宝石とさよなら | ナノ


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アウトドア系の経験がほぼ皆無だったナマエも、幾度となく野営の訓練をさせられれば床が土だろうが岩の上だろうが関係なく過ごせるもので。
交代の時間になりのっそりと起きてきたナマエの細い眼にあきれ顔でチクマが茶を渡してくれた。
ありがたく頂戴し、月明かりの下で冷めた茶で起きたての乾いた喉を潤す。視界に入る寝袋をぼうっと眺めて覚醒しだした視界が一つその数が多いことを脳に伝える。
まさかマダラか?いやそれならば全員たたき起こされるかサソリの戦闘音で……、そこまで焦り頭を回転させていたナマエはふと座っている人数が少ないことに気づいた。
まさか、あの中の一つはサソリなのだろうか?小声で彼女に確認すれば他に誰がいるのとくすりと笑う。

「いやだって今まで寝てるところを見たことがなかったから……」
「そうなの?まあでも今も横になってるだけで寝てはないと思うけどね」
戦争に控えて核を休めておけばって言ったら案外素直に聞いてくれたよと寝袋の一つを指さしながら起こさないよう小声で答えるチクマに珍しいこともあるもんだとナマエが指の先のそのまた先へ視線を流した。
「とりあえずナマエ上着でも着といたほうが良いよ」
もう火の国に入ってるから砂漠の夜よりは肌寒くないけど山賊対策で火をつけられないんだからと干し肉を引き裂き自分のかけている上着をつまむ。
忠告を素直に受け荷物の中から羽織を取り出し方に掛けたナマエを見て、ナマエと見張りの時間が重なるように調節したチクマは漸く気になってたことを質問する体勢へと移った。


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