「か…海面下きら何か襲ってくるぞッ!サメではない!す…すごいスピードだ」
「!?」
「承太郎早くッ!早く船まで泳げッ」
「ダメだわ、投げた浮き輪が届いてない!」
「と…遠すぎるッ!」
「あの距離ならぼくに任せろッ、『法王の緑(ハイエロファントグリーン)』っ!!」

「う…き、きえたぞッ!」
「いったい今のは…」
「『スタンド』だッ!今のは『スタンド』だッ」
「海底の『スタンド』…。このアヴドゥル…うわさすらきいたことのない『スタンド』だ」
「この女の子、ま、まさか」
「今の『スタンド』の使い手か…?」
「…まさか。サメの海にJOJOをわざとさそいこんだか………?」
「こんな小さな女の子がスタンド使いなの……?」

「な…なんだッー!てめーら、寄ってたかってにらみつけやがって、なにがなんだかわからねーが、や…やる気かァ!相手になったるッ、タイマンだぜッ!タイマンで来いッ、このビチクソがァ!」

「おい、DIOの野郎は元気か?」
「?DIO?なんだそれはァ!」
「とぼけるんじゃあねーこのガキッ!」
「この田吾作どもッ!おれと話がしてーのか、それとも刺されてーのか、どっちだッ!アアーーー?この妖刀が早えーとこ三百四十人めの血をすすりてえって、慟哭しているぜ」
「「プッ!」」
「な、なにがおかしいこのドサンピンどもッ!」
「ドサンピン……。なんか…この女の子は違うような気がしますが…」
「うむ、…しかし」
「わたしも違うような気がします。田吾作にドサンピンなんて、子供らしいというか、なんというか。それに、DIOがこんな子供を手下にするとは思えなくて」

「この女の子かね、密航者というのは…」
「船長……」
「わたしは…密航者には厳しいタチだ…」
「い、いて…いてて」
「女の子とはいえ、なめられると限度なく密航者がやってくる…………。港につくまで下の船室に軟禁させてもらうよ」

「船長…おききしたいのですが、全員10人の身元は確かなものでしょうな」
「まちがいありませんよ。全員が10年以上、この船に乗っているベテランばかりです。どうしてそんなに神経質にこだわるのかわかりませんけれども…ところで!」

「甲板での喫煙はご遠慮願おう…。君はこの灰や吸い殻をどうする気だったんだね。この美しい海に捨てるつもりだったのかね?君はお客だが、この船のルールには従ってもらうよ。未成年くん」

「待ちな、口でいうだけですなおに消すんだよ…。大物ぶってカッコつけんじゃあねえこのタコ!」
「おい承太郎!船長に対して無礼はやめろッ、おまえが悪い!」
「そ、そうよ、たしかに今の消し方はちょっぴりムカつくかもしれないけど!ここは船の上!彼のルールに従うべきだわ」
「フン!承知の上の無礼だぜ。こいつは船長じゃあねえ。今わかった!スタンド使いはこいつだ」
「な」
「「「なにィーーーッ!!」」」
「スタ…ンド??なんだね、それは…いったい」

「それは考えられんぞ承太郎、このデニール船長はSPW財団の紹介を通じ、身元はたしかに信頼すべき人物。スタンド使いの疑いはゼロだ」
「ちょっと待ってくれ、『スタンド』?いったい何を言ってるのかわからんが」
「JOJO、いいかげんな推測は惑わすだけだぞ!!」
「証拠はあるのかJOJO!?」
「『スタンド』使いに共通する見分けを発見した。それは…スタンド使いはタバコの煙を少しでも吸うとだな…鼻の頭に、血管が浮き出る」
「「「えっ!」」」
「うそだろ承太郎!」
「ああうそだぜ!だが………マヌケは見つかったようだな」

「「「あっ!!」」」



「承太郎、なぜ船長があやしいとわかった?」
「いや、ぜんぜん思わなかったぜ。だが………船長全員にこの手をためすつもりでいただけのこと………だぜ」
「シブイねェ…。まったくおたくシブイぜ。たしかにおれは船長じゃねー…。本物の船長はすでに香港の海底で寝ぼけているぜ」
「それじゃあてめーは、地獄の底で寝ぼけな!!」
「きゃああぁぁ!」
「ッ!?」

「水のトラブル!嘘と裏切り!未知の世界への恐怖を暗示する『月』のカード、その名は『暗闇の月(ダークブルームーン)』。てめーらと6対1じゃあさすがのオレも骨が折れるから正体をかくし、ひとりひとり順番に始末してやろーと思ったが、ばれちまってはしょうがねぇーなあ。6対1でやらざるをおえまい。だがしかし、この小娘と女を捕らえられたのはオレに運が向いている証拠……。女がこちらの手の中にいる以上は5対1か、当然おめーらは海中へ追って来ざるをえまい!おれのホームグランド、水中なら5対1でも相手できるぜククク…。やれるかな?たとえこの女が水のスタンド使いだとしても、満足に扱うことができない今殺すのは簡単!」
「あら、ずいぶんとバカにしてくれるじゃない。そんなのだと痛い目見るわよ」
「人質なんかとってなめんじゃあねーぞ。この空条承太郎が、ビビリ上がると思うなよ」
「なめる…。これは予言だよ!とくにあんたのスタンド『星の白金(スタープラチナ)』…素早い動きするんだってなあ。自慢じゃあないが、おれの『ダークブルームーン』も水中じゃあ素早いぜ。情報は聞いてるぜ。ひとつ、比べっこしてみないか?どんな魚よりも華麗に舞い泳げる。フフフフ、ついてきな。海水たらふく飲んで死ぬ勇気があるならな」



「ゲボーッ、ら…落下するより早くこ…攻撃してくるなんて………そんな」
「…海水をたらふく飲むのは…………てめーひとりだ。アヴドゥル、なにか言ってやれ」
「占い師のわたしわさしおいて予言するなど、」
「10年早いぜ」




[*prev] [next#]

back

18 / 111
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -