宝石とさよなら | ナノ


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「水晶……ですか」
そうだと答えるチヨは組み合わせとチャクラ量によっていくつかの原石を作り出すことが出来たのだと頷く。
水晶を作り出すことによって何かメリットがあったのだろうか。
術をほとんど知らない私の頭ではそれを作り出すことによって出来ることなんて撒菱程度しか思い浮かばなかった。
攻撃に使えるかと言ったらそれも難しいだろう。投げんの?礫作って投げればいいの?
羅砂さんが気に入ったというキンコウさんの術に混乱する私を見て、まあそこまでしなくてもキンコウの技は全部足止めに使えるから…、逃走時間を稼ぐことはできるだろうと手帳に種類を書いていく。
「使っているのはキンコウの身体だから可能性がないことも無い。そこまでできるようになれば……そうだな、多少は国も経営に余裕が出るかもしれん」
特産物として珍しい物好きな若造共に売れないことも無いだろうしな。加工しておけばさらに跳ね上がるだろうし。
互いに敵視しているからか大名を小馬鹿にする発言をかますチヨ様が「指導代は後払いで良いぞ」と高く笑う。
ただじゃないだろうとは思っていたが私はどうやら最後まで使えるようにならなくちゃいけないらしい。利子は付けないでやるから高く売れよと告げる抜け目ない彼女に私は苦笑いで返した。

「さてと、キンコウに見せてもらった印はここに書いておいたからそれくらいは自分で出来るようになれ」
お前は我愛羅とは違う、膨大なチャクラがあるわけじゃない。
回復してチャクラが戻っても無駄に消費するだろうから今からは手先を使えるようにする修行をさせると宣言したチヨ様が先日拝んだあの量産物の小型の傀儡を巻物から取り出し渡してきた。
「その傀儡を動かせるようになったら来い」
仕込みの毒はちゃんと除いといたから安心して切り刻まれていいぞとゲラゲラと笑い弟のエビゾウ様から釣竿を受け取ったチヨ様は着た時と同じように釣堀に座り込んでしまった。

……ほ、放り出されてしまった。
手の中になだれ込んだ独特な質感の人形と目があい、思わずそらしてしまった。
糸がないんだけどどうやって操ればいいのこれ……。


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