | ナノ


 数メートル先でふわりと浮いていた彼女の後に着いて行けば、彼女は今の時間帯には人通りが無い中庭のベンチで動きを止める。
『……いきなり、ごめんなさい』
 くるりと振り返り、深々と頭を下げる彼女。さらり、と、ふわふわと癖が掛かっている柔らかそうな髪が肩から流れ落ちる。やがて顔を上げた彼女の瞳には、怯えや戸惑いなど一切見られなかった。
『貴方達に、聞いて頂きたいことがあるのです』
 白く清楚なワンピースは、恐らく彼女が好んで着ていた物だろう。手の位置にある清潔そうな白が、くしゃりと皺を寄せた。

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