宝石とさよなら | ナノ


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慕ってくれるのは嬉しいんだけど君のパパと我愛羅君からものすごい睨まれているからやめてほしい。
名残惜しいと腰に抱きつくタンゲを引きはがしふくれっ面をするタンゲにしゃがみこみ頭を撫でてやる。
「オレさ、頑張って良くするから見てて」
「うんうん、期待してるからね。離そうか」
連日のように腹を開いては縫合して欠けた内臓を複製している為なのか知らないけど君の頭が当たってる部分が気持ち悪いんだよ、頼むから離れようね。
後ろの方で今にも小娘と叫びだしそうな親馬鹿で我が儘させ放題の大名様に気付かないふりをして腹に引っ付いた顔を引きはがす。
腕に空いた無数の穴ももう一度手術をし直してやった為何一つ不自由なく過ごせるだろうしその手でより良い里と大名の関係を築いて行ってほしい、なるべく早く。
てか肉だけじゃなくて骨も元の状態と同じように複製できるのは凄いと思ったわ……、私の身体やばい。

一人使い勝手の良過ぎるこの人体の神秘に感動し手の平を丸めたり広げたりを繰り返していれば、要人だから忙しい中時間を割き見送りに来た我愛羅君が不機嫌丸出しの声で「今度は手順通り依頼しろ」と進言した。
「そうそう、タンゲ…様が変わるのなら私達も付き合い方を変えるし」
里と大名の仲が良くなるならそれに越したことはないからね、頼むぞタンゲ。
にらみを利かせている大名に慌てて様を付けると一応納得したらしい父親に呼ばれ籠の中へと入ったタンゲが微妙に垂れてしまった簾をのけて顔を出し口を開いた。
「頑張ったらナマエ付き合ってくれたりとかする?」
「買い物?別にい…」
「無理だ、ナマエは里の人間だ」
今までもこれからも、風の国ではなくオレが守るべき砂隠れの民の一人だ。
一歩前に出て目を細め私の言葉を遮った我愛羅君を無視してタンゲは私に手を振って籠の中に引っ込んでいった。

「しかし籠かぁ、相変わらず人を使うなあの大名……」
「タンゲがこっちに金を落としてくれるなら一週間我慢した甲斐はあるが……」
ちらりとこちらへ視線をやった我愛羅君は肩を竦め溜息を吐いた。


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