宝石とさよなら | ナノ


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2人分の体重を乗せたベッドが軋む、完全にベッドの上にあがった我愛羅君の飛びつきセクハラのせいで。靴すら脱いでないからこれ怒られんぞ……。
薄手の掛布に吸い込まれるように頭を埋めた我愛羅君、綱手様の拳骨は結構力が強かったらしい。
脳天を抑え込むように身悶える我愛羅君の頭をそのままベッドへと押し込んだ綱手様が「早く服着な」とマフラーとコートを預かってくれる。
見えないように下に隠してくれていた下着を穿くためちょっと力の入りづらい足で床に降り立った。

「もう大丈夫です」
ありがとうございました綱手様、とお礼すれば「うむ」と短く返事をし、我愛羅君は解放された。あげた顔は些か不満そうである。
はい、もういいよ我愛羅君と両手を広げれば、顔を輝かせて胸の内に飛び込んでくる。昔より笑い顔が上手になってるな。
名前を呼びながら頬ずりしてくる我愛羅君の頭を大型犬のようにわしわしと撫でてやる。尻尾がついていたらきっと空を飛んでいきそうなほどぶんぶん振り回してるに違いない。
それを見てサクラちゃんが我愛羅ってこんな人だったんですかと驚愕していた。
セクハラはしてこなかったけどこういう子でした。


「ところで半年とか言っていたが、いったいどういう事だ?」
今の情報は初めてだぞとベッドに肘をつき、顔をしかめた綱手様がこっちを見上げる。そのままの意味ですよと向こうの世界に戻ってからの生活を話した。
美女の眉間に皺が寄っていくのでなにかおかしなことを言ったかとびくつく。肩越しに我愛羅君が「オレは今15だ」と言う。
「ああ、それでこんなに大きくなって……ん?」
「お前は半年しかたってないのにこっちは8年か。どうやら時間の進み方が違うらしいな」
そうか、その辺も調べてみるかなんてこっちを見て零した綱手様だが、何を考えてるのかよくわからなかったのでとりあえず笑っておいた。

「風影、とりあえず木の葉を散策してきたらどうだ」
宿にいて暇だったのだろう、ナマエも腹が空いてる筈だと素敵な提案をする綱手様に呼応するかのように腹の虫が鳴った。
「あぁ、件の話は夜に頼むぞ」
「わかった、用意させよう」
私の知らない話をする我愛羅君がやはり名残惜しむように離れる、ようやく気づいたんだけど我愛羅君私の身長越えてる……つらい。


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