宝石とさよなら | ナノ


▼ 420



ダメだ、砂の人間は皆スパルタなんだ……。
そう悟ってしまったナマエは大人しく近くの台の上にあった飴玉のようなそれを噛み砕いた。
よくあるゲームでのMP回復アイテムみたいな物らしいが正直ほとんど変わらなくて不安が募る。じんわりと広がる感じとか一切なく、クソ苦いだけであれば悪態の一つでも付きたくなる。
変化が一切見られずに半信半疑だが、チャクラがなくなれば死ぬのは解っているだろうからそしたらすんでで止めてくれるだろうと半ば自棄になって再び印の中に仁王立ちしサソリに呼びかけた。


正直良く頑張った方だと思う。
30分を過ぎたころから意識が朦朧としだし、立っているのか座っているのかよくわからなくなっていたがどうやら目標の一時間をクリアしたらしい。
瀕死だというのが誰にでもわかるような状態の私が床に身体を預けようと重力のままに倒れこんだ瞬間飛び出してきた我愛羅君の砂に受け止められそのまま彼の腕の中に収まる。
非難めいた視線を向けるも良くやったと珍しく褒めるサソリとカンクロウ君に囲まれ口を閉じざるを得なかった私は脳内で悪態をついた。
ただしサソリの視線は取り上げられた塊にしか向いていないのだが。
「休んでていい?」
「砕いてほしい、というところだが、どうせチャクラ残ってないだろうし帰ってもいいぞ」
「すぐには歩けんわ…少し休んだら帰るよ」

何処の研究所だと突っ込みたくなるような機械……じゃなかった、絡繰りだとかいうを駆使して石英部分と水晶部分を分けるように砕いて行くサソリの説明を熱心にメモするカンクロウ君と対照的に、水晶の部分をいらねぇとカットし捨てて行くサソリからもったいないと拾う我愛羅君が私が寝転んで休憩しているソファーの上に並べていく。
幼稚園児か……。「我愛羅君さては暇だな?」と身体に力の入らない私が唯一動かせる口からそう零せば「暇ではないな、こいつらの使い道を考えている」と翡翠をこちらに向けた。
これからサソリが新作をシリーズ化するならこの部分は山のように増えて行くし何よりもったいない。不純物にも手を出せば色も付けられるしうまく調節すればクラスターまで出来るだろう。
ヤマトさんの木遁程ではないが、中々商売向けの能力だと首にかかっているネックレスを無意識に撫でた。
「大名に売りつけるのと……、あとは羅砂さんの砂金輸出ルートからいけないかな」
「父さまのパイプか」
確かに宝石商がいないとも限らない。国内のみよりは外資を稼ぐ方が楽そうだと水晶のカケラを一つつまみあげて天井の裸電球に透かした。


_



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -