宝石とさよなら | ナノ


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うう…馬鹿にされた気がする。ただタンゲの時と違うのはぐうの音も出ないほど正論であり言い返せない様な事実だったわけで……。
……教えてもらえたからチャラにしよう。そもそも忍術自体の概念がないから仕方がなかったんだよ。
今のところはマタンさん以外の医療忍者に私の身体の詳細を知る人はいないらしく、人に細胞をやっても複製のさせ方がわからないだろうから無意味だという事がわかった。今後自分に何かがあった時の為数人に教えていくらしいがそれもまた時間がかかるという。
最初にこの術をかけた大蛇丸とかいう人は解るらしいが、戦力にすらならない実験体を置いておいても食費が無駄だと主張し、私を引き取りたい我愛羅君と定期的に実験体として内臓と情報を取引する話をまとめたらしい。
綱手様やヤマトさんは大蛇丸に気を付けろと言っていたが国同士で貿易の相手が異なるのは何処だって普通だし、同盟国だろおうが他国は他国だ。砂にいる時点で完全にかかわりを断つことは出来なそうだ。
まあつまり、今砂で私の身体を使えるのはマタンさんだけという事と、半不死とは言っても私自身の複製が追いつかなければ死ぬから気を付けろという事を教えられたのである。
自傷をやめろとも言われたものの、いまだスイッチが切りかえられないと術を使えないという面倒な仕様に早急にエビゾウさんを探す必要が出てきた。
術を使わなければいいだろと思うかもしれないが、力があるのならそれを我愛羅君達を守るために使ってやりたいのが一時親代わりをしていた私の心情だった。
圧倒的に足りない経験値を補うにはやはり実践が良い筈だ、何かあった時に始めるのでは遅すぎる。多少無理しても時間があるときに負傷しつつ会得した方が良い。
「ありがとうございます大体理解できました。ところでマタンさん、エビゾウさんの出現地を教えてくれません?」
やっぱり諦めてなかったのねと苦い顔をしたマタンさんがオレは反対なんだけど君のやる気が消えなかったみたいだししょうがないと避けていた地図に数か所印をつけてくれた。

「退院おめでとう」
「うぐっ……天使が天使侍らせてる……」
ロビーで静かに待っていたのか、静かに長椅子に腰かけていた我愛羅君が子供たちに頬を引っ張られながら出迎えてくれた。
母親たちはとんだ無礼をだの慌てているが子供時代の我愛羅君を知っているから近づいて来れないらしい。
ただ自分の子供にそれを話していなかったらしく、彼らは怖がることなく我愛羅君の周りをうろついていた。そしてそれを我愛羅君もとめようともしていない。
一人は膝の上に乗っていたり一人は瓢箪と我愛羅君の肩にまたがっていたりと忍の隠れ里らしい将来有望な動きを見せる彼らを足蹴にすることなく割と好き放題やらせていた我愛羅君に私は膝から崩れ落ちたのである。
我愛羅君が人に囲まれているのを見るたびに感動で涙腺が緩んでしまうのは許してほしい。仕方ないんです。これが毒殺だのを目論まれ、疎まれていた子供なんです。こんな幸せそうな光景が広がるなんて想像してなかった。
私が膝をついたのを見て慌ててこちらに来ようと立ち上がれば、肩に乗っていた子供が驚き両目を手で塞いで締まった為突っ立ったまま動けなくなってしまった我愛羅君にとうとう口元が爆発してしまった私は身悶えながら濁音交じりのかわいいを連発していた。



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