すうぃーとすうぃーと | ナノ
駆け落ちいちごジャム 1


彼は「我慢」というものを知らない。

例えば仕事中でもずっと大好きな甘いものを食べているし
その仕事である探偵業だって、彼が好きでやっていることだ。

欲望に正直なんだ、彼は。
時々我儘すぎると思うこともあるけど
彼の恋人である私が彼の仕事の拠点である
この捜査本部にいられることも
彼がそうしたいと思ってくれたからだ。

そんな彼は大きなモニターの前で
ジャムを素手で掬って食べていた。
相変わらず、
やりたいことをやるための手段を選んでないというか、
きっと側にスプーンがなかったか、
いやあったとしても
いちいち小さなスプーンですくって
一口ずつ口にするのは面倒くさい、
と言ったところだろうか。

指についたジャムを、
丁寧に舐め取ってゆく舌を見て、
彼とのキスを思い出す。
いつもあの舌に慰められているわけだ、
いつ見ても思うけど
竜崎が指舐めてるのって何か、エロい。


「ねぇ竜崎、
私もジャム食べたい。」


甘いものは苦手じゃない、
けれどジャムをそのまま食べるほど
甘いものが好きというわけでもない。
そう、別にジャムが食べたかったわけじゃない。
私も彼の手で、ジャムを食べてみたかっただけだ。


「…いいですよ。」


そんな私の心境を察して、
彼はジャム塗れの手をそのまま私に差し出した。

捜査員の皆さんも見ている中で、
私は懸命に竜崎の指を舐める。

捜査員の皆さんだって、
竜崎が自分の欲に正直なことを知っている。
ジャムをそのまま食べるほどの甘党っぷりにも驚くことはないし
仕事中でもおかまいなしに
竜崎が私にじゃれてくることだって
もうすっかり慣れてくれたみたいだ。

けどさすがに目の前で指を舐め出した私には驚いたらしく
皆目を丸くしてこちらを見つめている。
(実際丸めてるのは相沢さんくらいで
松田さんは真っ赤だし夜神局長は恐い顔してる)

けど私自身も、自分で少し驚いていた。
どうしちゃったんだろう、
いくら恋人同士だからって
人前で彼の指を舐めたいって言って舐めるなんて、
おかしいよね…

でもね、少しは驚くけど少しはわかるの。
きっと竜崎に似てきちゃったんだわ。
そして欲しくてたまらないものを
正直に求めることはいけないことじゃないんだって、
彼に教えられた気がする。


「んんっ、竜崎…」


ジャムなんてすっかりなくなってしまったけど
まだ足りない私は竜崎の膝に乗っかって
指をちゅぱちゅぱ吸ってみる。
竜崎の指大好き。細くて長くて白くて綺麗。
いつもこの指が、私の欲を慰めてくれている。
そう思うと、もっともっと足りなくて
もどかしい気持ちになった。


「竜崎もっと、もっと、欲しいのっ…」











←|


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -