宝石とさよなら | ナノ


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「はい、避難民の方ですね。この札は無くさないように」
本部から各国へ連絡がきたのか、比較的土地が広く戦場をよけれそうな土や火、そして風の国が避難民を保護する役割を受け持った。
予想に反して再びマダラが強襲を仕掛けてくることはなく、国に残って防衛をする新人の下忍達に引き継ぎをしながらナマエたちは戦争前の最後の事務仕事をこなしていく。
叩き込まれた緊急時のマニュアルがこうもすぐ役立つとは思わなかったが、まあ使えるに越したことはないだろう。悪化してしまった事態の中で唯一の救いであった。
本部に向け出国の時間が刻一刻と迫っている中、マジュ、オウメイとともに人の波をさばいていれば、後ろからしばらく聞くことのなかった声が投げられた。

「やあ皆おはよう。心配を掛けたね、復活しました。どこまで進んだ?」
最初は起きたり寝たりを繰り返してたんだけどここ三日寝っぱなしだったらしくて情報が滞ってるんだよと自分の頭を小突きながら不服だと口をとがらせる。
チクマの隊についている3人がそれぞれチクマの名前を呼び思わず立ち上がれば、下忍たちがもう大丈夫ですと気を利かせ交代してくれる。
それに甘え椅子を譲ると自分の手荷物を片手に彼女が立つ人の波から少し離れた広場の隅へと駆け寄った。

「綱手様が戻り火影の座に、忍五大国と鉄は同盟を結び本部は雲隠れになったヨ」
「招集を受け我々も一度本部に来られよとのことです、ナマエは……」
「戦うことを選びました」
私はサソリとおそらく別行動になると思いますが、同じく招集されたので共に向かうところでしたとオウメイに促されたナマエが続きを答える。
なるほどと一つ大きく頷いたチクマはまだ寝癖の残っている髪を手櫛で雑に整えながら、とりあえず今回は自分も遠征だねと確認し、意識回復が間に合ってよかったと胸を撫でおろす部下たちの疲労度を顔で判別しながら集合場所を口にした。


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