出会いは数ヶ月前。皇国帝都イングラムでの魔導アーマー戦だった。

吹雪きの中、足に銃弾を受け動けずにいる私に皇国兵は容赦なく迫り来る。二人…いや三人。天候で視界が悪いのか私の最期が近付いているからか、全てが、全てが定まらなかった。

日々訓練はしてきた。死ぬ覚悟だって───出来ていたはずだったのに。



色んな事が思い出されては消えていった。昔誰かが言っていた走馬灯のように、とはまさにこのことか。

震える手を胸元に入れ、ノーウィングタグを握り締める。寒さで指が悴んだがそんな事は問題ではなかった。後はもう、じきに来るだろう最期に出来るだけ歯を食いしばるだけ。


その時だった。



「朱だ!朱が出たぞ!!!」



ザァッ、と風が吹いて、突如目の前に朱色のマントが靡いた。その持ち主は刀を振りかざし、敵を一刀のもとに斬り伏せる。高速で振り下ろされる斬撃が人であろうと鉄であろうと一瞬にして切り裂いていった。


痛みに視界が歪む中、ただただ、揺れる後ろ姿に見とれていた。


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