「流されていくぞ『暗闇の月』………。自分のスタンドの能力自慢をさんざんしてたわりには、大ボケかましたヤツだったな」
「承太郎どうした?さっさと二人を引き上げてやらんかい!」

「ど……どうした承太郎!?」
「ち、ちくしょう、ひきずり込まれる」
「え!?」
「なんだって!」

「『スタープラチナ』の腕に、何かが!」
「う…ああああッ!」
「こ…これはッ!」
「フジツボだッ、あの甲殻海生動物のフジツボ虫だ、『スタープラチナ』の腕から船腹へつながってビッシリとッ!」
「やつはまだ闘うつもりだ………やつを殴った時、くっつけやがった。どんどん増えてやがる………。おれのスタンドから力が抜けていく……。パワーを吸い出して、海中にひきずり込もうとしている……」
「い…いつのまにかいない!船長がどこにもいない!」
「承太郎、スタンドをひっこめろッ!!わしらが代わりにふたりを引き上げるッ」
「そうよ承太郎!わたしだけならブルーで自力で上れる!」
「わかっているが……、それができねーから…ヌウウ、かきたくもねー汗をかいているんだぜ」

「あっ」
「JOJO!」
「承太郎!」

「花京院!この子をッ」
「JOJO!杏奈!」
「し…しまったァ」
「ま…まずい」

「クククク、よお〜〜こそ、よお〜〜こそ。ククックク、よお〜やく、来てくれたなあ。ダークブルームーンの独壇場、海中へ…ククク」

「この俺をなめとったらいかんぜよ…おにいちゃん。海中とはいえ『スタンド』同士の会話も可能だからよって…もういっぺんさっきのような生意気なセリフをたれてみィ!おにいちゃんよオ、ああ〜〜〜〜!?」
「こ、こいつ!逆恨みじゃない!承太郎に逆恨みしてやがるこのイカレ野郎!」
「てめー、なにになりてぇんだ?なりてえ『魚料理』を言いな。刺身になりてえのか?カマボコか?それともスリ身とかよ、てめーの『スタンド』を料理してやるからよ………」
「このバカが……強がった口きいとるとがるがよおにいちゃん、おたくは今、心の中でのんなことを考えている。『こいつ一体どれくらいの時間水中にもぐっていられるのか?自分の限界は2分てとこだが、自分より長くもぐっていられるのだろうか?……』とねェーーッ。ククク!ヒヒヒ!答えてやろう。俺の肺活量は普通の人の3倍よ……。そして訓練されている………。潜水の自己ベストは6分12秒!この数字をきいただけで意識ぐ遠くなるだろ?そしてッ!」

「『暗闇の月』の水かきはスクリューの回転よりシャープに動く水中カッター。その上、なめた口をきく前にてめーのスタンドをよーーくみてみろッ!」
「!」
「あっ!スタープラチナの全体に、さっきのフジツボが…!」
「『暗闇の月』のつけたフジツボが、どんどんおまえの力を吸い取って繁殖しとるぜ。どんどん力がなくなっていくのが実感できるだろう…ククク」
「承太郎!手を!」
「ククク……泳いで水面にのがれるか?周りをよく見ろ!」
「こ、これは!」
「ワハハハハ!さっきから『暗闇の月』が水中に渦の流れをつくっていることに…気づかねェーのか?おまえたち!」
「クッ!」
「泳げや泳げ、どんどん呼吸が苦しくなり力が抜けていくぞ!だがおまえたちのような思いあがりのガキどもをいたぶり殺すには、これだけじゃあまだたりない」



「痛ッ!な、何…?何かが渦の中で、一緒に流れている…。こ、これは」
「や、やつのウロコ!」
「迂闊に渦の中に飛び込めば、このウロコで余計に傷つくことになってしまう…。どうしよう承太郎!これじゃあ海面に上がることも、攻撃することも出来ないッ」

「今考えていることをあててやろう。『渦には一点だけ動かない部分がある』ククク……ありふれてるねーーー。『それは中心だ、ヤツのいる中心に飛び込めば攻撃できる』ヒヒヒ…そう考えているなァ……。さっきのような自慢のパンチを、俺にあびせられる自信があるなら向かってきな。フジツボに力が吸い取られ…ろくすっぽ水もかけない『スタンド』で、この水中カッターより鋭い攻撃がくり出せるっつーならよォォーーーおにいちゃん!」



「刺身にするとかぬかしてくれたなあ〜〜〜、スライスされて刺身になるのは!」
「『流星指刺(スターフィンガー)』!!」

「やっぱりてめーだ。刺身になったのは」
「パクパクパク」
「なにィ!きこえねえなあ。水中だからよォ、はっきりいえや!」
「力を吸い取られていたのにち……力を指の一点にためるためにワザとぐったりしてたな、そ…そう考えてたな」
「ちがうね。おれが考えていたのは、てめーがやられた時、小便ちびられたら水中だからキタネーなってことだけさ。おっさん」



「おお!」
「JOJO!」
「杏奈ちゃん!」
「やはりわしの孫よ、無事じゃったか」

「助かったぜ杏奈」
「どういたしまして、役に立ててよかった。……じょじょにだけど、わたしもちゃんとスタンドが使えるようになってる…………。よかった」
「おまえのスタンドのおかけで水中でも息にさほど困らなかったぜ。それに、さすが人魚のスタンド。泳ぎが速い。水中に引きずり込まれても、すぐに浮上しようとしていたおかげでそこまで慌てる必要もなかったしな」
「そう?」
「まあもともとおまえが泳ぐのが速いせいもあるかもしれないがな」




[*prev] [next#]

back

19 / 111
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -