宝石とさよなら | ナノ


▼ 275



忘れるところだった。
一瞬体を帰路へ向けてしまったがすぐに釣堀に戻り2つの書類にサインをもらう。

めったに部下や弟子をとることのないチクマちゃんのところに新人が来たと噂になっているらしく、彼女の文書を持ってきたことでチヨ様には筒抜けだったらしい。
まあ見たことないだろうから教えといてやると顎で呼ばれ、床に置いた巻物と書類に長ったらしい印を結びチャクラを練った。
最初は紙も巻物も白紙で首をかしげていた私の目に段々と文字が浮かび上がっていったのが見え目を擦る。何だこれすげぇ。
チクマちゃんと契約している奴のチャクラに反応し、文字が浮かび上がる術だという。
「まあ一種の炙り出しみたいなもんじゃ」
あやつの一族が作り出した術だが、まあそのうちお前も契約させられると思うと親指の先を切る仕草をされ思いっきり顔を歪めた。
そうこうしているうちにチヨ様はサインを終え、次に回されていたエビゾウ様からも回収すると「大体ここにいるから休憩時とかに来い」ともうこちらを視界に入れることなく返してくれたチヨ様にナマエは再三頭を下げ今度こそ昼通されたばかりの部屋へ向かった。

案の定吃驚したらしく、目を丸くしたチクマちゃんがつまんでいたスティックのお菓子を私に差出し「お、お帰り…」と迎えてくれた。
片側に書類の山があり片手はペンを持っているので遊んでいたわけではないのだろうが、なんだか腑に落ちなくて三本ほどまとめて頂いておいた。

「エビゾウ様駄目だったんじゃない?」
あの人他人には無関心だからと咀嚼しつつ聞くチクマちゃんにポーチからサインをもらった件の紙と巻物を取り出して渡し頷く。
「でもなんだかチヨ様が代わりにやってくれるそうで」
「え、チヨバアが!珍しいこともあるな夜に雨でも来るんじゃないの…」
急いで貯水の整備させとく?とわかりづらい砂ならではの冗談をかまし、チクマちゃんは巻物の紐を解いた。
「うん、しっかりサイン貰えてるわ……」
じゃあ言っておいた通り今日の任務は終了で良いよ。一番厄介なもの引き受けてもらえたし初日から飛ばしても続かないし追加で仕事を渡さないからと随分な白い会社っぷりに喜び半分、暇を持て余し手持無沙汰半分で返事をした。
そんな私を見て「ああそうだ、ぷらぷら散歩して来たら?」我愛羅が迎えに来るらしいけどここら辺の建物なら感知できるし買い物しててもいいと思うしと提案してくれたチクマちゃんにそれもいいかと我愛羅君がくれたナルト君からの貰い物であるはずのカエルのがま口財布を手に先に上がらせてもらった。この財布の素性結構長いな。


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