宝石とさよなら | ナノ


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本当にこの二人に何があったのか。
昨晩飲み会会場と化した回転草での二人は互いにいがみ合っていた記憶があるから何かあったとしたら確実に離れでの出来事だとは思うんだけれども。
少しだけ軟化した互いの態度に不審に思いながらも私は作った朝食を摘まみながら窺う事しか出来ない。
胸を開き生身の核へと水を取り入れるサソリに一応予備の鍵を渡してやる我愛羅君と共に出勤する。
家の鍵渡す程度に信頼を得たとか本当に何があったんだ……。一晩寝具を共にしただけでそうなったとは考え……たくはない。まあ、蟠りがあるよりは仲がいい方が好ましいが。
任務によっては敵が味方になったりと臨機応変に対応しなくてはいけないからなのか知らないけれどそんな忍の変わり身の早さについて行けない私が混乱するのでやめていただきたい。せめて目の前できっかけっぽい事をやってほしいですお二人さん。

こちらを見ながらひらひらと手のひらを振り見送ってくれたサソリを背に風影邸へと向かう。
水を飲む…というと誤謬があるが、生身の部分の水分を補ったらまた工房へと潜るらしい。予定を伝えてきたという事は暇なら来いと言いたいのだろう。
やはり今日もいやいやモードの我愛羅君に発破をかけ別れ、仕事モードに移行した私の頭は予選が追加されたことにより引き伸ばされた本戦までのスケジュールの組み立て直しを行う。
しばらくは試験の動きが無い為暇…いや、通常業務になる。相変わらず警備に割かれているからか通常の任務受付の人手が足りないしそこに派遣されるだろうがそれ以外は特に留意すべきことはない。
正規の忍ではない為通常の任務を受けることも出来ないから本戦後の大名の接待に当たることは決定しているもののタンゲの世話程度ならそこまで気にする事でもないし準備も心構えだけで良いらしいし。
里内外の警戒はテッカンさんとシュデンちゃんがやっている為手伝えることも無い。うん、それなりにサソリの面倒も見れそうだ。
受付交代後の夕方あたりに向かってやるかと本日の予定を立て、中忍試験中情報部の本拠地となっている第二会議室の戸を開けた。

「おはようナマエ、昨日は三人でお楽しみでしたね?」
「……」
実に楽しそうに下衆い勘繰りをしてくる上司に、二度寝によってすっきりと覚醒したはずの頭へ鈍痛が走った気がしたのは多分気のせいじゃないだろう。


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