宝石とさよなら | ナノ


▼ 168



冗談で放った言葉だったし我愛羅も大人になり諦めというモノが育ってきたときだった。
いつもならこちらから送らないと出ることのない大蛇丸から通信がかかってきたのである。
大岩周辺にナマエの反応があると別の任務で向かわせていた感知タイプの部下の一人が反応したという。
チャクラはないが呪印のような気を持つそれに8年前の実験体を思いだし連絡をよこしたらしい。
「肉体は来てないようね、あの子だったら精神の方に禁術を施したから使えるかもしれないわ」
万が一のために教えた憑依の術で回収し、木の葉のダンゾウへ届けなさいと若干興奮気味に通信を切られる。
確かに今の状態の砂に入るには協力が少なすぎる、以前は4代目という後ろ盾があったためにかなり堂々としていられたのだが。
……ダンゾウは確か大蛇丸の顧客の一人だったはずだ。あの人と繋がっているくらいだ、木の葉へ送れば何とかしてくれるだろう。多分。

引き出しを開けたマタンが取り出したスイッチを押せば壁の一部が回転する。
服が巻き込まれないようにだけ気を付けて、マタンは自身より大きめの箱からキンコウの遺体を取り出した。
身寄りのない彼女の遺体は何かと使える。それに砂では珍しい土遁使いである。
それはそれで研究材料になると取っておいたが、まさか幽霊状態のナマエを憑依させるとはだれも思わなかっただろう。

「憑依……」
禁術はうまく行った。みるみるキンコウの身体が精神面であるナマエへと作り替わっていく。
大蛇丸から教えてもらった穢土転生と違ってこちらは身体側のチャクラなどに依存するものである。
一般人であるナマエの精神を憑依させるなら研究材料としてはメリットしかない。8年前にキンコウの身体をこっそり一人で回収しておいた甲斐があった。
他人の身体を使っているため痛覚は鈍くなり、多少危険なことをしてもその複製能力で治ってしまう。
精神が消えないように不死身だと刷りこんでおけばいいだろう。まるで自分の意思で動ける軽度のゾンビだ。

とりあえずナマエに現在も依存している我愛羅が事を知る前に届けねばならない。
いつの間にか入って来ていた薬師カブトという男に木の葉の周辺へと捨て置いてもらうため引き渡した。


_



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -