俺はすこぶる機嫌が良かった。何故なら!何故なら!!

「なーにニヤついてるんだよ仁王。キモいだろぃ」
「ふ、よくぞ聞いてくれましたブンちゃん!俺、数学のテスト満点だったぜよ!!」
「おお!スッゲェじゃんっ」

数学は得意じゃき、点数は元々いいんじゃよ。でもこの満点は特別ナリ!

「学年で一人だけだったって話じゃ。やーぎゅ、きっと喜んでくれるな!」
「どうだろうなあ。比呂士の奴、あれでいて負けず嫌いだから……」
「『エライです仁王くんv』てとびきりの笑顔付きで頭なでなでしてもらうんじゃ――ッッ!!」
「あ――えっ、仁王?どこ行くんだよ!」
「柳生のとこ!」
「はぁ?何言ってんだお前!比呂士は――」

ブン太が何か叫んだがなーんも聞こえん。頭の中は柳生のことでいっぱいじゃ!確かに柳生さんは負けるの大嫌いだけど、それ以上に俺のことが大好きなんじゃ!!きっとブン太は俺と柳生の蜜月ッぷりに妬いてるんじゃな、うんうん。







「やーぎゅ!」

A組の教室を覗く。おらん。どこ行ったのかのう、小便じゃろうか。B組に戻ろうかとも思ったが、やはり待つ事にした。だって今すぐ会いたいんじゃ!会いたい、柳生さん、好いとうよ、やーぎゅ。

「仁王、どうした?」

真田だ。いいな、真田。授業中でも柳生の姿が見れて。ブン太に話したら「なら手鏡を机の上に置けばいいんじゃね?」ち言うた。ばか?

「柳生に会いに来たんじゃ。ちょいと待たせてもらうぜよ」
「柳生?」

すると真田は奇異なものを見るような目で俺に言うた。

「何を言っている。柳生はもう何日も学校に来ていないではないか」

え?
いない?そんな筈はなか!





『仁王くん。私たち、ずっと一緒にいましょうね』

約束したんじゃ。なのに、どうして、





「――柳生を何処に隠した!!」
「は!?冗談が過ぎるぞ仁王!柳生は幸村のいる病院に入院中だろう」

入院?柳生が入院?

「……そんなの、知らない。知らないぜよ……」

なんで病院にいるの?誰かに閉じ込められたの?冷たい?寂しい?俺は……

『仁王くん』

「やーぎゅ!!」

俺は、俺も寂しいぜよ、柳生!!





   



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