宝石とさよなら | ナノ


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「流石にこの服じゃ目立つね」
自分のせいで日常的に視線を浴びていたとはいえ、幾許か時間も経ちやはり過敏に感じてしまっているようだ。
ナマエの服だけじゃないと返してやれば「そうか、風影になったんだもんね!おめでとう我愛羅君」と微笑み返して褒めてくれた。
風影へと推薦してくれた姉と兄、そしてバキに声なき感謝をした。数秒だけ。
影の怠い同盟国会議が無ければナマエに会うのもずっと先になっていただろう。
一度宿に行くと伝えれば昔とは逆にナマエがオレの後を追う。
落とした瓢箪を拾い、病室から綱手に渡されたコートとマフラーを置いてきた。
ナマエに「自分のだし持つ」なんて手を出されたが、甘えてほしいと目尻を下げ昔のように懇願すればあっさりと引きさがってくれた。
貸しだされたサンダルを履いているが、自分と過ごしていた時のようなものではなく少しヒールがあるもので、タイトな服に良く似合っている。
火影が女だからそういうところにも気を使ってくれたのだろう。

程よく肉が付きすらりと伸びた脚に目をやっていたら、視線に気づいたナマエが照れて頭を掻いた。
ダイエットすぐに飽きちゃうんだよねなんて言いだした。これ以上細くなったらただでさえ弱いナマエの骨はすぐに折れてしまうのではないだろうか、オレは今のままの方が好みなのでやめてほしい。
だが痩せたいと思っている女にもっと太れは禁句なのをオレは知っている。テマリに何度かやってしまい本気で術を繰り出されている。こちらはあくまで細いと心配だからという意味なのだが。
もう自分は姉に手を出せないから防戦一方になるが、テマリはあてるまでやめてくれないから学習した。
それならこれを口実にして一緒の時間を増やすのもいいかと思い直し「そのままでもいいと思うが軽い運動なら付き合う」と協力を示した。まさか「えー…」と返されるとは思わなかったが。

「何が不満なんだ」
「我愛羅君スパルタそうだし」

心外だ。


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