宝石とさよなら | ナノ


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外の観覧席とは別に中の観覧席で着替えた私たちは中々の戦闘を眺めながら待機していた。
砂の子たちは予選で落ちたり棄権したりしている為半分ほど減ってしまっているがそれでも一人でも残っているならば見てあげないとと更衣室に残ろうとする二人を引っ張ってきたのだ。
ちょうどいい時間帯だったらしく先ほどまで健闘していたテッサちゃんが王手を決め勝利のアナウンスが会場内に響いた。
予選前に我愛羅君が司会に降られた時に言った「ムリはしないように」という言葉が効いている為彼女のチームメイトたちは本戦出場まで行かなかったが上で命いっぱい応援していたのが報われた為に手を叩きあい喜んでいた。
勝者にも敗者にも頑張ったなと声をかける我愛羅君は本当に天然のタラシだと思う、絶滅危惧種だなぁと思わずぼやいたら後で私の背もたれに肘を付けていたチクマちゃんはああその通りだなとからから笑っていたが。

「そういえばシュデンちゃんは来ないんですね」
「あれが接待なんてできると思う?」
私のふと呟いた疑問に即答するチクマちゃん。なるほど。なんて言葉が思わず口から零れた。
チクマちゃんの言い方だと多分誘わなかった、という事なのだろう。非常に失礼なことを思ってしまったのだが確かにそのとおりである。彼女が接待は出来そうにない。
我愛羅君にならいくらでも接待するが我愛羅君――というよりは忍を金を貪る亡者だと思っている大名たち――を相手にして数分も平静でいられるとは思えなかった。
「あの時は暴走して大変だったよ、手と足両方出た」
「……すでに経験済みなのね」
「大名ではないけど我愛羅を危険視している上役との会談でね」
上役が忍上がりだったから軽傷で済んだようなものだよと手を首の前でひり、ついでに首も振るチクマちゃんに乾いた笑いが出てきた。想像できたわ。
「リーダー、ナマエ。あと2戦ですヨ、準備ネ」
「オーケーマジュ。そろそろ出迎えに行くよナマエ」
おさわり多少我慢してねとウインクで忠告されひくりと口の端があがったのは仕方ないことだと思った。まじですかー。


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