宝石とさよなら | ナノ


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「一度帰国する予定だったが、どうも調子を狂わされるな」
「仕方ないだろう戦争だ、それになかなか過ごしやすい気候じゃないか。私はこの国好きだぞ?」
「それでも砂が一番だ、父さまが守ってきた里だし何よりナマエもいる」
はいはい我愛羅はそればっかりだなと首を横に振り両手を肩まで上げる。
二人が向かっているのは雲の本部である。
崖や巨岩に纏わりつくフジツボの様に半周程器用に組み込まれ建てられた居住区を足早に通りゆく。
自分たちが風影とその護衛だと気づくや否や、そっと道を退いてくれる雲の人間たちに会釈を返しながらチクマへチャクラを送るが目覚めていないらしく通信はつかない。
自分の部下たちがうまく運営してくれているだろうが、その都度送っていられるほどの鷹の数もいない。早めに復活してほしいものだ。

「ところでさ、我愛羅が話してくれた術は本当に帰せるんだろうな?」
「何度も言ってるだろう。わからない、と。禁術を解けば時空間忍術自体は使える。あとはそれがナマエの世界に通じてるかどうかだ」
何せ自分はおろか誰も行って……そして帰ってきたことがない。理論上で行けると判断したとて成功するかは最後まで本人にしかわからないのだ。
「巻き込んで目の前で死なれるよりは、どこでもいいから平和な世界に行ってほしい」
「どうしてナマエがこの世界にやってきたのかも結局わからなかった、私たちは別れを言えなさそうだな」
「カンクロウが伝えてくれる」
そう頼んだ。会議室の戸に手をかけた我愛羅の思惑に反し、密かにチクマたちはナマエを連れ移動を始めていたのであった。



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