宝石とさよなら | ナノ


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明朝早く、サクラちゃんが部屋に訪問してきた為、覚醒しかけだった私が応対する。
はいどうぞなんて返事をしてしまった手前起き上がらねばと布団から抜け出そうにも下半身が動かない。
何ぞやなんて布団を捲ったのと同時にサクラちゃんが中に入ってきてしまった。まあうんそういう反応するよね。
「やっぱりそういう関係……!」
キャー!なんて朝からよくそこまで高い音出せるななんて両手で真っ赤になった頬を押さえるサクラちゃんに「誤解です」と暴走を止めにかかる。
まあ布団から下半身抜け出せないんだけども。腰にがっちりホールドしている我愛羅君のせいで。
しかし風影様の不純異性交遊と思われ広まるのは忍びない、君は選べる立場と容姿を持っているんだからもう少し同じ年代あたりの可愛い子にしなさい。

「起きなさい我愛羅君、もしくは離れなさい」
ふにふにと頬を痛くない程度につねって引っ張る。
たまに我愛羅君は砂を肌に纏って寝ていたけどもうそんなことも無いようで、もちもちと大人になりきれてない肌は指に吸い付くようだ。
「ん……、おはよう」
「はいおはよう、我愛羅君別の布団で寝てたよね?」
「一緒がいい」ああ子供のころも同じことずっと言っていたねえ。
気持ちよさそうに再び微睡の中に落ちそうになった我愛羅君にはっとし思わず撫でてしまっていた頭をペしりと叩いた。



心中騒ぎを起こしているであろうサクラちゃんはすぐに綱手様の元に帰ってしまったが、彼女が持ってきてくれた女性物のそれに袖を通す。
ぴったりなところを見るにやはり筒抜けであろう個人情報に消沈する。不特定多数に知られるのすごい悲しい。
宿のご飯を食べ、あっという間に我愛羅君の帰国時間になってしまった。

ぞろぞろと出てくる知らない人間、役10名。
我愛羅君の部下らしき少女がいるという事はやはりこの人たちは砂の忍なのだろう。顔布をしてない人もいたのでわからなかった。
まあまだ日があけたばかりの明朝に宿の前にいる時点で護衛の人か。よく気が付かなかったな私……。
「ナマエ……」
「ハイハイいってらっしゃい、頑張るんだよ」
きゅうと手を握られ笑顔で送り出してやる。捨てられた子犬のような仔狸とは反対に少女の方は私に目線のみで威嚇をしてきた。私何やったよ……?


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