The tale of a Leanan-Sidhe 13
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引越しの数日前、新聞を広げていた私は、そこにあった記事に目をしばたたいた。
引越しの前日、書類確認等を済ませ、これから住む部屋の鍵を受け取った私に、不動産屋は渋い顔をした。
「どうやら、相当、衰弱していたらしいですよ。お客さんと物件を見に行ってから、ひと月と経っていないのに……」
引越しの日、様子を見に来てくれた大家に、つい、訊いてしまった。
「あの、お隣の詩人さんは?」
すると、大家は隣の部屋の扉を見つめ、やるせなさそうにかぶりを振ってみせた。
「あの青年はね、きっと、妖精に連れてかれてしまったのさ」
《詩人のはなし 〜The tale of a Leanan-Sidhe 〜/ END》
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