宝石とさよなら | ナノ


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集まった志願書を提出しに二人で風影室へ向かえばちょうど会議が終わったのかチクマとオウメイの二人とすれ違う。
どうよなんて暗に人数を探ってくるチクマに全員でしたと親指と人差し指で円を作った。
それに満足そうに額を手の平で打つと「ったく、砂は相変わらず血の気が多いなぁ」と嬉しそうにぼやいた。
それもそうだろう、人数が少なければ零細化をかぎ取らせることにもなる。そうなればさらに軍備縮小化の懸念が生まれてしまうのは道理である。
マジュがまあまあ好感触ですリーダーとめぼしい受験者たちの名前を連ねた隣で、目に見えた結果が出ないものを削ろうとするのはどこも同じなのねと遠い目をしたナマエ。
それに気づいたチクマが勘違いしたらしく、最近は我愛羅にあこがれを抱いてる子が多くてテンションみんな高いからそんなに気を負わなくていいよと励ました。
肯定も否定もせずへらりとした笑いを返せば予想が外れていたのだと悟ったチクマはまあ何かあれば相談しなさいと返し、後ろ手チクマの分の書類まで持っていたオウメイと目配せをした。

「そうだ、この後二人とも時間ある?」
伝えたいことがあるんだけどここじゃ話しにくいのよねと周りにちろりと視線を這わせる。
先ほどまで会議をしていたから上役も周辺に散っており人も多い。確かに相談事をするのには不向きだろう。
「マジュちゃん、この後は……」
「全員分集まってるし担当の班を回るのは明日からでもいいと思うネ、行けますよリーダー」
夕食はどうしますかと問うオウメイに食材はあるからうちでと返したチクマと一旦別れ、我愛羅の執務室へと向かえば先ほど会議から帰って来たらしい我愛羅が椅子に座るところだった。
隣室でお茶を淹れてきたシュデンとばっちり目があい、なぜか睨まれた気がして委縮したナマエを横にマジュは机の上に紙の束を置いた。
合わせて持ってきていたファイルをナマエも置くと、我愛羅に外出の許可を貰おうと口を開きかけたところで我愛羅が渋い顔を向けた。

「チクマのところに行くんだろう……?」
「あれ、なんで知ってるの我愛羅君」
「会議後に具申された」
内容が不確定だから公に出来ないと拒否されたオレはついて行けないがなと不貞腐れた様子の我愛羅だがチクマに言い包められたらしく「日付が変わる前には送ってもらえ」と顔を背けられた。


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