すうぃーとすうぃーと | ナノ
内緒でキスして


竜崎と喧嘩した。
本当に些細なことだけど。

些細だけど私にとっては大問題。
私が竜崎と2人で食べたくて
わざわざお取り寄せした高級プリンを
竜崎が1人で食べちゃったんだから!

それだけでも悲しくてむかつくのに、
「どうして食べちゃったの!」と問い質して
「どうせ食べるなら
いつ誰と食べても同じです。ごちそうさまでした。」
なんてふざけた返答が返ってきた時にはもう
私は涙目になって竜崎を責めた。

それでもまるで自分は悪くないみたいな顔して
はぁ、と呆れたため息をつくもんだから
もう絶対許してなんかやらない。

私は竜崎と一緒に食べたかったんだよ。
竜崎の喜ぶ顔見ながら、2人で美味しいねって言いながら
食べたかったのに。

…なんて思いながらも内心
もうそんなに怒ってないし
プリンくらいであんなに怒らなくてもよかったかなって
少し反省までしてるくらいなんだけど。
…昨夜から竜崎と口を聞いてない。
さすがにそろそろ仲直りしたいかも。


そんな中、
捜査本部で追ってた事件は佳境を向かえていた。
「仕事に私情は持ち込まない」というのが竜崎の持論で
私もそれに従って恋人であることすら
他の捜査本部の皆さんには内緒ということになっている。
当然喧嘩のことも皆さんは知らない。
しかしそのせいで竜崎の機嫌はすこぶる悪く
本日3度目の書類のやり直しを食らった松田さんが嘆いた。


「竜崎今日機嫌悪くないですかー?
糖分不足してません!?」


竜崎の眉毛がピクリと動く。
松田さん、また余計なことを…!
勝手に糖分摂ったせいで
彼女に怒られて機嫌が悪いんですってば!
なーんて言えるはずもなく、
虚しい叫びは心の中だけで終わった。

そろそろ許してあげたいけど、
竜崎だって謝らないんだから意地っ張りだと思う。
プリンくらい素直に謝ればいいのに。
…私もプリンくらい許せばいいんだけど。
お互い意地っ張りだと面倒くさいな…
素直になれたらいいのに。


「まゆさんコーヒ…
やっぱりいいです自分で淹れます」


ほらやっぱり意地っ張りだ。
でもそろそろ本当に寂しくなってきた。
仲直り…したいな。


「…そういえば竜崎とまゆさん
今日一度も喋ってないですね。」


さすが余計なことを言うスペシャリスト松田さんだわ!
なんて感心する余裕もなく(したけど)。
竜崎は松田さんを完全無視。
あら竜崎らしくない、ここで完全無視なんて
何かありましたって言ってるようなものじゃない。


あーもうやってらんない!
部屋から連れ出して一言注意してやろう、
もしかしたら謝ってくれるかも。

そう思って立ち上がった瞬間、
竜崎にいきなり腕を引っ張られる。

かと思えば頭を受け止められ、
一瞬で唇を奪われた。


「りゅっ…!!」


幸い、皆さんが私達から目を逸らしていた時だった。
誰も見てなかったからよかったものの、
皆の居る部屋でキスするなんて、
なんて大勝負に出るのよこの探偵は…!
そして顔を真っ赤にした私に目配せして竜崎は
口パクで何かを伝えた。


い じ っ ぱ り






 




「……馬鹿ーーーーーっ!!!!!!!
それは自分もでしょー!!!!????」



「えっ!?」



「どうしたんですかまゆさん。
早くコーヒーを淹れてください。」


























20130123
捜査本部で皆が見ていない隙を狙ってキス。
っていつか書いてみたかったネタでした





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