宝石とさよなら | ナノ


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「アラレちゃんか……」
誰だよそれ、と瞬時に反応したサソリになんでもないと返し我愛羅君達を待たせてある回転草へと向かう。
物を食えないと言うのは嘘だったらしい。正確に言うと“食べたものを栄養に変換する機能がない”だった。
全身傀儡であろうとも核だけはどうしても生身のままだからサプリを注射することによって栄養素を賄っているらしい、10日一緒に居たけど知らなかったわ。
もしかしたら私が寝ているときにでも核だして弄っていたのだろうかとあのシンプルで歪な形の臓器…らしきものを思い出そうとするナマエにサソリは顔布をたなびかせながら続ける。
「まあ……暁にはいる前は良い仕込みを買う為に賞金首狩りをしてたし、ついでに人傀儡用の素材を集めて回っていたしな」
共に食の場につくのは暗殺するのに中々役立つ。特に実力が上になるにつれ顕著に効果が出てくるぜと何故かこちらが真似すること前提で下衆い表情を浮かべて来るサソリに「めっちゃ物騒!」と悲鳴を上げた。
メンテナンスがすぐに行える場所なら食事をするフリもできると話す傀儡を連れ居酒屋回転草の暖簾をくぐればがらんとした店内にオイラクさんが満面の笑みで迎えてくれた。
無事で良かったと私達2人の全身を確認して胸を撫で下ろしたオイラクさん。どうやら約束通り本当に貸切らしい、逆に申し訳なくなっていれば奥から我愛羅君がやって来て腕を引かれた。

大きめのテーブル二つをくっつけた即席の会場に、出来立てらしく湯気の上がっている鳥料理が並んでいる。メニューにないものもいくつか見えオイラクさんを見ればあっちに派遣されていた定食屋の人たちと、先導してくれた忍が一品ずつ持ってきてくれたんですよと答えてくれた。
サソリが私に教えてくれたような内容を例の忍が彼らに話したらしい。砂漠にすむ生き物の中で尾獣ほどではないものの並の忍では立ち向かっても意味がなく、匂いを覚えればどこまでも追いかけてくるしつこさに定評のある化け物であった。
ここ10年ほどは息を潜めていたから20代あたりの人間は知らなかったが群れを成すという異常事態に男は震える身体で現状を話した。
里の周辺を警備していた歴戦の猛者達の顔がサッと強張り即座に土遁と火遁を得意とする忍を集め討伐隊の編成を始めたことで事態の緊急性を知ったらしい。
知り合いだったオイラクが約束しているのを見ていた店主たちは必ず帰ってきますと断言するオイラクに行事内の事故は保険で賄われるのは解ってはいるけれど別にお礼をしたいと作って置いて行ってくれたらしい。
当然のように隣に座らされたが知り合いのいないサソリが私を挟んで反対側に座ると不満そうにしつつもここが店であるため文句を口にすることはなかった。


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