意外と地味な仕事

「あ、鷹匠先輩」
「おう、おまえか。今はかまってやれねぇから、ちょっと待っとけ」
「いや、かまってなんて誰も言ってな……ま、いいですけど。じゃ、さいなら」
「おまえな、そこは俺の仕事が終わるまで健気に待てよ。帰んな」
「横暴にも程がある……で、生徒会準備室で何やってるんですか?」
「ああ、もうすぐ年末祭だろ。昔の資料見ながら職員会議に提出する資料作ってるんだよ」
「お、先輩、字きれい!」
「アホ、これは五十嵐の字だ。今書記いないから会計のあいつに兼任させてんだよ。さすがに仕事が増えてきたみたいだから手伝ってるとこだ」
「やっぱり行事前って大変なんですか?」
「例年通りなら別に大変じゃないんだけどな、俺がやるからにはもっと派手なのやりたいんだよ。つーわけで今年はキャンプファイヤーとかいいんじゃないかと思ったんだが」
「おお、おもしろそうっすね!」
「だろ? 金は今年の学園組合会費が余ってるし、顧問の許可は副会長が取った……でもな」
「でも?」
「炎となると近隣住民にも了承取らないと苦情が来るし、消防や警察の許可も要る。ほかの教師陣が渋い顔するんだよな……会議録を見てると過去何度か同じ提案はあったようだが、どーも毎回企画倒れで終わってるらしい」
「そ、そうなんですか」
「提出資料の段階で不備があろうもんなら即効却下されるから、学園側が納得する完璧な企画書作らないとな……」
「……」
「? どうした、アホみたいな顔して」
「……生徒会って、ちゃんと機能してたんですね」
「はは、地味に大変だろ。驚いたか」
「あ、でもなんか、そっちのほうがいい」
「は? 何でだよ」
「なんかこう、学園のために日夜がんばってる感じがして、かっこいいっす」
「……あー、くそ。人が仕事してんのにお前は」

「先輩? うわっ、ぎゃー! 抱きつくな変態!」

「ってぇ……なぐるか、ふつう。お前はたまに可愛いこというからタチワリィよ」
「素直に褒めたらこれか! あんた普通に会話できないのか!」
「でも俄然やる気出たわ。キャンプファイヤー、楽しみにしときやがれ」
「……う。き、期待してます」

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