宝石とさよなら | ナノ


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「鉄の国ってどういうところなの?チクマちゃんからは寒いよとしか教えてもらってないんだけど」
ナマエの疑問に共に食事をとっていた姉弟とサソリが顔をあげた。
胸についている蓋を開けていつもの“食事”をするサソリはまたナマエの鞭が始まったと呆れ返り、次のサプリメントの投薬を始める。
それを見て顔をしかめたものの不満を口にすることなく目を逸らすことでやり過ごしたテマリがレーションについているような干し肉をかじりながらああと感嘆詞を吐き出す。
二人はもう慣れたものだったしカンクロウも師匠への目ではなく人傀儡への観察眼を向けていた為にテマリのそんなちょっとした不満に気づく者はおらず、気分が少し落ち込んでいるらしい姉の様子を見て我愛羅は首をかしげていたがちらりと末弟に視線をやった後テマリはナマエに雪が降ると口を開いた。
「狼が口を開いたような……そんな不思議な地形の三狼って呼ばれてる山が三つ集ってて、忍ではなく侍が守ってる……らしい」
中立国でどこの国とも繋がらずにいる孤高の国だから会談の会場として選ばれたんだろうけど、実は私たちも行ったことがないんだと期待を含ませた声色で答える。
自分たちの生まれ育ったところが雨もそうそう降らない不毛の乾燥地帯だから、本でしか見たことがない雪とかいう凍った雨を写真に収めるのだと意気込むテマリちゃんが愛用のカメラをポーチらかチラ見させた。
また持ってきたのかと呆れるカンクロウがナマエに我愛羅の写真ばっか撮ってオレのこと全然撮らねぇんだぜと指さし不平を零せばお前と違って一切噛み付かないし可愛いからいいんだとテマリが低値で口論を買った。
兄弟喧嘩はよそでやってくれねぇかなと本日泊まる予定の寺に設置されている薄明りをうまく使って注射針の先を光らせたサソリに途端におとなしくなった二人を見てナマエが仲が良くて結構と笑う。
言葉に詰まった二人がおとなしくなったところで食事だというが否や素早くナマエの隣を陣取っていた我愛羅が雪を見たことがあるのかとやはり干し肉をかじりながら問うた。

「あるよ、って言っても薄っすらと積もる程度しか見たことないけど」
深くて10pくらいまでかなと両手で深さを示したナマエに四人全員が意外そうな顔を向けた。


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