鳴り止まない耳鳴



「聞いてよ、才蔵!今日旦那ったらね〜」


真田忍隊に所属してひと月。初めこそ戸惑いや緊張もしたけど、流石と言うのか長をはじめとした真田忍たちは中々に好感的だったおかげて意外にもすんなりと溶け込むことができた。

しかし。自惚れかもしれないが、何故か猿飛にはどうも懐かれ過ぎているような気がしてやまない。

猿飛=あの闇色の謎の技を使う人外=危険…!?=粗相をしたら殺される、かもしれない!?

よし。絶対に粗相をしない!そして猿飛にとって出来るだけ遠い存在になろう!!

そう決意したのはいいが、向こうから近寄ってくる場合どうしたものか。

でも、猿飛は俺の仲間も僅かだが連れるのを許可してくれた恩があるし、それに付け加えて更に、定期的(と入っても月に一度、満月時のみ)に里帰りする事も認めてくれた。

その恩を仇で返すのは結構、いやかなりどうかとも思うが御免!ここは許してくれ猿飛さん!!だって俺って元々平々凡々のただの一般市民だったしやっぱり自分の身が可愛いし死にたくねぇしそもそも死にたく無いが故に忍者になっちまったつーかなんつーか


「はぁ…」

「ッ!!さ、さいぞ…?」

「あ?」

「!、っ〜〜!!」


嗚呼、まただ。
極稀に猿飛は熱を孕んだ視線で俺を射抜く。その度に猿飛の部下…まぁ真田忍たちが俺に殺気のような、よくわからねぇ気持ち悪い視線をよこしやがる。なんでだっつーの。それに感化されるのか俺について来てくれたヤツらも同じような空気になるもんだからマジで面倒というか居心地最悪だから勘弁してほしい


「猿飛、お前と居ると周りの奴等が揺れる。命でも無い限り俺のところへ来るな。…です」


あ。空気がまた揺れた。






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