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「小僧もお前も実に惜しい人材だが、ここはいったん引くとしよう」
「ふざけるんじゃねぇ、狩られてけ!」
貴様に忙しい身である我愛羅様の時間が奪われていると思うと反吐が出る等と攻撃の手を止めることはせずに散々罵るも自称マダラの面のような空間の回転はおさまらず。
穴に吸い込まれるように身体を周りの空間ごとねじ込ませたマダラを追いかけその首級をあげようとするシュデンをいち早く気づいたテッカンが止めに走る。
腕が一本持っていかれ、そのまま体も吸い込まれていく。
間一髪で足をつかんだテッカンが後方の二人の名を呼ぶ前に、サソリがチャクラ糸をシュデンへくっつけ、ナマエはテッカンをつかみに走った。
「生きてるか!?」
「……すまん、助かった」
「あれほど深追いはするなと言っただろう」
端から見れば叱りつける父娘の様に見える二人だが我愛羅に引き抜かれ志を共にする同僚である。
互いにあまり干渉しないように普段から過ごしていた為、好きではないのだと思っていたのだがそんなことはないようで。
お互いの癖を知り尽くしてなお彼らは見捨てることなく仲間でいて、二人とも我愛羅君のためを、里のためを思ってここにいるのだ。
「シュデンちゃん、テッカンさん。ありがとうございました」
心のどこかで私も彼女と同じことを考えていたのかもしれない。
頭を下げ初めて一人で正面からシュデンと対面し礼を言う。
最初はナマエの声に反応し、焦りからいつもの不機嫌な声色へと変わりかけたシュデンは自分と話をすることから逃げ続けていたナマエの態度に目を点にするほど驚き口を噤んだ。
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