宝石とさよなら | ナノ


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チャクラの流れを悟られないよう通信を切り、本来の意味のまま一人ぼっちになっているナマエだが、計画が難なく先へと運んでいることにより一種の興奮状態を覚えていた。
ナマエは嘘が苦手だと我愛羅が評価した通り、あの場での演技は実に不自然なものだったのだが、その不審な言動を自分たちの存在に怯えていると取ってもらえたのは好都合だった。
遥か遠くでサソリが待機しているもののトラブルが起こった場合こちらに駆けつけるまでの間は自分一人で防がなくてはならないという不安はあったがもはやそれもどうでもいい。
成るようになる、と本来の楽観的な性格が戻ってきたところで路地裏の突き当りにぶち当たり足を止めた。

「……で、何の話ですか?まさか他の影たちが集まっている開催国で無体を働く気なんですか?」
「フン、口の減らない女だ。なに、大蛇丸が引き継ぎもたてずに死んでいったおかげでな。こちらは少々困る問題が発生している」
袖口から落としたカプセルを手の内に忍ばせダンゾウのやけに印象の残る人を小馬鹿にしたような笑みを見やる。
チクマの任務がなかったとしても自分と男の関係ならばとこの後続くであろう言葉が容易に想像できた。

「肉片を定期的によこせ。貴様も大蛇丸という研究者が死に、滞っているはずだ」
「嫌ですね、メリットがありません」
「木の葉には粒ぞろいの医療忍者がおる、定期便が来るたびに研究データを渡してやろう」
それに、この状況で貴様がワシら相手に一般人に毛の生えた程度の人間が逃げられるとでも思うのか?
足元の雪を踏みしめ後退したナマエの背に土壁のざらりとした感触が触れた。



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