「仁王!どこに行くつもりだ!?」
「決まっておる、病院じゃ!!」

柳生は魔王の城に囚われた。助けに行かねば!柳生、待ってる。鉄格子から外を眺めて俺が来るのを待ってる。
俺は教室を飛び出した。

「……どうしてしまったのだ、仁王は。病院に行っても柳生には……」
「仁王――ッ!!」

廊下の奥から俺を呼ぶ声がする。ああ、ブン太か。何故息を切らせてるんじゃお前さん。

「お前を病院には行かせねェ!」

――は?

「何故じゃ?何故行ったらいかんのじゃ?」
「……お前、本気で頭イカレちまったのな」

何を言ってるぜよ。イカレた?

「悪いな仁王。でもお前が病院に行けば比呂士は悲しむ。だから止めてみせるぜぃ……ジャッカルが!」
「俺かよ!!」

背後からジャッカルの声。振り向く間もなく俺はそのまま羽交い絞めにされた。成程。ブン太の奴、I組に駆け込んでジャッカルを連れてきたのか。しかし俺が行けば柳生が悲しむって阿呆か。

「逆じゃろ。」





ブン太もジャッカルもなんにも判っとらん。

「泣いとるんじゃ……」

『仁王くん仁王くん、』

「目を真っ赤に腫らして仁王くん会いたい仁王くん仁王くんって柳生、泣いとるんじゃ!!」
「仁王……」

そして俺は大きく息を吸って、力の限り叫んだ。

「このワカメ野郎――!!」

ジャッカルの声真似で。
すると階下からけたたましい足音とともに赤い悪魔が現れた。

「ジャッカル先輩――」
「ち、違うんだ赤也。今のは仁王が……」
「お前も赤く染めてやろうかああああ!!」

無駄無駄。この状態になった赤也には何を言っても通じないぜよ。

「くっそう、やりやがったな仁王!」
「プリッ」

ジャッカルの力が弱まった隙に俺はその腕を振り解き再び駆け出した。

「コラ!戻れ仁王!!」

ブン太が吠えたが俺は無視した。友達だと思っていたのに何で俺の気持ちを判ってくれないのブンちゃんのばか!





「待て!」

ああそうだった、こいつもいたんじゃ。

「柳生には会わせぬ!!」

鬼の形相をした真田が立ちはだかる。お前は柳生の親父か。確かに俺は見た目も性格も軽薄です。職業ですか?詐欺師です。俺は信用出来ませんか大事な娘さんに見合いませんか。でも柳生さんを好いとう気持ちは本物なの!!純粋なの!!

「幸せにするから……」
「は?」
「お義父さん、娘さんを僕に下さぁぁあああい!!」





   



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